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はじまりの声

 思い立ってキーボードを叩く。

 カタカタとリズミカルに、時には立ち止りながら言葉を紡ぐ。夢中でそうしていると、時間を忘れてしまう。

 小説を書くのは本当に楽しい。そんなことを思いながらデータを保存する。時計を見て、随分時間が経っていることに気が付いた。

 

 読み返してみると、出来上がったそれは小説というより、その一部を切り取ったひとつの情景だった。


 物語と呼ぶには何か足りない気がしてしまって、私はその文字たちを持て余す。いつもそうだ。物語の厚みが足りない。文章量が足りない。表現力が足りない。考え出したらあれこれ出てくる「足りないもの」にため息が漏れる。

 私の思考がこんなにも後ろ向きなのには理由がある。自信がないのだ。だから足りなく感じてしまう。

 またため息が漏れそうになったとき、ディスプレイに映し出されたある言葉が目に飛び込んできた。


 「でもさ、俺はこうして生きてるし、みんなにも会えた。」


 それは、先ほど書き終えたワンシーン。主人公の青年が人間ではなく、研究によって生み出された人間を模した知的生命体だと判明した際、気遣う仲間に向かって力強く言ったセリフだった。私はしばらくそのセリフに釘付けになった。自分で書いたはずの言葉なのに何故かそうは思えなくて。


 そうか。彼らはその瞬間を確かに生きたのだ。私という、書き手を通じて。そう思うと、このひとつの情景を切り取った文字たちは立派な作品と言えるのではないか。だって、彼らは生きている。この物語の中で。


 そう気が付いた私の、次の行動は決まっていた。ブラウザを立ち上げ、通い慣れたサイトにアクセスする。投稿ページには今まであまり縁がなかったので、ページが表示された瞬間一気に緊張が押し寄せてきた。


 でも、今から私は変わるのだ。

 私にしかできないことが、ここにはあるのだから。

執筆はじめたての私の背中を押してくれる知人、友人に感謝しつつ、私のような「自信のなさ故に作品作りにためらいがある人」の背中を押す側にいつかなれたらいいなあと思います。

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