ピエロとキング(下)
「「人生が・・・・ただのゲーム?」」
ん、ハモったな。まあ別に放っておこう。
・・・・・え?シカトはないだろうって?よーしわかった、正直に言おう。あのな、下手に口出して殴られんのは御免なんだよ、俺だってな!なんか文句あるか!?
「随分、仲がいいようだね。良かった良かった」
おっさん・・・・・た、頼むから!今は口出すなこのアホォォォ!!しかもなんなんだその内容はよおっ!何が!?何がいいんだおっさん!?
「んなことは無え!」
「ち、違います!!別にそんなんじゃ・・・・・」
「・・・・・・どこがだい?まあ、人それぞれなんだろうな」
「やかましいわっ!!な、なあ頼むわ。早いトコハナシを元に戻してくんねーかな?この分だともうすぐ本気ギレするよ、俺?ガチでボコスコに殴り回すからね?」
・・・・・・おい、桑折。そこまで怯えた顔しなくてもいいだろうが。別に俺だって毎日喧嘩ばっかやってるわけじゃ無いんだぞ?人より断然多いのも否定できないけどよ。
「おやおや、いいのかい?彼女さんに怯えられてるぞ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ヘ?今アナタハ何トオッシャイマシタカ?
・・・・・・・・・・これは不意打ちだ。不意打ちすぎる不意打ちでまさに不意打ちだ。ん?今何回『不意打ち』って言ったっけ、俺?
「・・・・・・・。(絶句)」
「・・・・・・・。(〃)」
「おや?まさかこの後に来てまで『違う』とか言い出す気かい?今時珍しいくらい奥手なアベックだね、お二人さん?」
「あ、アベックって・・・・・もう相当な死語だぞ・・・・・・・」
あ、なるほど。とりあえずツッコミに回ったか、俺の口は。でもそうだよな、今時『アベック』て。
「ん?古いかい?」
「「十分以上に古いわっ!」」
うわ、またハモッた。最悪だ。最低最悪だ。最大級に最低最悪で、まさに最悪なバッドタイミングだ。・・・・・・って、これじゃワケわからん。
うぅ・・・・せ、せめて話を元の位置に戻そう。でないと、俺が人間的にどこか壊れちまいそうだ。
「そ、それで!?いつになったら人生〇ームから先に進むんだ、おい!?とっとと続き言え、続き!!」
「別に人生ゲー〇なんて縮めてくれなんて頼んだ覚えは無いんだがね・・・・・」
「い、いいから答えて下さい!!」
桑折、ナイスアシスト。でもな、さっきのセリフに対してどんだけ怒ってんのかは知らねえけど、顔、真っ赤だぞ。それもムチャクチャ。それじゃあ返って逆効果じゃあ・・・・・ちっ、なら俺がせめてこれくらいは言っとか無えとな。
「おっさん?今ハナシこじらせたら・・・・・・マジで人相変わるまでエンドレスで殴る」
さすがにこれで身の危険を感じたのか、やっとおっさんの話は始まった。つ、疲れた・・・・・。
「ふむ。ではさっきの続きだが・・・・・・万が一のために聞いておくが、君たちは『人間:パターンT』という言葉を知っているかね?」
え、どうなのかって?もちろん、俺も桑折も黙って首を横に振ったさ。知らねえモンは知らねえよ。ってかおっさん、またキャラ変わってるよな?
「まあ、そうだろうな。その方がありがたい。では、そこから説明しよう。まず、この地球には大きく分けて二つの世界がある。一つはここ、≪シティ≫側だ。そしてもう一つは≪外≫の側。この二つの世界はかれこれ数十年間パワーバランスが取れている。これは小学生だって知っていることだ。だが、『おかしい』とは思わないかね?片方が極端すぎるんだよ。地球上の広さ・資源・人口のほぼ全てを持つ『世界』に対し、面積は北海道以下、資源も大したものが採れる訳でもない、人口にしてもせいぜい一万分の一・・・・いや、もっと少ないだろう―――――――――こんな≪シティ≫がなぜ数十年も『世界』と互角にやってこれたのか、不思議には思わないかい?」
「ちょ、ちょっと待って下さい!それは≪シティ≫にいるのがESPだから!そういうことじゃないんですかっ?!」
「ESP・・・・・か・・・。確かに、それもあるはずだ。そして、そんな環境だからこそ成り立つ超最先端の技術・・・・・それの存在も理由の一部だろうな」
「な、なら!!」
「だが」
そう言って、桑折の話をおっさんは遮った。
「それにしてもおかしい。ESPだって人間だから、能力を使わない状態で銃に撃たれたら死ぬ。直接向かい合ったって、心臓を杭で打つ必要はない。そこらのナイフで十分だ。なら―――――――なぜ戦争を仕掛けられていない?有り体に言おう。今の≪シティ≫と『世界』が戦争をしたら、百回中百回≪シティ≫が負ける。ではなぜだ?――――――――――この疑問を覚えておいてくれ、次の説明が少しはすんなり理解できるようになる」
ア・・・・・アレ?『次の説明』って何?これで『ピエロとキング』篇も(下)だよ?
・・・・・冗談です。ご安心を。ちゃんと説明はやります。しかし、思ったより長くなっちゃったなぁ・・・・・・。