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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【九十七】かるた大会決勝 大スターと接戦でござるよー!

 準決勝で敗退した徳田康代は、静女(しずめ)(なだ)めるように話しかけた。


『静女、今日の結果は最初から分かっていたのよ』


「康代殿、がっかりされないでござるか?」


『かるたは、時に運が左右するの。

ーー 例えば、敵側の自陣札ばかり()まれたら、静女はどう思う』


「それなら、その相手が有利になるでござるよー」


『それは極端だけど・・・・・・。

ーー 実力以上の目には見えない力が働くことがあるの』


「まるでスピリチュアルでござるよー」


『そうね。人は運とも呼ぶのね』


「運も実力でござるよー」


『だからねーー 沢山練習して、そのハンデを埋めるの。

ーー でも運命戦になれば、それも通じないわね』


「かるたは、奥が深いでござるな」




 インターネット中継の向こう側では、神聖女学園の武道場以上に盛り上がっている。

 神聖女学園の生徒たちも学園寮の最上階のラウンジにある大型ホログラムディスプレイの前で観戦していた。


「えええええーー 徳田さんと逢坂さんが負けたの・・・・・・」


「決勝は、A級同士の対決と思っていたわ」


「そうよね。普通なら・・・・・・」


「でも、宝田劇団の大スターが決勝よ」


「朝霧さんね。あの人、高校までかるた部で活躍していたそうよ」


「なんで、校内大会に出れるの」


「噂だけど・・・・・・。

ーー あの陰陽師(おんみょうじ)の安甲先生が、かるた部と別に神聖女学園かるた会を立ち上げたそうよ」


「なるほど、そういうことか」


「でも、いきなり決勝よね」


「相手は演劇部部長の姫乃水景(ひめのみかげ)さんよ」


「凄いわ、どっちも超がつく美人じゃない」


「決勝が楽しみね」


 その頃、神聖女学園の広報には問い合わせが殺到していた。


「申し訳ありません。

ーー 当学園では、一般学園のような入学試験が行われていませんので失礼致します」




 豊下秀美は全国生徒会議に連絡を入れ、念のために徳田幕府女子高生支部にも相談をした。


「そういう事情で、ネット配信が成功していますが。

ーー 別の悩みが起きてしまいネットが暴走しています。

ーー 念のため幕府の支援あれば幸いですが」


「分かりましたわ、豊下さん、

ーー 不測の事態にならないように監視を強化しましょう」


「ありがとうございます。助かります」




 武道場の外には朝霧雫を一目見たい女子中高生が集まっていた。

豊下は警備増員を依頼して対応している。


「康代さん、警備増員は完了しました」


『秀美、いつも助かるわ。

ーー そろそろ決勝よ。秀美も一緒に応援して上げて』


「かるた、よく分かりませんが、応援できるのも役得ね」

と言って、秀美は照れていた。


 司会の門田菫恋(かどたすみれ)姫乃水景(ひめのみかげ)朝霧雫(あさぎりしずく)が決勝会場に入場する。

 応援席には、宝田劇団の元スターと現役スターがいる。


「夜神さん、朝霧さんが決勝なんて思ってもいませんでしたね」

「私も赤城さんと同じ思いよ」


 専任読手と審判員が入場して会場がざわつき始めた。


 司会の門田が決勝開始を宣言して、姫乃と朝霧がかるたを並べ始める。

専任読手が並べ終えたのを確認して、暗記時間十五分を宣言した。


「はい、暗記時間終了です」


 専任読手が序歌(じょか)()み始める。


「なにわずに さくやこの花 冬ごもり


いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・


いまを春べと 咲くやこの花」


続いて、かるたを箱の中から一枚引いた。


「めぐりあひて・・・・・・」


 紫式部の一字決まりは空札(からふだ)となる。


 両者の顔が接近するくらいに身を乗り出しているように見えるがペナルティは無かった。


「あらざらむ・・・・・・」


 和泉式部の三字決まりも空札(からふだ)になった。


 未だ、二十五対二十五。


「よをこめて・・・・・・」


 清少納言の二字決まりが空札(からふだ)となり、空札は残り四十七枚になった。

更に空札が続き、空札が十枚続いた。


 専任読手が十一枚目を引く。

「やすらはで・・・・・・」


[かたぶくまでの・・・・・・]の下の句がクルクル回転して落ちた。


 先取したのは、朝霧雫B級だった。


 中盤まで朝霧雫リードで後半に入る。

残り枚数は、朝霧十一枚、姫乃十四枚。


 接戦が続き大山札が引かれる。


「きみがため・・・・・・」


 姫乃の手が(わず)かに早く、姫乃の自陣から下の句の[わがころもでに・・・・・・]が飛ぶ。


 終盤に姫乃が追いつき、運命戦になった。

二人の(ひたい)に汗が浮かんでいる。


 姫乃の自陣には、大山札の一枚。

朝霧の自陣には、一字決まりがあった。


 大山札(おおやまふだ)の残りは、[あさぼらけ、きみがため、わたのはら]の三枚と姫乃は思っていた。

姫乃の自陣にあるのは、[きみがため]の三字きまりの下の句の[ながくもがなと]だった。


 専任読手の手が動き、二人は身構え腰が浮いた。


「あさぼらけ・・・・・・」


 大山札は、空札(からふだ)となり、会場内の空気が緩む。


「わたのはら・・・・・・」

また、大山札の空札。


 姫乃は思った。もう大山札は私の一枚だけ、二度あることは三度あると・・・・・・。


「はるのよの・・・・・・」


 三字決まりの空札(からふだ)が引かれ、二人は腰を落とす。


 姫乃も朝霧も心の中で祈る。


 専任読手の手が動く。


「きみがため・・・・・・」


 朝霧雫の手が遠くから姫乃の視界に入った。

僅かの差で姫乃は、下の句の[ながくもがなと]を押さえた。


 勝負が決着した。

両者が畳に両手をついて挨拶をしている。


「姫乃さん、おめでとう」


「朝霧さん、ありがとうございます」


 司会の門田菫恋(かどたすみれ)が会場中央に再び登場して挨拶する。


「第一回校内かるた大会本選の優勝者は、演劇部兼かるた部所属の姫乃水景(ひめのみかげ)さんです。

ーー 準優勝は、神聖女学園かるた会の朝霧雫(あさぎりしずく)さんです。

ーー お二人に拍手をお願いします。

ーー では、次回の校内大会でお会いしましょう」


[パチ、パチ、パチ]




 門田が閉会を宣言したあと、ネットの()()()は暴走状態になっていた。


「お二人とも美しいでござるよー」


静女(しずめ)も綺麗よ』

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