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イジメに勝つ!  作者: 橋沢高広
21/24

【第21回】

「話は少し前後するけど、二学期が始まって二週間もしない内に私、学校内でも有名人物になり始めていたんだ。その理由は、やはり、ニューヨークとパリに行った事。

 特にニューヨークでの『現地の子供達と触れ合おう』という企画に関して、私が参加した後のツアーがテレビ番組で取り上げられたんだよね。しかも、折り紙を折るシーンで『鶴を折る過程の折り紙』が紹介されたんだ。『以前、このツアーに参加した中学生が作ったプレゼント』という形で……。

 これ、私が残した例の折り紙。折る順番を間違えない様に番号を振ったやつ……。

 その為、この施設を利用している人達の多くが鶴を折れる様になっていたの。しかも、『鶴を折る過程の折り紙』は、パネルに入れられ、その一番下に私のサインも挟んであった。

 このサイン、『現地の子供達と触れ合おう』に参加した際、ネームプレートとして書いたものを利用……、漢字とローマ字で私の名前を書いたんだけど、そこにあった『成島出海』の文字に気付いた先生が何人かいたの。それに加え、私と中野さんの会話を聞いた人達から、私がニューヨークに行ったのを知った先生達もいて、その真偽を知る為に職員室へ呼び出されたんだ。更に、このテレビ番組、私自身も見ていたから、『それは私の名前です』と、はっきり言えた。

 実質的にイジメをしている私のクラスは、この件で騒ぎ出す事はなかった……、いや、騒げなかったんだけど、他のクラス、特にイジメがなかった一年生の時にクラスメイトだった人達から呼び出されて、『ニューヨークは、どうだった?』って、聞かれる様になったのよ。

 こうなると面白くないのは、私がいるクラスの連中。しかも、その種類は二つ。

 まず、イジメを〈命令〉した奴は、私だけ有名になって行くのが許せないんだよね。イジメの対象なのに、他のクラスからは羨望の眼差しを受ける私が……。

 そして、本来、イジメる必要は、ないんだけど、この〈命令〉でイジメる側に回っていた連中。最初は〈渋々〉だったかも知れない。でも、そのイジメに加わり、『それが当然』と思う様になった頃、その私が〈有名人〉になった事で、このイジメに疑問を持ち始めたんだ。

 しかも、私の立場が変化して行く過程で私自身の情報が集まり出したの。簡単に言えば、それまで私の事を目撃していても、イジメの対象だったから、クラスの中で話題には、ならなかったんだけど、私を気にする様になって以降、陰ながらも話し始めたんだ。

 実は、私って、かなり目撃されていたんだよね。麻亜湖さんの車による『学校周辺ドライブ』の件もあったけど、私の家、工務店という事もあって、仕事に使う車を止めておく広い駐車場があるんだ。

 そこで働いている人として、髪の毛を金色と、赤色に染めている人の話は前にしたけど、その〈少し怖そうな人〉と駐車場で楽しそうに話している処も目撃されていたし、ここって、警察官の立ち寄り場所にもなっているから、お巡りさんと話をしている様子も見られていたんだよね。この時は、単なる挨拶程度の会話しかしていないけど……。

 極め付けだったのが、車を運転している所も目撃されていたんだ」


「えっ、それって、どういう事?」と、私は思わず口を挟んでしまった。

 その問いに出海が答える。


「例のスポーツカーを駐車場で父親が掃除している時だったの。車内を清掃している時だったから、屋根は収納してあったわ。私、その様子を〈なんとなく〉見ていたんだ。そうしたら、平然と、『少し運転してみるか?』って言われたのよ。

(何、言っているの!)と、思ったんだけど、私有地なら免許がなくても車を運転出来るんだって。その時、駐車場に他の車が、なかったから、かなりのスペースがあったんだ。

『エンジンを掛け、少しなら、動かしても、いいぞ』だって……。

 この辺が小泉家の血を受け継いだ人なのよね。でも私、興味があったんだ。車の運転。麻亜湖さんの車でドライブした時、『私も運転免許、取ろう!』と、本気で考えていた程だから……。

 父親が言う通りにエンジンを掛け、五メートル位だけど、かなり、ゆっくりと運転……、こういうのって、『運転』って言うのかな……、まぁ、それは、それとして、車を動かしたのは事実。その様子も目撃されていたんだよね。

 それから、少しして、バイク……、正確にはスクーターだけど、これも運転した。金髪の従業員が乗っている通勤用のスクーター……、普段は少し大きめの派手なバイクを乗っているんだけど、出勤する時は何の変哲もない地味なスクーターで来るんだ。このスクーターを借りて、本当に運転したの。駐車場の中を何周かしたんだよね。もちろん、父親の許可は得てある。これも見られていたんだ。

 その他にも、派手な服を着て、例のスポーツカーに乗っている父親は、よく見掛けられていたし、その父親が警察関係者と知り合いだって事も、この頃になると何故かクラスメイトにも知られる様になっていたの。

 話題としては事欠かない私に興味を持つ人が増えるのも当然よね。これが原因となって、ある〈事件〉が発生したんだ」

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