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720時間の猶予  作者: パーシー
第1章 願い事
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最初の願い

おれはゆっくりと目を開けた。

どうやら寝てしまったようだ。それに、しゃべるカラス(しかもデカイ)が出てくる変な夢を見ていたような気もする。


まぁいいや。どれぐらい寝てたんだろう? おれは時計を確認しようとした。


「やっと目が覚めたかこのチキン小僧」


ん? まだ夢の中か? 80歳ぐらいのじーさんがおれに話しかけてきたぞ。

おれはこんなヤツ知らない。

いや、ちょっと待てよ……。チキン小僧ってのはおれのことか? 聞き捨てならねェな。


「おい、おれのことチキン小僧って言ったか?」

「言ったが?」

「すまないが、おれはチキンでもないし、小僧でもない」

「すまないが、貴様はチキンで、小僧だ」


!?


「オレ様は大ガラスの姿が気に入っているのだ。それなのに、貴様ときたら……

オレ様の姿を見ただけで気絶するとはな。大したヤツだ」


――記憶が一気に蘇ってきた。そういえば、おれの部屋にカラスがいたんだ。

それで、話しかけられて――ショックのあまり気絶したのか。……カッコいいとは言えないな。


「おまえはカラスなのか?」

「正解ではないが、間違いでもないな」

「おまえは……何者なんだ?」

「貴様が呼び出したのではないか。何をぬかしておる」


実は、薄々気づいてたんだけどな。

まだ信じきれずにいたみたいだ。ランプから――魔神が出てきたなんて!!!

やった、これでおれは、何でも願いが叶うぞ! 3つだけだけど。それでも十分だ。


「おほん、……ワタシは、おまえの主だ。おまえは、ワタシにしなければいけないことがあるんじゃないか?」


「フ、図に乗るなよ小僧。だが……まぁいい。貴様がランプを擦った時点ですでに契約は成立している。貴様の願いは叶えてやる。何でも言ってみるがよい。

だだし――なに!? こんな小僧がか!? どういうことだ!?」


突然あわてだした魔神(であってるよな?)。

ずいぶん取り乱しているみたいだが、おれには何が起こっているのかサッパリ分からない。

少しすると魔神は落ち着いたらしく、再び話し出した。


「オレ様には全く理解できないが、どうやらそういう事らしい。

貴様の願いを叶えてやる。何でも言ってみるがよい。

ただし――30個までだ」


そういう事ってどういう事だよ、と突っ込みかけたが……


「……」


「どうした? 願い事はないのか?」


「サンジュッコだとおぉ~! ほんとか!? 冗談か!? マジか!?」


「本当だ。オレ様は嘘はつかない。落ち付け」


なんてこった。

これは面白い事になってきたぞ……!


だが、30個。何を願おうか?

力? お金? 知恵? 視力? 彼女? ん……どうしよう。

ん……あっ!!!  これにしよう!


「よし、おれの1個目の願いはこれだ。――おれを、魔術師にしてくれ」


最高だと思わないか?

魔法の力を手に入れたおれは、襲い来る悪を倒し、竜から姫を助け……


「無理だ」


「なんだって!? 何でも願いを叶えるって言ったじゃないか!」

 

「小僧は何か勘違いをしているようだな。オレ様は神ではなく、最強の悪魔だ」


「要は魔神だろ?」


「いや、全然違う。オレ様は悪魔であって神ではないのだから、小僧の願いを叶えるのも、魔術によって行う。

魔術は何でもできる訳ではない。魔術で出来る範囲で、願い事を言え阿呆が」


「なんだよ……。思ってたよりショボイじゃないか」


「ふざけるな。オレ様は最強の悪魔だ。」


「あっそ。じゃあ何でその最強の悪魔様が人間の言いなりになっているんだ?」


「貴様っ!! ブチ殺されたいか! オレ様は……このランプに封印されたのだ。」


「封印……? 誰に?」


「ソロモンというクソ餓鬼だ。オレ様をここに封印して、呪いをかけやがった」


そうか。この悪魔(魔神じゃなかった)はあの伝説のソロモン王にランプに封印されて、それを擦った人の願いを3つ叶えるという呪いもかけられたのか。

ということは……何千年ぐらいランプに閉じ込められてるんだろ?

ちょっと可哀そうだな。


ん、ちょっと待てよ? じゃあ何でおれは30個も願いを叶えてもらえるんだ?

おれ、悪魔に気に入られたのかな。……それは無いか。


「何でおれは30個も願いを叶えてもらえるんだ?」


「そこから先は言えない」


「『願い事』を発動しても?」


「ああ。そこから先は言えない」


どんなに頼んでも教えてもらえなさそうだな。まぁいいや。


「じゃあ……」


落ち着いて考えろよ。30個とはいえ、無駄使いはできない。

ん……欲しいモノ……欲しいモノ……あっ!


「じゃあ、改めて1個目の願いだ。――銃をくれ。ホンモノのやつをな」



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