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六階
コンビニで買った珈琲を啜りながら、窓の外を眺める。
大粒の雪がふわふわした羽毛みたいに舞い、その奥には濃い闇が悠々と広がっている。
気がつくと、僕はまた智美のことを考えていた。
なぜあのとき、気づいてやれなかったんだ。
もしかしたら、彼女のことを救えたかもしれないのに。
あぁ、智美は今どこでなにをしているのだろう。
風が嘲るように窓をたたき、ガタガタと木枠を揺らした。
避けてるでしょ、私のこと。なんで無視するの。
明らかに急変した僕の態度と冷淡なまなざしに、智美はひどく困惑しているようだった。
僕は見たんだよ、と無愛敬に言う。
なにを見たの、と彼女が訊いてきた。
ラブホテル、とだけ答えた。
そう、と彼女が応じる。




