表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

5 仲間にならない?


侵入者に、静かに問いかける。


「ねえ、チェダン家現当主、クロードさん?」


アイシャの頭の中にある考えは、その容姿を見たことで、その説は確実なものとなった。


父譲りの澄んだ青い目。髪色は母に似たのか、夜の闇をそのまま映したかのような群青色をしていた。


なぜアイシャが彼の容姿で判断できるかといえば、令嬢方の間で話題になるからである。一応その容姿と王女という地位で社交界の花となっていたアイシャは、クロードの話をよく耳にしていたのである。


アイシャを見やるその美しい青い目には、昼の父親同様強い殺気を孕んでいる。


「俺は、あんな女の忌まわしき洗脳になどかかっていない。」


「あら、それなら安心だわ。」


アイシャはそう言うと、足を組んだ。そんな彼女に対し、クロードの警戒は強まる。


「あんたは王女、アイシャ・クイーン・ミルカナ様だよな?」


彼の殺気は消えていない。アイシャはそれに物怖じすることなく、この状況を愉しむように答えた。


「ええ、わたくしは正真正銘のミルカナ王国王女、アイシャ・クイーン・ミルカナよ?」


そんな彼女に対し、クロードの殺気がどっと強まる。そして、彼はアイシャに対して剣を構えなおすと、言った。


「殺す。」


その短い一言の後、アイシャに対して切りかかってくる。


アイシャは素早く椅子から降り、それを半ば盾にするような形で斬撃を受けると、部屋の隅にかかる飾りの剣めがけて走っていく。


「何をしている?それに、箱入り王女様のくせになぜ二度も俺の斬撃をよけた?」


クロードは困惑と殺気が混じった顔で尋ねる。その間にアイシャは壁にたどり着き、迷いなく剣を引き抜いた。


「貴方の疑問には答えかねるわ。何しろ、わたくしのトップシークレットよ?さあ、おいでなさいな。大陸最強の、息子さん?」


そんなアイシャの言葉に対し、クロードは困惑しながらも嘲笑を浮かべた。


「っ!俺と戦う気なのか?この俺と?箱入りの、姫サマが?」


そういいながら、クロードは斬りかかってくる。それをかわしながら、アイシャも細身の剣で彼の喉元を狙うが、その程度読めているとばかりの表情のクロードにかわされた。


「さすがやるわねえ。ねえ、あなた、わたくしの仲間になる気はなあい?」


クロードは、そんなアイシャの発言に対し顔を歪ませる。


「お前の仲間になどならない。」


アイシャは続けて右手で足元を狙った低い攻撃をすると同時に、足元に気がいったクロードの腹に、強烈なレバーブローを叩き込んだ。


急所の一つであるレバー、肝臓は、うまく入れば自分の二倍の体重がある人間でも倒せる。


所詮箱入り王女と思ったのか、鎧を着用していないクロードには、このレバーブローが効いた。


「くっ!」


クロードがバックステップで距離をとる。剣を床に突き立て、なんとか立っていた。


「あら?もう終わり?」


少し微笑みながらアイシャが言うと、クロードは憎らしそうな目を向ける。


「っ、なんなんだお前は!この、この俺が、箱入りのお嬢様如きに、、、、、」


「あら、箱入りはあなたも同じではなくって?命の駆け引きなどしたことがないでしょう。」


クロードの技は繊細だ。それこそ、これまでの努力が透けて見える。だが、彼の動きは所詮規約の中で行う試合で通用するものだ。


「そ、そんなこと、、、」


クロードは言葉に詰まる。


「ほら、図星でしょう?」


剣の腕だけで言うならば、前世のアイシャよりも上であろう。


だが、体術を混ぜたり、その場にあるものを即興で武器にしたりする、ずる賢さがない。


それにより、前世で地区のヤンキーと手あたり次第にケンカをした、経験豊富なアイシャに軍配が上がったのである。







コメントや下の星でポイント評価などいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ