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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
99/169

【九十九】白波女子、有馬女学園のお引っ越しが始まる!

 徳田康代は、生徒会会長と大統領の立場で、豊下秀美と明里光夏に白波と有馬の転居を任せることにした。

執務室の隣室の生徒会室では、サポート体制の準備が生徒会役員の指示で進んでいる。


『秀美、光夏、聞いて!

ーー 明日の二十七日より、白波女子、有馬女学園の面接を安甲(あきの)先生がします。

ーー 同時にお引っ越しが始まります』


『面接は、一日五十名、お引っ越しも五十名です。

ーー 全員で七百五十名ですから、最短で十五日が必要です』


「宝田劇団のお引っ越しの経験が生かせますね」

秀美が言った。


『生徒会の門田菫恋(かどたすみれ)さんに伝えてあるから、

ーー 生徒会の支援を受けてお願いします』


「康代さん、心配無用です」


「秀美は、単純でいいわね」


「光夏、それは無いでしょう」


近くにいた静女(しずめ)がくすくすと笑い始めた。


「静女殿、笑い過ぎです」


「秀美は、単純でござるよー」


 天女の太鼓判に、秀美はボブヘアの赤茶の髪を(いじ)り始めた。

秀美の癖である。




 陰陽師の安甲晴美は神聖女学園の面接室で面接の準備を始めた。

生徒会のメンバーが数人でサポートしている。


「安甲先生、これが生徒の個人情報と入居リストです」


「門田さん、ありがとう。

ーー じゃあ五名ずつ呼んでください」


 生徒会の門田が白波女子の生徒五名を呼んだ。

部屋の中央には椅子が五つ置かれている。


「お入りください」


 安甲が着席を指示して、五人は椅子に腰掛けた。


「あなたは、かるた部の人ね。

ーー お会いしているから、すぐにお引っ越し手続きをしてください」


 別の生徒会メンバーが案内する。


 残りの四名の自己紹介を安甲が促し、最初のグループの面接は何もなく終わった。

安甲は、門田から渡されたリストにメモを入れている。


 第五グループで二十五名になった。


「あら、逢坂さんじゃない。

ーー あなたは面接必要ないわ。

ーー お引っ越し手続きをしてください」


「先生、ありがとうございます」


 次々に自己紹介が終わり、リストにメモが加えられて行った。


 初日の五十名の顔合わせは、予定より早く終えた。

安甲が生徒会の門田を呼び別の指示を出している。


「この二人をもう一度、呼んでもらえますか」


「はい、分かりました」


 隣室では、面接を終えた女子生徒たちの身体検査が行われていた。

新しい制服の発注に必要な、身長とスリーサイズの計測だった。

 生徒会は夏休みを返上して全員体制で対応している。


「安甲先生、お連れしました」


「君たち、二人は、能力も優れているので別クラスになるけど構いませんか」


「そんな、普通ですが」


「見た目はね。でも本当に優秀よ」


「成績も普通ですが」


「神聖女学園は、ちょっと変わった学園で能力者を育成しているの。

ーー あなたたち二人が該当したのよ。

ーー 逢坂さん、分かるでしょう」


「先生がそういうなら従いますが、ちょっと複雑」


「大丈夫よ、食べられることはないから、

ーー 落ち着いたら、かるた部にいらっしゃい。

ーー 先生が鍛えてあげるわ」


「元クイーンの安甲先生のご指導、夢のようです」


「逢坂さん、待っているわよ。徳田も喜ぶわ」


「私も徳田さんとお会いしたいです」


「大丈夫よ、これから飽きるほど会えるわよ・・・・・・」


 安甲は、豊下を呼び面接スケジュールの変更をお願いした。


「一日の面接を六十名にしてもらえますか」


「入居スケジュールと併せてギリギリですが出来ます」


 生徒会にもスケジュール変更が伝えられてた。




 夏休みのイベントがクリアされて息抜きをしたいと、徳田康代は思っていた。

かるた部の練習会が消えたわけでは無かった。


 宝田劇団の朝川を除く四名、夜神、赤城、大河原、朝霧は旧体育館での朝稽古に熱中している。

その関係で、かるた部に朝川夏夜だけが来ていた。


 最近の朝川は校内大会以来、更に気合いが入り自陣かるたにみがきを掛けている。

大会では、夜神に敗退した訳だが、朝川は対戦成績を引きずるタイプでは無かった。


 森川楓(もりかわかえで)副部長が、朝川に声を掛けた。


「朝川さん、復習も兼ねて私の練習相手をしてくれますか」


「森川さんの相手になるレベルじゃ無いですが」


「自陣かるたの練習ですから、あまり気にすることないわよー」


「じゃあ、森川さんよろしくお願いします」


 朝川は、夜神より三歳年上のアラサーだったが、年下の子たちへには丁寧な対応を心掛けていた。


「朝川さん、一字決まりが複数並んでいると両方が飛ばされやすくなりますよ」


「森川さん、分散ですか」


「上級者は両方を同時に払って払ったことにする強者もいるわ」


「なんとなくそういうのもあるかと思っていたわ」


「自陣の配置の戦略って難しいわね」


「朝川さん、五十枚かるたをしませんか」


「空札無しですか」


「変則的な練習ですが自陣配置の練習にはなるわよ」


「五十枚、覚えるのは、大変じゃ無い」


「自陣の五十枚を覚えることで、

ーー 試合の時の自陣二十五枚と敵陣二十五枚を覚えやすくできるわ」


「なるほど、脳トレね」




 お昼になって、朝川は森川と一緒に校舎の一階食堂に行く。

遅れて夜神たち四人と合流した。


「朝霧さん、五十枚かるたしたことある」


「いい練習よね・・・・・・したことあるわ」


「なにそれ・・・・・・」

赤城だった。


「自陣かるたを二十五枚じゃなく五十枚で遊ぶ一人遊びよ」


「朝霧さん、どうするの」


「普通は三段の置き方でしょう。

ーー それを四段にするだけよ。ちょっと中央が窮屈(きゅうくつ)になるわね」


「面白そうね・・・・・・」

 夜神だった。


「奇想天外ね」

 大河原も呟いた。

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