『富豪のダイヤ』
と、そこで、いきなり後ろから、声がした。
「アレ?まだ次があんの?いや知ってるけどね覚えてるから?でもさでもさ、めんどうくさいのは何回も何回もソレ聞いてんのに、まーーーた聞くはめになった僕なんだよ?そこら辺どー思ってんの、おっさん?」
・・・・・・・・・・・・ん?後ろから声?今のは俺のセリフじゃない!それと念のため付け加えると、俺はそんなこと思って無え!ただちょーーっっと話が長いとか話が長いとか話が長いとか・・・・・アレ?そ、それと後は・・・・・正直めんどくさいとか正直に言わなくてもめんどくさいとかつまりはめんどくさいとか・・・・・・ってオイ!!やっぱ俺も変わりないじゃねえの!うわー自己嫌悪キツー。
「ほう・・・・。流石に『富豪のダイヤ』。メンバーが何代変わろうと、基本の性格は変わらぬか、この泥棒猫」
ん?・・・・・・・・・・・オイ。
「・・・・・・・・それ、褒めてんの?まったく、そんなこと言ってるアンタら『人望のクローバー』だってコソ泥のチンピラみたいなことはよくやってきてるんじゃないの?」
・・・・・・・・・・・オイオイ。
「フンッ・・・・・一人前に口だけは動く若造か。なるほど、あそこにはぴったりだな。まさに捨て駒むきの男か」
・・・・・・・・・・・オイオイオイ。
「何っ・・・・!でもなおっさん、僕だってそんな挑発に乗るほど安くは無いんだよ?それに、今回はまだ名乗りに来ただけだから、喧嘩を売る気も買う気もないよ?改めて名乗ろうか――――――――『富豪のダイヤ』一番手・・・・・・能力名は――――――――――」
「お前ら、いいかげんにしろおぉぉぉぉぉ!!!」
長い悪口合戦に業を煮やして怒鳴ってやると、2人とも驚いたような目でこちらの方を向いた。
・・・・・・オイ桑折、んなイタイ人を見るような目で俺を見るな。そしてさりげなく俺から距離をとるな。バレバレだし地味に傷つくぞ。
「清明君―――――「へえ?あんた、『清明』っての?んで、今回のそちらさんの王?まあこれからひとつよろしく・・・・・・ってか?ハッハッハ!!それで?何の用だい?」」
「・・・・・・お前、一体何者なんだ?」
そう。俺だって、別に人様の話を邪魔するつもりは無い。ただ、ついさっき気配も出さずに俺の背後を取った奴の顔は・・・・・どう見ても明らかに・・・・・・・・
「俺・・・・・?」「アンタ・・・・・・?」
その顔は、髪こそ茶色いものの、まさしく難波清明―――――つまりこの俺そのものだった。