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花一匁  作者: 芦田香織
6/19

くらいへや

ずぶ濡れの鼠みたいになった体のまま家に帰ると母が奥から出てきて慌ててタオルを用意してくれたり、お風呂を沸かしてくれたのに、私はその行為をすべて突っぱねて

「構わないで」と自分の部屋に入った。

最低な、親不孝者だと思った。

それでも今親を気にする余裕のないくらいには心が疲れ果てていて、満たされないことはなかった愛を、心が飢えている。

それでも優しさをはねのけてしまうなんて、どれだけひねくれ者なのだろう。


じゅうたんが水を吸い込んで色濃くなってゆく。

カッとなっていた頭が雨水で冷えたからだと一緒にだんだん冷めていく。

明らかに雨水でないものが目にジワリと溜まって零れた。

今それを止める気力も体力もなくて、私はただただ流したままにした。


本当にいなくなってしまったのだと。

最も大切な人が、最も愛を注いだ人がいなくなってしまったのだと。

これから何を糧に生きていったらいいのかもわからなかった。

親にも友達にも申し訳ないような気はしたけれど、はるかと付き合ってから今日まで、私にははるかしかなかった。


思い返せば、たった三ヶ月だった。


少ししてから風呂に入って、ご飯も食べずに寝た。

次の日と、その次の日は、風邪を引いて休んだ。

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