現実と次の目的
昨日頑張った次の日の朝は辛い。
体も怠いし、もう少し寝ていたい。
でも
「・・・・うーん起きなきゃ」
結局昨日は夜遅くまで三音さんを特訓に付き合わせてしまったからな・・・申し訳無い。
意外と動きやすい裏犯罪特殊課、特注のスーツに着替えて、私は家を出る。
――――――――
「おはようございまーす」
裏犯罪特殊課の部署に行くと、もう半数の人が席に座っていた。
完全遅刻じゃなくて良かったと安心しながら、前の席に座る。
時間が来るまで戦闘の脳内シミュレーションを
まだまだ未熟者だから、ガッチリなシミュレーションは組めないけど
しないよりかはマシだろう。
時刻が9:00を指す
「これより裏犯罪特殊課の報告会を始める。先に俺からの報告だ。昨日裏に宣戦布告をしてきた。
これから裏との戦争が激しくなる。それを踏まえて調査に当たれ」
三音の声で現実に戻る。
はいと皆が大きく返事をした。
その後にチームのリーダーの人達はそれぞれ手を上げ、報告をしていく中で
有力な情報が一人の男から上がる。
「裏の5柱の5が使っていたらしき部屋を見つけました」
ざわざわ
「じゃあそこに攻め込んで」
裏犯罪特殊課のメンバーの一人は、意気込んだ。
「待て、お前達は引き続き調査しろ、主な裏の大黒柱は俺が片付ける」
「良い所を取っていく気か!?責任者はよ」
その言葉を肯定し、ブーイングをあげる者もいた。
「静かにしろ。・・・・できる限りお前達の意見を尊重したい所だが
これだけは言わせてくれ、裏の大黒柱を普通の犯罪者とみるな。裏全般に言える事だが
相手は能力者、俺たちは非能力者だ。戦闘力の差はそう簡単には埋まらない。つまり5柱と相手したければまず俺を超えろ」
静まりかえる裏犯罪特殊課に重々しい空気が流れ始める。
「指揮官」
「なんだ?」
「俺は裏が嫌いです。でも俺の強さには限界はある、裏とは戦えるのに大黒柱まではいかなかった。
それが悔しいです。この届かない力を俺なりに変えて、サポートとして三音指揮官にバトンを渡してもいいですか?俺の代わりに大黒柱を全滅させて欲しい・・・です」
彼は自分の実力の限界を知った、目を背けがちの現実を受け入れて
倒せるチャンスがある三音にたくそうとしている。
自分は出来る事で彼をサポートする事を望んだ。
三音の言葉を聞いて、揺れたのだろう。
「ああいいだろう。お前の代わりに俺は大黒柱と戦おう。ただしお前も裏犯罪特殊課の一人だ、
己の強い武器で戦い磨きをあげろ!」
強くコクリと頷く彼は泣いている。
選ばれたからって、皆が皆、届かない世界もあるんだって
皆が皆、理想になれるほど強くないんだって
まだ朝なのに寂しくなったんだ・・・・・。
「・・・・・・・」
10:00時頃
裏犯罪特殊課の報告会は終了し、皆がそれぞれ解散する。
そして誰も居なくなった所を狙われた私は、彼に手招きされお呼びがかかる。
「なんでしょう?三音さん」
駆け寄ると
報告会で出た内容をまとめた資料が広げられている。
その中の地図には赤マーカーで囲まれた地域や、付箋に書かれたメモなどが
沢山貼り付けられていて賑やかだ。
「裏の5柱の5を落とす」
「お!・・・・昨日の特訓の結果を披露するんですね!分かりま」
「の前に奴らの金融機関を潰す。経営者は情利直々の部下で、しのせ・カショウセツ、という小説家らしいぞ」
ガクッ。な・・・なるほど、5柱を殺る気満々だったのが急に恥ずかしくなってきた。
「でも場所は?」
気持ちを入れ替え、三音に聞くと自信ありげに
「それは計算済みだ」
との一言。何が計算済みなのか、首をかしげる。
「これを見ろ」
ずいっと見せられた資料には、写真、精密な座標が書かれていてとても見やすく私の理解も早くすんだ。
「なるほど・・・見た感じ凄い大企業」
椅子から立ち上がりスーツを羽織って、先に出ていく彼が残した言葉は
「さあ仕事だ。死ぬなよ」
元気な彼で安心しました。 (昨日付き合わせたからもっと疲労があるのかと思ってた)
「失礼ですね三音さん、簡単には死にませんよ!」
そこを真面目に強調する。
子共が親に駆けるみたいに、彼の背中を追いかける。
現実では追いつけるけど実力では追いつけない
分かってるけど、分からない振りをしてる事が果たして正しいのか?
それすらもまだ分からないけど、今は夢を見させて下さい。
数年後の未来には、"変わった"と言えるように、頑張ります・・・・。