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恐怖と天使  作者: ISSA
究極の二択
3/4

【第二話 近づく影】

魂が揺れ動くような、教室のざわめき。窓から差し込む午前の陽射しは、我が身を照らし、力をくれる。この世界はまだ主が知らぬ冒険が待っている。幻想的な旅路に身を委ねよう。


学園の昼休み。

2-Aの教室は、昼食をとる生徒たちの話し声で賑わっていた。

だが、一尺八寸楓花はいつものように席について、誰とも目を合わせることなく、静かに教科書を開いていた。周りの声が、まるで遠くから聞こえてくるようだ。その瞬間、隣から何気ない声がかかる。

「おい、お嬢様。お前、昼食食べないのか?」

顔を上げると、そこには近藤弥生が立っていた。

彼の無造作な髪、少し乱れた制服、そして何よりその言葉の調子──全てが楓花の心に引っかかる。

「……わたくしは、お昼はこれから食べますわ。ご心配無用ですの」

「心配なんてしてない。ただ、お前、いつもお昼時に本読んでるよな」

「……ですから、わたくしは食事の時間を大切にしているのです。無駄に時間を過ごすより、役に立つ知識を身につけるほうが大事ですわ」

弥生は一瞬、楓花の話を真面目に聞いていたが、すぐに笑いながら手を振った。

「なんだよ、堅っ苦しいな。もうちょっと楽しんだらどうだ?」

「……楽しむ? そんなことをしている暇があったら、もっとやるべきことがあるはずですのに。」

心の中でつぶやきながらも、楓花はその声を無視して本に目を落とした。そのとき、何気なく横目で見ると、弥生が無遠慮に隣の席に座っていた。

「席、空いてるだろ? 昼食くらい一緒に食べようぜ」

その無邪気な笑顔に、楓花は驚きながらも反射的に席を立った。

「……わたくしには、ちょっとした用事がありまして。遠慮しておきますわ」

言いながらも、心の中で引っかかる感覚があった。


赤い瞳が光り輝く闇の中、放課後の世界が幻想的に広がる。チャイムの音は魂を揺さぶり、俺の中に眠る力を目覚めさせる。この世界はただの学園じゃない。なぜなら、悪魔の能力の継承者が居る。俺は闇に満ちた魔王として生まれ変わり、この世界はもう俺の支配下にある。さあ、仲間よ。この学園を我々の闇の力で支配しよう。

放課後。

楓花は学園の廊下を歩いていた。

今日はちょっとした用事があるということで、彼女は独りで歩いていたが、目の前に突然弥生が現れた。

「おい、ちょっと待て」


闇に消えた廊下に響く不自然な足音、地獄の魔王と呼ばれる私と遠くの窓から冷たい風が吹き込む

別々の心がとけあう時、もう一度その手はつながれる・・・

楓花と弥生は立ち尽くしたまま、影の存在に凍りついていた。

「……誰だ?」

弥生が声を震わせて問いかけると、影はゆっくりと姿を現し、廊下の明かりの中でかすかな輪郭を浮かび上がらせる。だが顔は見えず、まるで闇に溶け込むかのようだ。

その影が、静かに、しかし冷徹な声で告げた。

「Chi afferra la vipera per la coda, la morderà.

Chi scava una buca, la buca gli crollerà addosso.

Chi abbatte un muro, il muro gli crollerà addosso.

Un albero si vendicherà della sua stessa distruzione su chi lo abbatte.

Dalle piccole cose nasce una grande distruzione.」

(蝮の尾を掴む者を蝮は咬む。穴を掘る者の上に穴は崩れる。壁を崩す者の上に壁は崩れる。木は自分の破滅を以って木を伐る者に復讐する。 ささやかなことから重大な破滅が生まれるのである。)

影の声は、凍てつく夜風のように冷たく、廊下に冷気が走るかのようだった。

その言葉が終わるや否や、影はまるで煙のようにゆらりと揺らぎ、風に溶けるように消えていった。

暗闇に包まれた廊下で、風が魂を揺り動かす。静寂が魔術師のように立ち去り、我が身を包む深淵の闇がそっと息を吹きかける。その時、運命の歯車が再び回り始めるのを感じた。

楓花は心臓が激しく鼓動するのを感じながら、静かに呟く。

「……ただの警告ではない。これは……」

弥生も言葉を失い、ただその場に立ち尽くす。

その瞬間、何かが学園の空気を変え始めていた。

闇の中に立つ私は、放課後の静寂を紡ぎながら、鐘の音を耳に焼き付ける。鋭く響くその音色は、まるで運命の呼び声のように私を引き寄せる。不穏な気配が胸に広がり、闇が私を包み込む。これはただの放課後ではない。これは運命の幕開け、闇の中で私の内なる力が目覚める瞬間なのだ。

「これから、何かが動き出す……」

楓花と弥生の瞳は同時に強く光を帯び、運命の影が二人に忍び寄っていることを告げていた。

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