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四階
学校生活にも慣れてきた十二月のある日、繁華街の一角で智美を見かけた。
本当に偶然だったんだ。
智美は黒い背広を着た男と手をつないで歩いていた。
この日は風邪で学校を休んでいたはずなのに。
僕はすぐにそれを理解した。
当時、僕の通う学校でも援助交際は話題になっていたから。
『人魚』とかいう派手なホテルに智美と男が一緒に入るところを見た瞬間、僕の初恋は終わった。文字通り、なにもかも終わってしまったのだ。
あの日から僕のなかで何かが変わった。
智美を徹底的に避け、智美の存在を無視するようになった。
彼女の眼を見るのが怖い。
澄んだ瞳がまた僕を傷つけるような気がして怖かったんだ。




