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彼と彼女の物語

作者: 五円玉&げどー&よしけー

こんにちは。五円玉です。


この小説はわたくし五円玉と、いつもはイラストレーターとして活動しているげどーさん、そしてそんな2人の共通の友人であるよしけーさんとの3人で深夜に(←ここ重要)書いたリレー小説です。


一応、ラブコメです。一応。


あのお下品な五円玉が下ネタを一切封印して書いた今作、ご覧になる際はいろいろと覚悟をお決めの上、ご覧ください。

それは、雪の降る12月のとある朝。

埼玉県のとある市は、一面銀世界のような真っ白い雪に覆われていた。


「うぅっ、寒っ」


市内の中央。

人や車の通りの激しいこの場所を、マフラーをぐるぐるに巻いた一人の青年が猫背気味に歩いていた。


「・・・なんで俺が」


時々雪に足を取られながら、彼は一人市内北の大型スーパーに向かい、歩みを進める。


「・・・ったく、なんでオヤジのヤツ、牛乳切らしてんの忘れてくるかなぁ」


クリームシチューを作る。

今朝、突然オヤジの口から発せられたこの言葉。

もともと料理の好きなオヤジが唐突に料理をする! ・・・と言い出す事はウチでは日常茶飯事であり、特別驚く事は無かったのだが・・・


「あ、しまった昨日牛乳買ってくるの忘れてた!!」


とか言う後先考えてないオヤジの発言。

その時は特に俺に被害が来るとは考えてもいなかったのだが・・・


「・・・お前、今日暇だろ?」


・・・オヤジの執行人の放った、俺の自由を奪うような発言(半ば強制)

この一言が語るに、


「買い出しに行け!!」


と言う命令文に変換する事ができ、つまりは家庭内で最も地位の低い俺の買い出し命令(奴隷的扱い)が発せられた事になる。


「・・・はぁ」


ため息しか出ない。

こんなクソ寒い冬の朝に、オヤジの気まぐれで買い出しに行くとか。


「・・・なんか悲しいな、俺」


自虐的にならざるを得ない。

まったくもって不愉快だ。

俺に弟とか妹がいれば、きっと買い出しは下のヤツの仕事となっていた事だろう。

ほんとに不愉快極まりない。


「・・・兄弟がいれば・・・なぁ」


・・・早く買い物を済ませて、さっさと家に帰ろう。

そうだ、自虐に走ってなよなよするよりかは、さっさと家に帰って暖にあたったほうがいい。

そうだ、それがいい。

・・・よし。


・・・こうして俺は早々に買い物を済まし、スーパーを出て、いざ帰路につこうと裏の狭い路地に入ろうとした、


その時だった・・・


ドンッ!!!!!


「うおっ!?」


「きゃっ!!」


路地の入口で、俺は突然路地から出てきたとある人と、出会いがしらにぶつかった。

俺はバランスを崩しながらも何とか転ばないように踏ん張る。

しかし・・・


「いたっ!!」


相手・・・パッと見女性だ・・・は、勢い余って思いっきり尻餅をついた。

盛大な音と共に。


「お、おい。大丈夫か・・・?」


相手は、高校生くらいの女の子だった。

肩辺りで切りそろえられたセミロングの明るい系の茶髪。

厚いベージュのコートに、毛糸のマフラー。

そして・・・吊り目ながらもどこか愛くるしさを感じる大きな瞳に、透き通るような色白の艶のある肌。


・・・はっきり言って、可愛い!!


「いつつ・・・」


俺は咄嗟に手を差し出したのだが、彼女は俺の手を無視して、痛めたのか腰を擦りながら一人で立ち上がった。


「・・・え?」


俺、唖然。

その間にも彼女は体制を立て直し、ただただ俺に向かい、睨みをきかせ・・・


「・・・最悪だわ」


「・・・は? え? ちょっ!?」


一言、なんか知らないが、侮辱?をされました。

そして・・・


「・・・・・・」


彼女は、無言で、速足で、なんか怒り?のオーラを纏いながら、ただ去っていった。


「・・・なに、これ?」


・・・なんか、切なかった。

心に、響いた。


・・・泣きたくなった。


「え? 俺なんかヒドイことした!?」










そして翌日。

月曜日はやけにだるい、憂鬱だ。

俺は家が近いという不毛な理由からここ、星川高校に通っている。

通い続けてもう一年半になろうとしていた。


「よぉ!」


不意に後ろから朝のテンションとは思えない男の声がした。

こんなやつ俺の知る中ではただ一人だけだ。


「さとしー、お前はいつも楽しそうだな。」


そう。こいつは中村聡、高校1年から同じクラスで部活も一緒。

いわゆる、高校からの腐れ縁だ。


「今日はいつも以上だよ。わからないあきら?」


今更で申し訳ない限りなのだが、俺の名前は渡部聡。

偶然にもさとしと同じ漢字を書く。

まことに不愉快だ。


「月曜日でこんなに元気なのはお前くらいだよ。」


「そんなこと言わずに考えてくれよー」


「んじゃ、国語が自習にもなるのか?」


「それねー。確かに利根の授業が無くなるのは嬉しい。だけど違うんだ。」


「だったら、なんだよ?」


「今日から転校生が来るらしいんだよ。しかも女子だよ。この時期に転校してくるだなん  て絶対可愛いに決まってるよ!!」


「お前のその偏見はどこから生まれてくるんだ・・?」


「とにかく、今日うちのクラスに女子が転校してくるんだよ!」


「あぁ、そうかい・・」


そして、俺たち二人は教室に着いた。

さとしと俺とは今は席が離れてる分、教室についてからは話すこともない。

癪に障るがあいつはクラスでも人気者で、俺はというとこのクラスでも友達が多いとはお世辞にも言えない。

俺はこのホームルームになるまでの時間いつも寝て過ごしている。

だが今日はさとしの言っていた「転校生」という言葉が引っかかっていた。

さとしには茶化すように返してしまったが、実は結構気になっている。

さとしほどではないが、可愛い子なんじゃないかと思いをはせる俺であった。

そんなことをぐるぐると考えている間に、チャイムはなり、それと同時に担任が教室に入ってきた。


「今日は、キミたちに報告がある。クラスに新しい仲間が加わる。」


こいつうざい・・・


「では、教室に入ってもらいましょう。」


教室に入ってくる女の子は肩辺りで切りそろえられたセミロングの明るい系の茶髪。

そして・・・吊り目ながらもどこか愛くるしさを感じる大きな瞳に、透き通るような色白の艶のある肌。・・・可愛い。

ちょっと待てよ。このフレーズ昨日もあったような気が・・・

そこには昨日、買い物に行った時にぶつかった女の子が正にそこにいる。


「キミ、昨日あった・・・」


俺は周りの目で話す手をとめてしまった。


「わたしは、赤坂かおりです。父親の都合で転校してきました。これからよろしくお願いします。」


そんな転校生のテンプレ的なことを言って静かに俺を睨めつけていた。

そんな彼女との二度目の出会いだった。










二人の仲が深まるのに、それ程時間はかからなかった。


どうやら、こちらの好意を素直に受け入れてくれたらしい。


“出会い頭のファースト・コンタクト”のときのことは彼女に聞いても覚えていない、の一点張りだ。


彼女の屈託のない笑顔を見るたびに、嬉しさと共に、女という生き物はつくづく理解不能だと思えてくる。


出逢ってから一年は瞬く間に過ぎて行った。かおりと仲良くなることに、さとしも幾分か貢献した。


巡り巡って季節は冬、12月24日。かおりとのデートの日。

25日はかおりがバイトのため都合がつかなかったのだ。


関東では珍しく今宵、雪は絶え間なく降り続く。


どこからともなく流れてくるクリスマスソング。


駅に向かう途中の道で偶然さとしに出くわした。


俺はさとしを前にして饒舌になる

「このあとかおりとデートなんだ。それにプレゼントだって買ってあるし・・・。じゃあ、行くわ。」


「・・・このリア充野郎・・・。」


というさとしの呟きは降りやまぬ雪にかき消された。


かおりはあきらとのデートを前にして不愉快な気分になっていた。どこの馬の骨かも分からない連中にナンパされたからだ。見た目は札付きのワル。タバコのヤニによって黄ばんだ歯が並ぶ口から、酒臭い息が漏れてきた。


酒に酔った連中の一人がかおりの手を強引に引っ張る。だが、抵抗むなしく裏路地へ連れ去られようとするかおりの前にあきらが現れたのは不幸中の幸いであった。


俺は咄嗟に不良のリーダー格に鉄拳制裁を加える。腕力を使わなければならない局面はヤバいか、超ヤバいか、ヤバすぎてどうしようもないときのいずれかであるが、今回はヤバすぎてどうしようもない時であると判断した。


アナボリックステロイドを注射した筋肉が生み出す右ストレートを顔面にまともに喰らっては不良といえどもただでは済まない。


そして慣性を利用し、残りの連中を制圧にかかる。


奇跡的に不良たちを追い払ったものの、俺も手酷い一撃を食らった。


体の節々が痛み、痺れている。だが俺は心地よい疲労感を感じていた。

そして俺が何よりも嬉しかったのはプレゼントのネックレスが無傷のまま渡せたことだ。


雪の結晶をかたどったクリスタルの飾りはかおりの透き通るような白い肌に驚くほど似合った。


俺は帰りの電車で眠りに落ちてしまった。そして、二度と眼覚めることはなかった。


俺は幸せだったのかもしれない。















あれから10年後・・・


「・・・もうあれから10年か」


ヨーロッパのとある国のとある都市。

かおりは、旅行に来ていた。


・・・10年前の今日、彼は死んだ。


そして9年前の今日、あきらとの間にできた「公明」を連れての旅行であった。


「・・・・・・」


地中海を望むホテルの一室。

かおりは、公明と共にテラスから地中海の輝きを眺めていた。


「・・・公明、あなたに今、話しておかなければならない事があるの」


突然。

ただ茫然と海を眺めていたかおりは、同じく隣で海を眺めていた公明の頭を、そっと優しい手つきで撫でた。


「・・・なに?」


今年で9歳になる我が子、公明は無感情に、だが、どこか悟ったかのような返事をする。


「あのね・・・」


・・・青い空の下、白いカモメは低い高度を保ちつつ、遙か彼方の方角へと飛行を続ける。

海に立つ低い波は静かに水面を移動し、そして砂浜にて音も無く消え去る。


静寂の一時。


「・・・お父さんの事なんだけど」


しばらくの静寂の後、意を決したかのように切り出した。


「・・・お父さん?」


「うん。お父さんはね・・・」


そして・・・






「・・・実は、右上奥から3番目の歯はね、金歯だったのよ」






「・・・え?」




世界は止まる事なく動き続ける。


決して、個人の感情で止まる事は無い。


この無限に広がる宇宙のはて。


今日もまた、あきらは戦い続けているのだ。


・・・全ての平和を、守るために―――




~fin~


起・五円玉

承・げどー

転・よしけー

結・五円玉


なんか無駄に改行してある所が、筆者の交代の目印です。


・・・この後書きを読んでいるってことは、あなたこの小説を最後まで読んだって事ですよね?


・・・一言、申し訳ありませんでしたぁぁぁ!!




もはやラブコメどこいった? な、今作。


深夜3時くらいに3人で一気に書いたわけで、なんかいろいろと不完全燃焼な感じですが、とりあえず、ありがとうございました。

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