表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
95/169

【九十五】かるた大会準々決勝 守りかるたでござる!

 八月二十四日、神聖女学園校内かるた大会二日目準々決勝が始まる。

かるた協会専任読手と公式審判が参加しての準公式試合となった。


 明里光夏は、手配したプロの配信スタッフの準備を完了していた。

武道場の応援席には、安甲晴美、由良道江、松山八重の三人とかるた会のメンバーが試合の開始を待っている。

宝田劇団の朝川夏夜、赤城麗華、大河原百合もいた。


「朝川さん、夜神さんと朝霧さんが残っていますね」

「夜神さんは、私を負かしたから強いわよ」

朝川は笑いながら答えた。


 初日に敗退した白波女子高と有馬女学園のかるた部の女子生徒は前日に帰路に着いていた。

学校統廃合を考えれば、あまり意味がない行動にも思える。


 生徒会役員の門田菫恋(かどたすみれ)が武道場の中央に移動した。

明里が手を上げ、三人のカメラマンに合図をした。


門田菫恋(かどたすみれ)です。これから神聖女学園校内かるた大会の準々決勝を始めます」


 司会の宣言に試合会場から拍手が湧き起こった。

[パチパチパチ・・・・・・]


 門田が選手の紹介を始めた。


【Aブロック】代表の徳田康代A級。

【Bブロック】代表の唐木田葵B級。

【Cブロック】代表の和泉姫呼B級。

【Dブロック】代表の姫乃水景B級。


【Eブロック】代表で白波女子高の逢坂めぐみA級。

【Fブロック】代表で神聖女学園かるた会の夜神紫依D級。

【Gブロック】代表の森川楓B級。

【Hブロック】代表で神聖女学園かるた会の朝霧雫B級。


「以上の八名が準決勝を目指して対戦します。

ーー 専任読手が序歌を詠み始めたら音を立てないでください。

ーー この試合は、全国にネット配信されます」


 朝川、赤城、大河原がそわそわし始めた。

「えええ・・・・・・全国にネット配信・・・・・・」

朝川たちには想定外だった。


 天女天宮静女と豊下秀美が並んでいた。

明里は、カメラマンの近くに待機している。


 壁冷暖房のお陰で熱が遮断されてエアコンのような騒音は起きていない。




 専任読手が暗記時間を宣言して会場内が静まった。


「暗記時間十五分終了です」


 専任読手が序歌を詠み上げる。


「なにわずに さくやこの花 冬ごもり


いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・


いまを春べと 咲くやこの花」


「わがそでは・・・・・・」

 徳田、姫乃、逢坂、朝霧の四人が同時に払ったかるたが宙を舞った。


[ひとこそしらね・・・・・・]を拾い上げ四人は席に戻る。


 二条院の三字決まりだった。


 四人は準決勝に向けて幸先の良いスタートとなる。


 そのあと、一字決まりが立て続けに空札(からふだ)となる。

 夜神にしてみれば、虎の子の一字決まりが消えて残り少ない。

夜神は、自陣の(しも)の句を確認していた。


 一字決まりは三枚空札になったから残りは四枚だ。

自陣にその四枚がないことを夜神は確認した。


 敵陣にも無ければ、残る一字決まりは全部空札になるわけだけど・・・・・・。

逢坂の陣に二枚あることを夜神は発見した。


 夜神は、この時点で一字決まりを捨てることにした。

夜神は、思い切りの良い性格で宝田劇団の現役時代も男役を演じていた。




 ネット配信は、徳田幕府を通じて全国に配信されている。

録画は、全国生徒会会議が拡散を予定していた。


「ねえ、ねえ、あの人・・・・・・」

女子高生の一人がホログラムディスプレイを見ながら指差す。


「なに、なにってば」

「ほら、あの人よ」


「えええ、まさか、この人、大スターの朝霧雫じゃない」


 ネットは、この映像に気付いてバズり始めた。


 徳田康代が思い描いていたシナリオが動き始める。

夜神紫依の存在にも大勢が気付いた。


「あら、いやだ、元大スターの夜神さんもいるじゃない」


「うちの子も神聖女学園に進学させたいわね」


 明里光夏のネット配信がバズり始めたのを誰も知らない。


 前の(しも)の句が繰り返される。

「きりたちのぼる・・・・・・」


(かみ)の句が()まれた。

「ありまやま・・・・・・」


 三字決まりを同じ四人がすかさず払う。

運がいいのか、彼女達は自陣のかるたを払っているだけだった。


 前日に敗退した中等部の三人は応援席で安甲晴美かるた会代表横に座っていた。


 あっという間に時間が過ぎて終盤になった。

徳田、姫乃、逢坂、朝霧の四人が有利だが、大差にはなっていない。

このレベルでの勝利の女神がいるとしたら、自陣札次第だけだった。


 結局、戦局は変わらず、徳田、姫乃、逢坂、朝霧の四人が準決勝進出を決めた。




「夜神さん、強かったわ」

白波女子の逢坂だった。


「逢坂さん、ありがとうございます」

「夜神さん、昇段大会出て、上がってきてくださいね」


「逢坂さんの強さを目の前にして実力の差を思い知りました」

「そんなことありませんわ。

ーー 夜神さんの守りかるた、素敵でしたよ」


 朝霧雫は副部長の森川楓と挨拶していた。


「森川さん、今日はありがとうございます。

ーー 良い試合になりました」

「安甲先生のご指導のお陰です」


「とても素敵先生ですね。

ーー 元クイーンとのお稽古が楽しみです」


 司会の門田菫恋(かどたすみれ)が中央に出て対戦経過を発表した。


【Aブロック】徳田康代A級が僅差で勝利。

【Bブロック】唐木田葵B級が僅差で敗退。


【Cブロック】和泉姫呼B級が僅差で敗退。

【Dブロック】姫乃水景B級が僅差で勝利。


【Eブロック】白波女子高の逢坂めぐみA級が大差で勝利。

【Fブロック】神聖女学園かるた会の夜神紫依D級が大差で敗退。


【Gブロック】森川楓B級が僅差で敗退。

【Hブロック】神聖女学園かるた会の朝霧雫B級が僅差で勝利。


「以上、勝利した四名は、休憩後、集合時間に会場にお戻りください」


「素敵な試合見れて良かった」

 中等部の滝沢愛が呟いた。


「来年は、あなたもいるわよ」

「安甲先生、ご指導をよろしくお願いします」


「一緒に頑張ろう・・・・・・」


「いよいよ、準決勝でござるよ」

静女節が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ