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第二階位 どこを見てもストーカーしかいない

今度の依頼は『ストーカー』探し?!

【ウィンド】の能力者、風翼絆と友人達のドタバタハートフルコメディー(絆注:適当な事を…)


ついに、あの人もメンバーに参加し、能力者のパーティーは夜も行く!



「それじゃ、はじまるわよ!

ちゃんとついてきなさいよね!」


今日もまた、ドタバタ騒ぎが始まった!

朝。

チュンチュンと小鳥がさえずる冬の中の暖かな一日。

風翼絆は今朝も布団の誘惑と無粋な目覚ましの朝一番の決闘に頭を悩ませていた…

布団から出たくない。でも出ないと遅刻する…。2・3分は布団に身を任せていたが結局は渋々起きて鏡と向き合った

(今朝も、爆発してる)

そう思い

(静電気のせいか)

誰も信じない仮説をたてた

「絆ちゃーん」

「わかったわよ…もう…」

なんとか跳ねた髪を落ち着かせてあまり過激にならない程度に押さえつける。

それから弾かれたように立ち上がり、自室を後にした。この家の階段は、とても急だ。ついうっかり油断しようものならば真っ逆さま。一人池田屋になりかねない

「そういえば。最近落ちていくのが見えないわね」

絆は一人物騒なことを呟いて階段を降りた。

「絆ちゃん、遅刻するよ?」

「大丈夫。いざとなったらママが車で送ってくれるでしょ?」

「え?やだ…」

え…?

絆の冷たい目にたじろいで、瀬名は

「わ、わかったわよ!最終手段として送ってあげるわよ!」

「おー。見事な操作術」

トーストにむしゃついているのは…この家の当主であり、また絆の保護者である、風翼(れい)

この和風な家に住むには…やや外国かぶれと思われる服装ははたしていかがなものか。

柔らかな素材の長袖シャツに黒の長いズボン。とりあえず、軽装の状態だ

「なんか言った?」

瀬名の鬼が見える笑みに

「…何も」



このヘタレめ



絆は膝の高さまでしかないテーブルに座って積み上げられたトーストに手を伸ばした。

バターが塗られたカリカリトーストにむしゃりと噛みついた

むぐむぐ…

「そういえば、パパは今日は仕事?」

「んー。予定はないから『宣伝』でもやろうかな…と」

「また『ヴァルハラ』?あんまり遊びすぎないでよね…」

ふーヤレヤレ。と瀬名は嶺に嫌味を言う

「う…うるさいな。ちゃんと宣伝してるって」

割と見慣れた光景である。

ほぼ毎日の朝のワンシーン。

(パパとママは仲が良いなぁ…)

絆はポットからお湯を注いで、粉末のインスタントコーヒーを作りながら思った。

(朝からはウザイけどね)

端から見ればじゃれあいである


「ずずず…。ごちそうさま」

コトン、とマグカップを置いた

その時嶺が助けを求めるような視線なのに気付いて絆は小さくため息をついた。

「どーせパパなんて」

「んなっ!?」

おーおー、背後に『ガーン』って効果音が見えるわ。

小悪魔的な笑みを見て嶺は半泣きで瀬名に降参だと叫んでいたが

「アンクルホールド!」

「なぜ立ったまま出来る?!んぎゃー!!」



いつもの朝だ。部屋に戻ろう。絆は自分の部屋に戻ると、鏡に向かってボサボサに戻った後ろ髪に文句を呟きながら櫛を手に取った

「まったく…なんでこう言うこと聞かないかな…」

ガシガシ、ボサボサ。駄目だこりゃ

「固めちゃえ」

ヘアスプレーで無理矢理整形してどうにか落ち着けてみた。

「…ギリギリかな?」

ふぅ…と安堵して、自分のケータイを手に取った。ピカピカとLEDが発光していたので驚いた

「誰かな?」

メール受信中…完了。


新着一件。開いた。空を駆ける鳥

は けの よ

広 る  私

い 鷲の眼を

? よ  見

風翼絆  つ

は をたすけて

強 頼  て ね

い り

? に「っ!!!」

思わずケータイを投げてしまう

「…何?何のイタズラよ」


送り主は……あれ?



確認しようとケータイを拾うと、メールなんかなかったように待受が表示されていた。

「……あれ?なんともない…?寝惚けたかな?」

ケータイをひっくり返したりしたが、壊れたわけではなさそうでもうそんなもんだと割り切ってケータイを閉じた。

「絆ちゃーん!」

「って!時間がぁぁぁ!!」



遅刻一歩手前の8時ジャスト。



またしてもこんな時間


「あぁもぅ!」

クローゼットに飛び付いた「絆ちゃん、今日もこんな時間ねぇ…」

「うむー。」

瀬名と嶺は背の低いテーブルで向かい合って座っていた。嶺は薄手のトレーナー姿で瀬名はブラウスに茶色い革のベストを合わせた姿だった

「嶺…?」

「うむー。」

気の抜けた返事に、イラッとした。

「話きけっ!」

「めつぶしっ?!」

ギリギリ回避

「あっぶな…」

「絆ちゃん、何かあったのかな?」

「…いや。違う。」

嶺がピクンと反応した

「今日は嫌な風が吹いてるからね」





「外、無風だけど?」

「え?…まじで?」「行ってきまー!」

階段を疾風のごとく駆け抜けた絆に背中から「行ってらー!」と声が飛んできた。



この家は住宅街のど真ん中に存在している。なんでもここが風翼の土地になったのは江戸時代よりも前らしい。

私はあまり詳しくないけど、小耳にはさんだ情報だ。


この町には似たような「旧家」とも言うべき古参の家系がいくつかある。


夜歩(よあるき)

焔村(ほむら)

フィオーレ

切風(きりかぜ)

流浪の月(るろうのつき)

風翼(ふうよく)

聖蓮(せいれん)

秋霜(しゅうそう)

刻曳(ときひき)

ロウ

打紅(うちくれ)

飛鳥川(あすかがわ)



の12家系がこの町の古い書物に出ていた名前だった。もっとも、最近は潰れてしまった家もあるようでどうしても「ロウ」は書物では見つからなかったのを記憶していた


住宅街のアスファルト舗装を走りながら絆はついこの間トラックにひかれかけた交差点を左右確認してから走る




パパ…嶺はこの風翼家の現当主で、見かけによらずこの町の権力の一端をになっていてうちの学園にもその魔手が伸びている



「今まで何度学校に押し掛けてきたことか…はぁ…」


幼少期の記憶が蘇り、ため息がこぼれた



「そうこうしてるうちにもう校門だ!」


好都合ですね「あら、絆さん」

「おはよ、先生」

「朝番…代わってくれない?…パソコンが私を呼んでる気がするのよ…」

「ネトゲ中毒にならないで下さい」

そのまま白坂担任の隣を走り抜けていく

「待ってぇー!あなたしか頼れないのー!」

「知らないわ!」

昇降口に入って、ローファーを上履きと取り換える。少し先に友人を見かけて声をかけた

「はるか!」

「っ!!………あ、絆ちゃんか」

身構えた友人は明らかに不自然な反応だった。そして左右を警戒するように見渡して…ほっとしたような表情を浮かべた

「…?どしたの?元気ないじゃん」

普段は愛らしい笑顔を浮かべてるのに、何故だか今日は不自然な笑顔で『はるか』こと咲山春香(さきやま はるか)はなんでもないと笑った

「それじゃ、お先に…」

「あっ………行っちゃった」

スタスタと歩いて行った春香は、すぐに曲がって視界から消えてしまった「どうしたんだろ………」

「お困りですかぃ?」

下から声がした。

「誰?」

「僕は北沢真琴(きたざわ まこと)。情報屋さ」

絆の胸までない身長の少年が何か言っている。

「…信用してないだろ」

「あたりまえでしょ。ほら僕、自分の校舎に行きなさい?小等部でしょ?」

ひょいと風の力で持ち上げて校舎まで持っていこうとすると

「ふ、風翼絆、身長165cm、16歳、スリーサイズは上から…」

「風よッッッ!!!」

空気の層を作り出して、この少年の周囲を遮断する。もごもごと口を動かした少年、真琴は得意気に胸を張った

絆は空気の壁を解除して真琴に向き合った。


「どうよ?僕の【メモリー】の能力は」

「メモリー?」

聞き覚えのない能力だった

「そう。僕の能力は『見聞きしたことを忘れない』思い出の保管庫!だからこそ確実な情報が伝えられるんだよ」

「ふーん…。」

「…まずBは」

「わかったわよ! あーもう、変なのに捕まったわ…」

ため息をついて真琴から目を背けた


「あの人はね――」「あ、キズナンおはよー」

教室に入った絆はマクロを無視して春香のところへ半ば走るように向かった

「……」

「フラレたわね…。ご愁傷様」

夕凪の慰めでマクロは泣きながら教室を飛び出して行った

「はるか!何で言わないの!」

「………。さっきの子から聞いたの?」

「そうよ。ストーカーにあってるんでしょ?!」


「「「な、なんだってー!!!」」」

面白いくらいに教室が反応した

「バレちゃったかぁ」

「私たちが身辺警護してあげる!だから大丈夫よ」

「…うん」

ほんの少し安心したのか春香の笑顔に元気が戻ったようだった

絆は小さく笑って、それからケータイを取り出した。アドレスから電話番号をダイアル、頼りになりそうな人へ電話した


ピリリリリ…と掃除用具のロッカーから着信音がした。

「そこかっ!『ブラストエア』!」

ずどーん、と大気が炸裂した。

人が一人…頑張れば二人は入れる掃除用具のロッカーは粉々に砕け散り…中から人影が現れた

「痛いよ絆ぁ…」

「パ…げふんげふん。嶺、何時からソコに?」

彼は白いコートについた細かい破片を払いながら、質問の回答をする

「最初から。」

「このストーカー」

「ちょ、ブラストエア(それ)はヤバいって」

圧縮した空気を爆発させて攻撃する『ブラストエア』に狙われて嶺は両手を小さく上げて降参を示した

絆は数秒睨むようにして、構えを解いた


「れ、嶺さん」

「先日はどうも」

小さくお辞儀した嶺と、明らかに顔見知りの春香に絆は驚いた



いやまて私。パパはこの学校では有名人。何らかの繋がりがあっても…



そうだ。動揺しても仕方ない

春香に知っているのかと聞いたら

「ついこの間、迷い猫探しに…」



流石は何でも屋、猫探しまで引き受けていたか…。



絆は思ったが、同時に学園の最優秀生徒であり風翼の当主である嶺が猫探ししている光景が浮かんで思わず噴き出してしまった

「え?絆どしたの?」

「箸も転がると面白いお年頃よ」

パコ、と天井が外れて栗色の髪の毛がぶらんと垂れ下がってきた

「あ、瀬名出てきたの?」

「絆ちゃんの複雑な心境が良く撮れたわよ!」

「後で焼き回して!」

嶺と瀬名の会話に、イラッとした。

「『ブラストエア』」

「「みぎゃー」」

風圧で吹き飛ばされた二人は机をなぎ倒して教室の壁に叩きつけられる

「まったく…」

構えを解いた絆は

「いたた…頭打った」

「くっ…例え私がダメだとしてもいずれは第2第3の私があなたの写真を撮りに…」

「『ブラストエア』」

ズドン

「「みぎゃーー!?」」教室復元中…


しばらくお待ち下さい



「ふむふむ。ストーカー被害ねぇ」

「久々に乙女の悩みね」

嶺と瀬名は絆から依頼を頼まれた

「え…乙メェッ?!」

「あ、アッパーカット?!」

絆の目の前で強烈なアッパーカットが披露され、嶺は宙を舞った


どさり、と落下した嶺の側に男子生徒(一応、共学)が集まって

「見事なアッパーカットでした!」

「傷は浅いです!」

「兄貴と呼ばせて下さい!」

「これが…最優秀生徒www」


「いや、された側だし」

「それ言うと大体深いじゃん」

「おk」


嶺はゆらりと立ち上がって、親指を立てた

男子生徒から歓声が上がり、嶺は元の位置に戻った

「今、ふざけた笑いを浮かべたやつ前に出ろぉぉぉ!!」

「春香ちゃん、大丈夫。私たちとこのバカ嶺が悪漢を退治するわ。あ、嶺が邪魔なら外すから安心して」

スルーされた嶺はショボンと肩を落としたのだが誰も気にしない。だからここは無視しよう

「お願いします…」

ぺこり、と春香が頭を下げた時教室の扉が開いたガラッ、と扉がスライドして担任の白坂威樟がやって来た

「ちゃっちゃとHR始めるよー…って、どしたの?そんなに固まって」

「え?いやパ…嶺が来て…あれ?いない?!」


「誰も教室からは出なかったみたいだけど?」

忽然と姿を消した二人の行方を探したが誰も見つけられなかった

「んじゃ、HR始めるよ」

全員が席についた「――以上。絆さん号令お願い」

「きりーつ、れー。ちゃくせーき」

一連の動作を行い、威樟は教室を出ていった

「さて。今日の一限は~っと」

数学でした。


無情にも授業開始のチャイムが鳴った「よう、テメェら久々じゃねぇか」

「那由多先生ー。前回も登場してましたよねー?」

「間に全ボツの話があったんだよ。切り捨て算だぜ!」

あー。今日も(先生が)わかんない授業だ…。

「行くぜ!方程式だ!」


猛烈な速度で黒板に白いラインが書き込まれていく

χを求める方程式、簡単な問題だ

「つまんねぇな。教科書なんて体積を求める以外の使い道なんて無いな。」


誰もそんな体積なんて求めねぇよ…と誰もが思った。


「三次方程式にすっか」



するなー!…と全員が団結した


「いや、微分して…」


「先生ー。」

振り返った那由多に新聞紙が叩きつけられた

「授業内容がズレてます。凄く」「力学方程式の実学か…なかなかイカスじゃねぇか」

マクロと那由多が手を握りあい、何か常人には理解できない親睦が芽生えたようだった

「マクロ、凄いわ…」

「かずねも思った?」

なんだかよくわからない+-×÷の羅列は際限なく広がるようで、理解できずともフラクタル的な美しさ『だけ』は感じた


「ふらくたる…?」

お嬢様の疑問に

「マクロ視点でもミクロ視点でも複雑な同一の図形を描き続けるもの。よ」

絆は答えた。

それに補足するように和音が

「定規ってあるでしょ?例えば1kmの定規でリアス式海岸線をはかろうとしてみ?」

と言った


「リアス式…岩手とかのギザギザの部分…無理です」

「なら500m」

「まだギザギザが…」

「なら50m」

「あれ?またギザギザ…」

「1cmでは?」

「…あれ?またギザギザになりましたよ…なんで?」


「それこそフラクタル!俯瞰視点からも微細な顕微鏡でさえも同じ形を観測し続ける至高の命題!」

那由多が息を荒げてやってきた

そして、三人を見渡して

「お前達、高校1年でフラクタルを感じてるなんて…エクサ驚きだぜ!」

叫んで

「まっ俺ほどじゃねぇが…。」

呟いて

「個人レッスンだ!他の奴らは適当に自習でもしてろ!」

ガシッ、ひょいと絆、和音、真畔が持ち上げられて教室から運び出されていく

暴れても離れないその腕の強さはまるで万力のようだった

教室の扉が横に開き、そして閉じられたキチ…

「『ブラストエア』」

「因数分解!」

風がボロボロに崩れていって、わずかなそよ風が那由多の髪をなびかせた

「…あ?」

廊下に立ち塞がる白い影…

嶺が那由多を睨み、まるで決闘するカウボーイのように腰の部分に手を添えていた。

「絆に触っていいのは僕だけだ!」


………?


「んなわけ無いでしょ!」

天井が抜けて、嶺の後頭部を鋭いドロップキックが貫いた!

窓ガラスが砕けて校舎から一人が消えた…。

「絆ちゃんに触れるのは私だけよバカ嶺」


((ば、バカ親だぁー!))


真畔と和音の心の声が響いた。

「バカって言うな…」

2階下の地上から小さな声が聞こえた。が無視

「はっ、ストーカーは実は二人か。まるで重解だな」

「?、それって咲山春香の事かしら?」

瀬名の問いに

「代入成功!!テメェがストーカーか!!」

取り出されたのは白いチョーク。至って普通のソレを見て瀬名はわずかに硬直したように見えた


「先生?まさか…」

「約分してやる!!」

チョークが動いた途端、教室の扉が横に開き、咲山春香が飛び出してきた。

「その人達はストーカーじゃありません」

そう言って 彼女は泣き崩れるように座り込んでしまった―――「な、泣いてるぜ…どうするジム」

校庭を挟んだ高い木の枝葉の間に二人の人影があった。

「慌てんじゃねぇリロウ。まずは様子を見るんだ」

双眼鏡を片手に、ジムは遠い景色を見ていた。

「いや、今行けば俺の能力で…」

片眼鏡を片手に、リロウは廊下の景色を見ていた。

「…お前、能力者だったか?」

「くっ!右目が疼くぜ…奴らの中に邪悪な力を感じる…!」

「片眼鏡で目が疲れたんだろ」

ジムは前後逆の双眼鏡を下ろしてリロウにそれを差し出す。が

「他人と同じのはイラナイ」

目も向けずに言い放った―――保険室。


消毒液と独特な雰囲気に包み込まれて、絆、和音、真畔、那由多、嶺、瀬名、春香の7人が長椅子などに座っていた

「まったく…コソコソしてるからストーカーだと思ったじゃねぇか」

「…ごめん」

イライラと青筋を立てる那由多の前で嶺が小さくなっていた。

「でも、どうして那由多先生はその事をご存知で?」

瀬名の質問。それはこの場の質問でもあっただろう

「昨日、コイツの後ろをコソコソつけ回してた奴がいたからな。逆算したらそういう解になっただけだ」

目の赤い春香を抱くようにしていた絆が呆れたように空を仰いだ。


「それじゃ…先生はストーカーの顔を?」

「いや。夜だったしな。χ^2《二乗》みたいな曲線しか見えなかった」


どんな顔だろう、と思い浮かべるのに数秒を要し、誰も理解できなかった。

だが那由多がストーカーの姿を見たのはとても大きな収穫だった。『誰か』までは特定できなくとも犯人像を作り出せるのは重要なポイントだ

嶺は那由多に見たと言うストーカーの背格好を聞いた。

「身長は4^2×10くらい。背の低い奴でな、暗闇に紛れるようにか黒い服装だった」

つまり身長160cm程度で黒い服装だった、と言うことらしい。

「春香ちゃん、心当たりは?」

ふるふると首が横に振られた。彼女が知らないのならば身近な人間ではないのかも知れない、と頭にメモしておく

嶺も先程見たクラスメイトの身長を思い浮かべるが、160cm程度の人間は思い浮かばなかった

嶺は小さく頷いてから那由多にもう少し特徴はないかと聞いた。

「…。そういえば」

那由多が小さく手を打った

「ソイツは背中に何か背負ってたな。長めの何かだ。」

長めの何か…、ね。と呟いて嶺は那由多に礼を言って春香に笑顔で

「大丈夫。必ずストーカーを捕まえるよ

でも学校では絆と行動するように心がけてね?」

はい、と小さな答えを聞いて

「絆、異変があったらすぐ連絡して」

「わかった」

嶺は一度満足そうに頷いて、窓を開けた。窓枠に片足を乗せて

「とうっ!」

その姿が霞になって消えた。


「やれやれね…。んじゃ!絆ちゃん後はよろしくぅ」

瀬名も窓に足をかけて

「よっ!と」

パチッと静電気を発して消えた。ポカーン。と春香は宙を見つめていた。

窓枠に残ったわずかに変形を見て、二人は何処に行ったのかと呟いた

「パ…いや嶺の能力は【ウィンド】。瀬名の能力は【スパーク】よ。風と電気の補助の高速移動、私だってよく使うわよ」

―もっとも、あの二人の速度は異常にしか見えないのだが。

「追い風の加速と電流の筋肉反射か。なるほどやるじゃねぇか」

那由多は吠えるように称賛した。

「…さっ、はるか!教室に帰ろっか」

「あ、うん…」

伸ばした手を彼女は取った。

絆はゆっくりと手を引いて彼女の居るべき場所へと誘う…

「二時限の教員には伝えといてやる。適当にサボってもいいぜ?」

「どうも、先生」

絆は春香を廊下に連れ出して保険室の扉を閉めた―――木の上から二つの光が見えた。

「おい、ジム。帰って来たみたいだ」

「リロウ、片眼鏡で見にくくないか?」

まるで望遠鏡のような遠眼鏡をかけた少年に屈強な肉体を持つ男は気遣いの言葉をかけた

「あぁ。この程度なんてことはない」

リロウは若干ズレた返答をして

「そうか」

ジムは自分の双眼鏡を覗きこんだ

二人が見ているのは絆と春香が教室に戻る場面。春香の顔を暫く眺めてジムは彼女がいよいよ追い詰められてきたように感じた。

内心舌打ちしてリロウに気付いたことはないかと聞いた


「別に。」

「そうかい」

相方の少年はどうにも扱いづらかった。―――それから数刻流れ、学校の最後の鐘がなり、学生達の長い一日が終わった。

ガタンガタンと席を立ち礼をする

ガヤガヤと騒々しく音を立てて一斉に教室を飛び出していく…


そんな中、五人の影が夕焼けの教室に取り残されたように立ち並んでいた。

絆、真畔、夕凪、和音。それから春香。

いつものメンバーの彩乃は、どうしても外せない用事があるらしく、下校していった

「みんな、ごめんね」

そう言って、彼女は教室から出て行った

五人が外の様子を眺めて、校庭にまばらに歩く人が減ったのを見計らって下校する


人が多ければ紛れることは出来た。だが相手は春香をよく知っているのだ。小細工など通用するまい

「キズナン冴えてる~」

「私たちはキッチリ護衛する。それだけよ」真畔に答えて、廊下をうかがう

人気(ひとけ)は無し。小さく合図して廊下に歩を進めた


普段は絶対に無い緊張がまるで綿のように首に絡み付いていく

真綿で締め上げるように不安が胸を締め付けていく、不気味な感覚。今にも物陰から誰かが飛び出してくるんじゃないか?

そう錯覚してしまうほど、この夕焼けの校舎に人気がない…


そう。人気が無さすぎた。


「見てるんでしょ?出てきなさい!」

絆は叫んだ。

声が壁を跳ねて廊下を駆け抜けた


………。


ズルリ、と世界が擦れるような音がして、まるでカーテンから身を乗り出すように一人の青年が姿を現した。

絆達との距離は5m程度。だが、その青年に全員の視線が交錯する

息を飲むほどに端整な顔立ちの青年は小さく笑うような笑顔でゆっくりと廊下に足をつけた。

「なかなか勘が良いね。流石は風翼の養子と言ったところかな」

絆は青年の身長をざっと目測する。

170cm…いや、それよりも僅かに大きそうだ。だが和音が叫んだ

「お前がストーカーか?」

青年は気分を害したように眉をしかめた。

「ストーカー?止してくれ。私は風翼の娘を見に来ただけだ。」

「ふん。言うだけなら…何だって言える!」

窓に渡された掴みやすい棒に手を伸ばし、和音は自分の武器を作り出す!

「『グラディソルダム』」

身を踊らせる巨駆の大刀。あらゆる力をねじ伏せる重力の圧が夕暮れの校舎の鉄筋コンクリートを軋ませる

「天地捻転『グラビティプレス』!」

重力球が生成されて、廊下を壁を踏み潰した生物ではとても耐えられない重力が校舎の一角を捻切った。

潰れた壁は引きずられてバラバラに、廊下は小さく固められて見た目の数百倍の質量で校舎の無事な壁に突き刺さっていた…


「はぁ…はぁ…」

一瞬で全ての力を消費し尽くした和音は床に崩れ落ちた

「ふむ。中々に威力があるな」

青年は、また空間から現れた。

傷どころか疲れた風にすら見えないその人物にゾクッと背中を這い上がる何かを感じた。

「少し、目障りだ」

パチンと指を弾くと和音の回りを重力球が取り囲んだ

「グラディソルダム…」


僅かに力の流れを制御して重力を和らげたが、全身の骨が軋むほどの猛烈な圧力はその程度なんともない。と言わんばかりに和音を上から押し潰す

「かずね!」

「っ………!」

不意に和らいだ圧力を跳ね退けて和音は飛び起きた

グラディソルダムを杖のように床に突き刺して崩れそうになる体を支える

「…。残念だがもう追っ手が来たようだ。風翼の娘、君の鋭い勘は驚嘆に値したよ」

歪められた空間を閉じるように青年は消えていく…

「待ちなさい!あなたは誰?何が目的?!」

絆が叫ぶと

青年は小さく笑って

「夜明けを告げる者。とでも名乗っておく

いずれはまたま合いまみえるだろうがな」

青年はその姿をカーテンに隠して、完全に気配も消えた。


その数瞬後、青年が消えた場所のすぐ隣が『割れた』。壊れた廊下に現れた亀裂に、身構える。

数拍開けてまた亀裂が広がり、さらに大きな亀裂が夕暮れに浮かび上がった…

「―これで、よし」

女性の声がわずかに漏れてきた

「―そっち側の人、亀裂から離れてて。巻き込むと危ないから」

ジャキン。と何やら機械がスタンバイされたような音がして五人は一歩後退した

「―『シフトディメンション』起動。『ブレイク・ザワールド』」

亀裂が一気に広がり、最初の亀裂から景色に穴が空いた。


「やれやれね。駄目じゃない学校でこんな結界張っちゃ」

白衣に、ツナギ姿の女性が夕焼けの廊下からこちらを見ていた。

パチンと世界が切り替わって放課後の喧騒が押し寄せてきた。

賑やかに趣味を語る声、ゲームに盛り上がる声、今夜のテレビ番組を楽しみだと話す声が耳を貫いた

「どちら様でしょうか?」

夕凪が聞くと彼女は答えた。

「精錬学園、大学院院生。内崎黒須(うちざきくろす)

所属は風翼嶺の部隊よ」

風翼嶺の部隊。それを聞いた瞬間に五人の身体に震えが走った。

「黒須…。まさか、あの?!」

「天才技術師、内崎黒須さん!?」

和音、真畔が叫んだ

「yes。」

天才技師、黒須は手に持っていた道具を軽く持ち上げて肯定。尊望の視線を受ける

「黒須さん、どうしてこんなところに?」

絆が目を輝かせる二人を押し退けて聞いた。いくら天才と行っても、こんな夕暮れの校舎で、しかも何らかの術中に嵌まった状態で遭遇するなど偶然では考えられないのだが…


黒須はそれに少し考える仕草をして

「校内で突然 結界が発生して、私がそれの解決に来ただけよ」

それに、と彼女は手にした筒状の金属を見せた

「『シフトディメンション』のテストもしたかったしね。なかなか次元結界の使い手がいないから動作試験できないのよね…。これが」

黒須は五人を見渡して

「次元結界の使い手は誰かしら?この学校にはあれほど強固な次元結界の能力持ちはいないはずだけど?」

手に持った円筒状の『シフトディメンション』を向けて黒須は鋭い視線を送った

和音と真畔は理解できないと数瞬戸惑い、絆と夕凪がその二人の前に飛び出して後ろの三人を庇う

「これは私たちじゃありません」

「その…変な男の人に襲われて、かずねが戦ったんです!」

少し低く構えた黒須は

「どうかしらね?とりあえず私は見てないわ」

聞く耳持たず、『シフトディメンション』を起動した。

やられる!

そう全身が訴えたが、絆も夕凪も退かない

「空間を歪めて、移動出来る男の人です!」

「和音の手当てもしないといけないんです。黒須さん、止めて下さい!」






「――…。空間を歪めて…。まさか」

円筒状の武器を停止して彼女は構えを解いた

それを見て二人も力を抜いて深いため息をついた。緊張を緩めて数秒、目の前の大学院生の様子を窺う…


「わかったわ。今回の件は見逃してあげる」

ほっ…と安堵

「た・だ・し!」

ビクッ、と突然の大声に怯んだ

「以後、無断で『アイツ』と戦うの禁止!

私の勘が正しければ生きてるのが奇跡なくらいなのよ?」

うぐぅ…と五人はおし黙った。何も言い返せなかったから

「…そうそう」

くるり、と背を向けて黒須は呟いた。

「私の研究室は大学院にあるわ。だいたいそこにいるから暇なときや用のあるときは来なさい?

力になってあげるから」

それだけ言って、彼女は夕焼けの廊下を歩いて行った…。カツンコツンと靴が鳴り、残響が完全に消えるときには壁を染める橙がより一層濃くなっていた…その場で固まっていた五人が一斉に力を抜いたのはさらに数十秒たってからだった

「な…なんで天才技術者の黒須さんがこんな所に?!」

「いやいや、それよりも研究室に呼ばれたのが重要よ。学内の絶えない興味。内崎研究室の謎を解明する取材が出来るー!」

「び…びっくりしたら立ち上がれなく…マクロ、助けて…」

三人がわいわいやる中で沈んだ表情の絆と春香。この二人の胸中は大きな波でゆさぶられていた

(『なんで』じゃない。『どうして』黒須さんがこんな所へ?。絶体にテストなんかじゃない、理由があるはず…)

絆が深い思考の海を探っていると、春香の表情が暗いのに気付いた。

「はるか?」

完全に茫としていた春香は呼び掛けに過剰に驚いた。小さな悲鳴に近い声を出してそれから回りの様子を探って、絆を見た

「な、何?」

「いや…あんまりにも呆然としてたから…。大丈夫?」

「あ、うん全然平気…だけど…」

言葉の端を濁した彼女に小首をかしげる

「みんなに迷惑かけてるよね…。私は大丈夫だから、帰っていいよ?」

絆がそんな事は無いと言ったが

「帰って!!」

鋭く耳を突き抜けた高音は、残響を引きずって、四人の視線を集めた。

「………はる」「キズナン、帰ろう。」

真畔が絆の腕を引いた。

「当人が一人で帰る、って言うんだから私たちは邪魔でしょ?

帰るよ」

真畔の断ち切るような声に思わず怯んでしまった。冷たい声に強く引かれた腕。絆を連れて真畔は廊下を歩いていく…

「ちょ、マクロ!」

「いーから♪」

はてな?この悪戯っぽい笑顔は、なんだろうか…

絆は手を引かれるまま連れていかれてしまった…―――木の上に、目があった。

朝からあったのだが意外にも学園の生徒は誰も気付いていなかったのだ


「ジム。ジム!出てきた」

「ん…あぁ…やっとか…」

うつらうつらしていたジムはリロウに揺り起こされて双眼鏡を覗き込んだ。

目当ての人物がようやく一人で出てきた所だった


「よしよし。リロウ、行動開始だ」

「遅れんなよ!」

高い木から飛び降りたリロウの

「いってぇぇぇぇぇ!!!」

叫びを聞いて、ジムは本気で相方に愛想を尽かせかけた。

「オー人事。だっけか」

まぁ、こんなトコに誰か寄越すとは思えないが…。そう呟いて彼は苦笑した

「待ってろよ、俺達のお嬢様よ」

身軽に飛び降りたジムは地面に着地して、隣をうめきつつ転がるリロウを助け起こした。そして、夕闇に紛れるように校庭の背の低い木々に身を隠して移動を始めた―――次第に夕焼けは色を崩し、あまりにも濃い夜の色が空を塗り潰した…

人々は帰宅を始め、家々から漏れる光が感傷的な気分にする…


春香は、一人で住宅街を歩いていた。


「はぁ…。みんなを巻き込んじゃ悪いからああは言ったけど………うぅ…また変な人に絡まれないかなぁ………」

呟きながら半泣きに。大人数ならばならなかったであろう孤独な夜道に新聞などで読んだ凄惨な事件が頭をよぎって震える


「誰も出ませんように誰も出ませんように誰も出ませんように…」

念仏のように唱えながら夜道を一人行く女子高生



非常に異様である。



「もし。」

「っ出たーーー!!」

いきなり背後から声をかけられて、思わず昔習った護身用の通信空手が炸裂した

振り向き様の上段回し蹴り。鮮やかな弧を描いて放たれた技を、筋骨逞しい男が右手だけで止めた。

「危ね…。お嬢様…あぁいや。俺達と一緒に来い!」

「放して、誰かー!」


「ふっふっふー」

夜闇に響いた不敵な笑い。

「? 誰だ!」

ジムは、左右に誰もいないのに気付いて上を見る

「夜の帳に響く悲鳴。聞き捨てならない私達っ!」

月を背景に民家の屋根に並ぶ四人の影…

「絆の文字に嘘はないのよ!!」

名乗り上げたのは。真畔。

その隣の人物は素早く動き、真畔を

「勝手に人の名前で口上やるんじゃない」

蹴り落とした。落下してきた女子高生に、

「ちなみに、屋根の上でも不法侵入ですよ?マクロ」

「まったく…。だから私はあれほど止めたのに…」

夕凪と和音のため息まじりの言葉が降り注いだ。

「「………」」

足を掴んだままの男と、足を掴まれたままの女の沈黙。そして数拍のち

「マクロちゃん?!」

「その制服、精錬学園の生徒か!」

男は春香を放して、落ちてきたマクロに突進する

「キズナン」

「はいよっ『ブラストエア』!」

空気が炸裂して突風が巻き起こった

ジムは軽く押し戻されて、踏みとどまったが

「致命的な隙だな」

空き缶を『グラディソルダム』に変成した和音に弾かれた。

「安心しろ」

宙に投げられた男に和音は告げる

「峯打ちだ」

チャリチャリ、と耳障りな音がして

「補足。『バインド』」

道路から鎖が無数に現れ、ジムの体を絡めとった。


「…ふう。拘束完了、です」

トン、夕凪は小さな音に振り返った。

絶閃・猊浪刺(ぜっせん・げいろうし)

黒い一閃が夕凪を吹き飛ばした


「ゆなっち!」

絆が叫ぶと

「ジム~。ずいぶんやられちゃってるねぇ」

黒い外套を羽織った、少年が言った。

「リロウ。お前が木の下でゴロゴロしてなけりゃ良かったんだろうが」

リロウは、手にした黒い棒を振り上げた

鎖が切れ、ジムの拘束が解けた。

「ゆなっち!大丈夫?!」

絆が駆け寄ると、彼女は目を回して倒れていた…。どうやらさっきの一撃で気絶したらしい。

「あなた、何者よ?」

「…俺はリロウ。リアライズ・ロナウド・ウィラコチャ。夜を刈る者さ」

絆は、袖から小さなブレスレットを滑り落とした。これこそ、絆の武器の材料

「許さない。私の全力で叩き潰すから!」

両手を前に突きだして、手を交差。右手首のブレスレットが右手の下に入った。

「舞い踊れ」

素早く両腕を広げた。

右手には、鋭利な輝きをもつナイフが収まっていて…

「『刻鳥(きざみどり)』」

そんな名をもつ武器だった。


夜を刈る鋭い軌跡がリロウの頭上で煌めいた

何かに弾かれて、絆は後ろに宙返りして反撃をかわした。左右に踏み込んで鮮やかな一閃!

今度は確かな手応え!

「くっ…痛てぇ…」

肩口を切り裂いた刻鳥は止まらない

切り抜いた姿勢のまま空中で向きを変え、逆手に握ったナイフで袈裟に切り裂いた

「ちっ!」

木片が散り、黒い武器が折れたのが見えた

「これでおしまい。『サウザンドスレイ』!」


………


……



絆は、砕けた木片をつまんでため息をついた。

「うわ…これ普通(ノーマル)の木刀だわ…」

「あ、これ『日光みやげ』って書いてありますね。値札はないけど。」

根元を調べていた夕凪が叫んだので、絆はより一層、背後の人物の視線で泣きたくなった。

「…で?絆。何か言うことは?」


「えっと…ほんと、すみませんでした。」

「…他には?」

「………。パパ本当ありがとう」

風翼嶺は、絆の頭を軽く撫でた。何故、嶺がここにいるかというと話は絆が刻鳥を抜いて『サウザンドスレイ』を放った瞬間まで巻き戻る。


「これでおしまい。『サウザンドスレイ』!」

大気を切り裂く無数の刃が迫り、リロウが身構えたその時

「切り裂け『斬翼大鷲』」

鋼鉄の翼がその攻撃を防いだのだ。

幾筋の火花が散って、絆は間合いを開くために後ろに大きく跳んだ

(『大鷲』?!まさか…)

刻鳥を薙ぎ、大気を切り裂く

「風遊べ。『疾風大鷲』!」

先程の、分厚い装甲が消えて夜の空に一羽の鷲が舞い上がった。まるで空を覆うような、実在の鷲をさらに引き伸ばした巨鳥が月を隠し、高くいなないた。

「絆。僕は教えた筈だ。『怒りに曇る眼には何も見えはしない』と」

まるで、鳥の双翼(そうよく)と見間違う剣を両手に一本ずつ持ち、風翼嶺は絆に大鷲を向けた

嶺が操作する風は鋭く骨身を凍らせるほどの畏怖を孕んで絆を強ばらせた…

「…少し頭を冷やせ。」

片翼…、いや、双剣のかたわれを空に向けた嶺は絆に冷たく言った。

「『ブラストウィング』」

巨鳥が空を舞い、嶺の振り下ろした剣のようにまっすぐ絆に向けて飛んできた。

絆はもはや何も出来ない。

全身の力を抜いて、翼長5mはある鳥の風圧を受けて、宙に投げられた…


打ち上げられた絆を、戻ってきた大鷲が優しく背で受け止めた。


そして、地表に着地して、大鷲は消えた


嶺の武装解除。そして、武器の一部である大鷲は嶺の指示に従い元の姿に戻った。

嶺の手首に揺れる、Xを描く双剣の細工に……そして。今に至る。


嶺にこっぴどく叱られ、反論した絆は

「なら、あれを調べてみな」

嶺が指差した木片を調べて、意気消沈していたのだ

「うぅ…ゆなっち。うっかり背後とられないでよ…、能力者かと思ったじゃない…」


今、嶺が治癒包帯…椿井(ツバイ)社が生産する超高速治癒がうりの緑色に輝く包帯をきつく巻いている少年と、鎖にからめられた男は能力者ではなかったのだ


リロウはこの町の中学校に通う二年生。

名前は山田正人(やまだまさと)


何度か警察にお世話になったらしく、嶺がデータベースに照会するとあっさり見つかった。

「ちっ…俺が本調子なら…くっ…」


もう一人は城蘭菜 仁徳(きらんな にとく)。この町の住人だった。

こっちは警察ではなかったが、嶺が電話した先でスポーツジムをハシゴする強者だと判明した。

礼儀正しく、スポーツトレーナーの資格ももつらしい。

「すみません…。あんな手荒な真似を…」

「え?あ、あー。私こそ、すみません…」


そして、咲山春香。

大人しい系かと思っていたが、昔、兄と通信空手を極めていたらしく身体能力は人並み以上!

学校ではあまり見せない一面に驚きと言わざるをえない。



「空手を極めた少女!その実力に迫る!

…次の特集、これにするかな」

「…どこの週刊紙だ」

和音の冷ややかなツッコミに真畔は笑う


真畔は何をしていたかと言うと…


「あれ?キズナン、カメラどうし…アーッ!!!」

ぐしゃり。と地面に落とす。

「はるかのあられもない写真達がー!!」


「えっ?!」

「やっぱりか」

春香の代わりに絆が天誅を下す。


…具体的にはカメラとフィルムの破壊なのだが。


「この鬼ー!悪魔ー!ひとでなしー!」

「どっちがひとでなしよ!」

絆が吠えて、嶺がやれやれと首を振った。

「ちょっと、静かにしてよー。」

包帯をきつく縛って、叩いた。

嶺は立ち上がり ジムとリロウ…いや城欄菜と山田正人を睨んだ

「さて…。君らの素性を聞かせてもらうよ?」

にこやかに脅して、嶺の取り調べが始まった嶺の取り調べはずいぶんと手慣れたものだった。最初は「何故、咲山春香にストーキングするのか」と言う質問。当然黙秘されたが

「まっ、かわいいからねー」

そう言って、次に進ませる。

ずいぶん投げやりな取り調べに二人は戸惑ったり、笑ったりしていたが…最後の質問は一転して

「なるほどね…。君達は誰かに指示されて咲山春香の行動を追っていた。そして、君達は別に彼女自体には特に何もない。そうだね?」


「な、どうしてそれを…」

リロウが口走った。

それを聞いて嶺は頷き、二人を解放した

「ビンゴっと…。ok、もういいよ。君達には危害は加えないから」

そう言って嶺は背を向けて春香の元へ歩いていった…。



嶺がやって来ると

ポカーンとした視線がいくつも覗いていた。

「な、何さ?」

「ど…どうしてあんなに鋭い質問が?

それまでのはとても切り込んだ質問には見えませんでしたけど…」

真畔の言葉に、頷きがいくつも。

嶺は あぁー と言って

「その『切り込んだ質問にみえない』部分が大切なんだよ。

人は問い詰められると萎縮して答えようとしない。だから嘘を言ってでも自分を守ろうとする」

皿を割った子供みたいにね。そう言ってから嶺は続けた。

「でも、取り調べじゃない会話ならば案外ポロッと口を滑らせたりするし、言動の端々に本心が出るんだよねー」

「例えばさ。ほんの一瞬だけ動きが固まれば図星、なんの変化もなければ嘘はついていない。ってね」

嶺は、0.0いくつと数える世界を軽々と言った。

彼独自の尋問術。吐かさせず、答えさせる。ある意味理想的ではあるが…

「私にはわからなかった…」

絆の呟きに、頷き数回。


「ジム、逃げるよな?!」

「…では、これで」

悪漢二人は走り出した。


「さて…と。追いますか…

春香ちゃんも来て?この騒ぎの犯人を捕まえるから」

嶺はそう言って、春香に手を伸ばした

「みんなも…来てくれる?」

戸惑いの声に

「私たち、友達でしょ?」

絆が、真畔が、夕凪が和音が答えた。


「さて、出発するかね」

嶺の手を春香は握り、全員は逃げた二人を尾行していった…この町…桃花市は山々に囲まれた盆地である。盆地の中心が最も繁栄しており『ヴァルハラセンター』と呼ばれる巨大な娯楽施設が目玉の『中央地区』。

西側の工業が盛んな『工業地区』。

東側の畑作が盛んな『畑地区』。


だいたい町の住民は地区を抜いて呼び分けている。


今、絆達があるいているのは西側の『工業地区』。完全に日も落ちた工場街は稼働した場所以外はもう静まりかえっていた


夜を歩く集団は、工場街を右へ左へクネクネ曲がりながら一棟の廃倉庫にたどり着いた。

「バルド!俺だ!開けてくれ!」

「…。名乗らなくては開けるわけないでしょう」

キィィ…と、廃棄された倉庫の扉が開いた。月明かりに照らされて青白い肌の少年が現れた

「ハンドか。助かったぜ…」

「…。やれやれ。二人も揃って気付かないとは」

ハンドと呼ばれた少年は銀色の物体を投げた


物陰にいた嶺はそれを弾いた。


「な、つけてきてたのか!」

リロウは叫んで、ハンドに悪いと言った

「…。邪魔しないで下さい」

タンッ、と軽いステップで、彼は嶺の元まで走ってきた。

軽く100mはあった距離が、あっという間に詰められて…銀色が嶺を裂いた


「うっとと…」

白いコートの袖が斜めにカットされていた。再び迫る銀の光に嶺は双剣を呼び出す

「風遊べ『疾風大鷲』。」

かん高い金属音がして嶺の大鷲を輝く軌跡が跳ね上げる


その隙に嶺は左腕から何かを伸ばしてハンドの頬を殴った!


「…?!」


何が起きたかわからないハンド。嶺は素早く左腕を横に振るうとまるで鞭のように前方を払った

「…。鞭、か?」

「特殊兵装…とかならカッコイイんだけどね。ただのベルトだよ」

2mは余裕で凪いだベルトは嶺の袖から伸びて、ハンドが掴んだ。

「…」

「廃棄」

カチン、と嶺の袖から金属パーツが落ちてきて、地面に落ちた。

「絆、中へ行って!」

嶺が言った。

「巻き込むかも」

絆は全員の手を掴んで走り出した絆は倉庫の扉まで辿り着いた。

「かずね、開けられる?」

「もちろんだ」

『グラディソルダム』『刻鳥』。二つの名が呼ばれて 二つの武器が月明かりを照り返した。

「刻め『サウザンドスレイ』」

「天地捻転『グラビティプレス』」

切り刻む千刃のヤイバと重力球が倉庫の扉を砕いた。


木片が散り、ぽっかり口を開けた穴に飛び込んだ!





「さぁ。夜風に震えろ『疾風大鷲』。今日の獲物は活きが良い!」

空いた穴から月を隠す影が見えた。

いなないて、夜を引き裂く巨鳥が駆ける

ハンドの手にあるナイフは、余りにも心もとない武器で…大鷲はハンドに風圧を叩き付けた!

倉庫が震えて、どこかの何かが割れる音がした。地面に叩きつけられたハンドは嶺を見上げ

「…。能力者。」

「あんたも一般人?強いね…」

嶺は笑って、剣を納めた…。


「あの、こんな場所であんな武器使っていいんですか?…っていうか、あの鳥は?」

春香の疑問に

「大丈夫。被害はたいしたことないわ。あの鳥…大鷲はある程度の『見ることができる』人じゃないと見れないわ

学園の生徒並みの能力者ならば全員見れるはずよ」

つまり

「あれも、能力ですか」

「ま…そんなものよ」

嶺が一人で倉庫までやって来た

「久々に一般人にやられたよ。油断したかも」

あはは~。と腑抜けた笑顔で彼は回想していた。足が早いとか、武器のナイフはなかなかのものだった。とか


正直、聞いてる方は殺されかけた人間が笑顔で語るのが理解できなかった…


「さて。この奥に誰かいるかな~」

嶺は上機嫌に、鼻唄混じりに歩いていった


「…流石、伝説の人は違うな」

「まるで上流階級と話している気分です」

五人は小走りに嶺の背を追った




倉庫内部は打ち捨てられたにしては綺麗な状態だった。もちろん入口部分は(絆達が散らかしたのを除いても)埃や、何か分からない缶が転がっていたのに、進むごとにゴミは減り、まるで偽装工作のような散乱の仕方になっていた。

そして、奥に進むと光が見えてきた


「みんな、静かに」

嶺が五人を制して、耳を澄ませる……


「…。ok、進もう」

嶺が一歩踏み出すと、壁向けて強烈な照明が照射された「春香。ようこそ、我がアジトへ。ここならば安全だよ」

強烈なライトは、ライブ会場などで使われる照明だった。照らされた人物は大げさな身振りで振り返る!

「…お兄ちゃん?」

体のサイズには僅かに大きな上着を羽織って、その男は両手を広げた

「よくやった。リロウ、ジム。後で何か褒美を………」


男、硬直。



「だ、誰だ貴様ら!!!」

「今さらっ?!」

絆が叫んだ

「リロウ!ジム!ハンド!無事か?!」



………。



「な、なんということだ…春香が人質に…。クソッ!何が狙いだ!この悪党め!」


「ねーねー。はるかー。あの物凄いカンチガイ男、あんたのお兄ちゃん?」

真畔が聞くと

「いえ。違います…」

どこか遠くを見つめながら春香が呟いた。


「な…バカな?!お兄ちゃんがわからないのか! 貴様ら、洗脳して、何をさせる気だ!!」

一人、叫び倒す男に

「うるせぇよ。」

一瞬だけ嶺の雰囲気が変わった。ような気がした

「絆。犯人確保」

嶺が右腕を掲げる…

交差した指のまわりに風が渦巻いて、絆はそれにならう

「「『ブラストウィンド』」」

指を弾いた。

パチン!と綺麗な二重奏が響いて…風が揺れた。

「あっが…」

突然。何も予兆なく男が壁に叩きつけられた。ギシリと嫌な音がして男の体がわずかにめりこむ

「ゆなっち!確保!」

両手を打ち鳴らす音。夕凪の能力が呼び起こされて壁から鎖が伸びてきた!

「能力【チェイン】『バインド』」

壁が取り込もうとしているのか、鎖で身動きを封じられた男はさらにめり込んだ

「確保、完了」

風翼は手を払い、風の残梓が飛び散った………。

鎖で巻かれた男は気を失っていた。

ある意味、正常な反応だろう


「さすが嶺さん!」

真畔が拍手して、嶺は少し嬉しそうにして

「「ちゃん、ちゃちゃちゃん」」

なんかやった。

「タモさん?

…じゃない。この後コイツどうするの?警察まで直行?」

和音の言葉を聞いて 春香は一瞬だか表情を曇らせた。その変化は居合わせた全員が気付いたほどだ


「仕方ない。起こすか…」

嶺は鎖に絡めとられた男を揺さぶる

…返事がない。

もっと揺さぶる

…反応がない。

「………。」

嶺が(しまった、やりすぎたか…)と思った時、春香が動いた

「…起きて。お兄ちゃん」

「起きたよ。」

一瞬で目を覚ました男は春香を見て、突然泣き出した

「そんな、洗脳されてもお兄ちゃんを思い出してくれたか…。ぐすっ」

絆たちは倉庫の探索を始めていて、まともにこの男を見ているのは嶺と春香だけだった

「別に、洗脳とかじゃないよ?」

「なにっ?!ならばなんでこんな夜にお兄ちゃん以外の男と一緒にいるんだ!悪い子だ!」

「はぁ。そこの人。もんのすごーく誤解があるようだけど、僕は風翼嶺。何でもや」

「貴様、春香を脅した本人だな!!!」






「…はい?」


嶺は、昔から仕事の都合上よく変な噂をながされる事。例えば 一国の首相をクーデターから守るために国民を一晩で滅ぼした悪魔…。とかだが、今回のような事は初めてだった

「貴様、夜中に妹を家に連れこんだ、風翼だな!!!」

………。はて、記憶にないな。嶺が言うと

「とぼけるな!お前が…」

「…もう、黙れ」

どす黒いオーラを纏って春香は右腕を水平に掲げて…一突き。

ぐふほっ?!

小さな断末魔じみた音がして、カクン、と男はおとなしくなった。

「これ以上私の言うことを聞かないなら、その口縫い付けてあげるんだからね!」

「まさかのヤンデレ?!」

嶺の驚き。ズギャーンという効果音が聞こえたような気がした。

「…はぁ。嶺さん、ほんっとーにごめんなさい!私のお兄ちゃんが…全ての元凶だったなんて…」

はぁ、と短く息を吐いた彼女になんてことはないと笑いかけた

「うちの仕事は普段はもっとハードだからね。これくらいなんてことないよ」

「でも…まさかお兄ちゃんが元凶とは」

「あー。うん。愛されてる(?)ね」

さすがの嶺もこれには困った表情で答えていた。




「パパー!これ見て!」

絆が何か…紙のようなものをヒラヒラさせながら走って来た。

そして、それを上回る勢いで飛んでくる真畔。

「キズナン!いまパパって呼んだ?呼んでたよね!」

「うぐ…しまった…つい油断したわ…」

飛んできた真畔を巧みに受け流し、そんなことよりも!と話題を変える

「これ!この写真!」

絆は写真を見せつける


それは、日も落ちた時刻。風翼の屋敷の写真だった。風翼の門に入る少女があたりを窺っている様子が写されていた…

「あ、これ…」

写真に写る人物、春香が口を開いた

「あの時の…」

嶺もそれを聞いて

「あぁ~。あの時のか。なるほどね」


どうやら、この二人には共通認識があるようだった。

絆が あの時? と聞くと、春香が答える

「この間、嶺さんに迷い猫探しをお願いしたんです。うちの『ミャーコ』がいなくなっちゃってて…」

「そうそう。一晩で見つけたけど、猫探しは本当に疲れるよ…。確か、全然知らない人の家に上がり込んでエサをもらってたんだよね?」

「はい。『タマ』のエサをもらっていたみたいで………」

二人は、そんなこともあったね、と笑う。


―じゃあ

「なんでそれがこんなストーカー話に?」

絆の鋭い一言。

「だからそれを聞くんだよ、っと」

嶺は、コートの内側から手のひらサイズの小さなケースを取り出した。シリコン素材のそのケースを開けると、中にはぎっしりと小瓶が並んでいて、嶺はその中から一つを選んで、取り出した。


キュポッ!と音がして小瓶の栓が抜かれた


「てい」

無理矢理男の口にねじこんで、瓶を傾ける

「ぐはっ!な、にげぇ?!」

「気付け薬だよ。さて」

嶺は小瓶を投げ捨てて、言った。


「話してもらおうか。全容をね」今度の嶺は詰問するような問いを繰り返した。やはり、黒幕ともなると扱いも変わるのだろうか?

「名前は?」

「咲山…春徒(はると)

「何故咲山春香に?」

「うちの妹がそんな、夜中に誰かの家にいくなんてありえない!夜通し何をした…ぐふっ!」

「お兄ちゃん?質問にはちゃんと答える」


―何故か、はるかは黒くなっていました。

何となく怒ってる雰囲気の嶺と冷酷な視線の春香が鎖で絡まった男…春徒を尋問しているのはとても奇妙な光景だった。

「僕も、彼女も共通認識で『猫探し』があるんだけど」

「それでも言うことは?お 兄 ち ゃ ん ?」



「…見てて怖いな」

「うーん。まさかみんなの愛されキャラが実は女王様。なんて………次はこれの特集ね」

「なんて身勝手なんだ、こいつは」

絆は呟いて、三人を見た。



「…言・う・こ・と・は・?」

ギリギリと鎖を引っ張る春香。

「ご、ごめん!悪かったって!春香っ!」

「『ごめんなさい春香ちゃん』」

「ご、ごめんなさい!春香ちゃん!くるし」

「あら、私だけ?ほら、嶺さん…いや、嶺先輩にも謝って?」

「ケッ。悪かったな」

ギリギリギリギリ…

「ぐおっ!はるかっ!首っ!しまって…」

「………」

「ごめんなさい!嶺先輩っ!だから…ぐるじ…」


「別に、あなたの先輩じゃないでしょう? 言い直し」

「あの…そろそろ死にそうじゃない?お兄さん…」

「あぁ大丈夫です。まず躾が大切ですから」

あ、そうですか…と、今にも消えそうな声で呟いた嶺の後ろで

「この、馬鹿ぁ!!」

絆が、ついに飛び出した。

「何が躾よ!そんなことする人なんかいるわけ………」

絆の脳裏に、非常に身近な二人の姿が浮かんだ。

「い、い、い、いるわけないでしょ!この馬鹿春香!目を覚ましなさい!」

パシーン…と、平手打ちの音が響いた



「キズナン、動揺してたね」

「まぁ…たぶん聖蓮先輩だろうな」

ふぅー、と外野二人はため息をついた



「うぅっ…うわぁぁぁぁん!」

「よしよし。怖かったね、私はちゃんと側にいるよ」

泣きついてきた春香を、絆は抱きしめる

あんな冷たい事をして、誰かを繋ぎ止めなくても、ちゃんと隣にいてあげる。そう伝えて、優しく力を込める

ケータイが震えたが、今の私達には邪魔でしかなく、絆と春香はお互いに強く抱きしめて…


「春徒ぉー!!!」

鎖が抱きしめられていたのすら気にしなくて、右往左往する嶺も気にならなくて、そして


「キズナン!!!」

友人すらも…いらなく…

「あやのんが…病院に…」


絆も、春香も、嶺でさえも素早く反応した

どうも。ようやく二話が仕上がりました白燕です。皆様お楽しみいただけましたでしょうか?


まず、今回は次話アップまで物凄い間が空いてしまい、本当にすみませんでした

リアルでの卒業、入学となかなか書く暇がなく…慣れない電車の中で揺られながら執筆していました。

最近、ケータイの電池の減りが激しいので、そろそろ変え時かと思う次第(^^;


誰か、auでオススメの機種があれば是非教えてくださいm(__)m



さて。実は作中でも微妙に那由多が言ってた「全ボツ」ですが、物凄い鬱回になったのでボツにしました。たぶん、物凄い路線変更をやったと思います(-_-;


そして、次の話はこの影響で産み出されました。第一の被害者、そして闇。急加速するお話に、どうぞご期待下さいっ!

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