表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学な都市の四方山話  作者: 久本誠一
シャッフル開始
11/66

10:行動開始!・・・・・①脱出partⅡ

 彼女は少し迷った後、結局自分の意識が戻ったことは悟られないようにすることにし、目をうっすらと開けたまま桑折の様子を見張ることに専念した。一瞬、この女一人であれば気絶させてそのまま逃げ出すことも考えたが、他の人間がいたらコトだし、第一このボロボロの体で行うにはあまりにもリスクが大き過ぎる。あの女の戦力もよくわからないではないか。


―――――くっ・・・、情けない・・・・


 自分は、動きたいときに動くことすらできないのか。肝心な時は、結局何一つ役には立たないのか。そんな思いがかけめぐる。が、その目から悔し涙は出ない。涙は出さない。泣きだして心が折れたりしないよう、感情を全て自分から遮断する。そしてそれは、成功した。いつも通り。いつものように。

 そんなことも露知らず、桑折は彼女に背を向けたままひどく慌てたように氷嚢(ひょうのう)のようなものを戸棚からひっぱりだしたかと思えば、そのままとたぱたと部屋から出て行った。何が来るか、と少しは緊張していた彼女にとって、その行動は・・・・・なんというか・・・・脱力モノで・・・・意識がそのまま吸い込まれそうに・・・・

「・・・・・・くっっっっっ!!」 

・・・・・かろうじて、意識が保てた。やはり、体が相当弱っているのだろう。頭をはっきりさせるため、寝転がった状態で頭を左右に振る。

 と、ここで彼女は、桑折がうっかり犯したミスを発見する。・・・・・ドアが半開きになっている。彼女は、そこで迷わなかった。


―――――もちろん罠かもしれない。だが、この上でじっと寝ているよりはマシだろう。


 そう決意して痛む体を無理やりに、誤魔化しながらも部屋の端まで行き着く。たかだか数メートルの距離だが、今の自分にはつらかった。が、その表情(かお)(つら)そうな色は見当たらない。『辛い』という感情をも強引に押し殺し、彼女は壁に寄りかかりつつも、前に前に進んでいく。


―――――いいだろう、もしこれが罠であれば―――――そう彼女は思った。

―――――仕組んだ者の手の上で、徹底的に踊って壊し、(ゲーム)仕組み(ルール)ごとひっくり返してやろう―――――

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ