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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【九十四】校内かるた大会ベストエイトへ

 アラサーの松山八重(まつやまやえ)が二回戦の序歌(じょか)を担当する。

身体の大きさとは不釣り合いな透明感のある大きな声が会場に響いた。


「なにわずに さくやこの花 冬ごもり


いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・


いまを春べと 咲くやこの花」


 序歌(じょか)が終わり最初の和歌が()まれた。


「いにしへの・・・・・・」


 滝沢愛(たきざわあい)瀬戸霞(せとかすみ)笹山夜空(ささやまよぞら)の中等部女子三人が同時に払ったかるたがクルクルと宙を舞った。


[けふここのへに・・・・・・]を拾い上げ席に戻る。


 以下の十三名も先取に成功して幸先の良いスタートを切る。


 徳田康代A級、白波C級高橋広美、唐木田葵B級、和泉姫呼B級、姫乃水景B級。

逢坂めぐみA級、有馬C級清水亜希、夜神紫依D級、朝川夏夜D級、森川楓B級。

無段赤城麗華、朝霧雫B級、無段大河原百合。


 十六名が三回戦に進むことなる。

中等部女子三人の活躍が二回戦の想定に変化をもたらしていた。


 宝田劇団組の五名も順調で安甲晴美は内心ほっとしている。

自陣攻略戦略の守りかるたは派手さがないが相手にはジャブのように響く結果となった。


 二回戦終了して、滝沢愛、瀬戸霞、笹山夜空が僅少差で勝利した。

夜神紫依D級、朝川夏夜D級、無段赤城麗華、無段大河原百合の四名も僅少差で勝ち残った。


 徳田康代A級、白波逢坂めぐみA級、朝霧雫B級の三名は対戦相手が気の毒になるくらいの期待通りの圧勝になった。


 唐木田葵B級、和泉姫呼B級、姫乃水景B級、森川楓B級の四名も無難に勝利している。

白波C級高橋広美、有馬C級清水亜希の二名は、運命戦の接戦を勝ち取り残った。


 ベスト十六が出揃(でそろ)い、準々決勝前の三回戦が休憩後に行われる。




 三回戦のトーナメント表が武道場の入り口横に貼り出された。


【Aブロック】

徳田康代A級、対[白波C級]高橋広美

【Bブロック】

唐木田葵B級、対[神聖中等部]滝沢愛

【Cブロック】

和泉姫呼B級、対[神聖中等部]瀬戸霞

【Dブロック】

姫乃水景B級、対[神聖中等部]笹山夜空


ーーーーーーーーーーーー


【Eブロック】

逢坂めぐみA級、対[有馬C級]清水亜希

【Fブロック】

夜神紫依D級、対朝川夏夜D級

【Gブロック】

森川楓B級、対無段赤城麗華

【Hブロック】

朝霧雫B級、対無段大河原百合




 唐木田、和泉、姫乃の三人が渋い表情に変わる。

予め分かっていても中等部女子との対戦は想定外だったのだ。


 夜神と朝川も、まさかの対決に驚いている。

練習では、ほぼ互角で相手の手の内を知り尽くしていた。


 森川と朝霧も同じ思いだった。

まあ、校内大会ならあり得ることだったが・・・・・・。




 休憩時間に入り、安甲晴美()()()()()()()()()()()()()が生徒を集めて注意確認をしていた。


「勝ち進むと対戦相手のレベルが上がります。

ーー 上級者でない限り、相手の(かこ)い手を破ることは出来ません。

ーー 怪我(けが)に注意して自陣攻略を徹底してください」


 安甲は生徒の顔を見ながら続けた。


「あと、空札(からふだ)のお手付きをしないように焦らないことです。

ーー まあ、言えることは、練習で言っていることですが・・・・・・。

ーー かるたは極めれば、人生と同じく自分自身との戦いなんです」


 (そば)にいた、由良道江(ゆらみちえ)先生と松山八重(まつやまやえ)先生が安甲の言葉に(うなず)いていた。


「安甲先生の強さは、基本に忠実なことですね」

由良だった。


 生徒会の門田菫恋(かどたすみれ)が、安甲先生に対戦成績を見せた。


「これからが正念場ね。強さより、運が左右しそうです」


 安甲の感想に由良も答えた。

「私も、そう思います」


 中等部女子生徒三人は、三回戦のトーナメント表を見ながら呟いていた。


「二回戦までとガラリと違うわね」


「本当、ここから先は、運が左右する闘いね」


「出来る限りのことをするだけよ」


「滝沢さん、今後どうするの?」


「年内にB級を目指すわ。

ーー B級にならないとA級昇段大会に出れませんからね」


「そういうこと・・・・・・じゃあ、私も目指すわ」


「その前に三回戦ね」




 三回戦の読手は、白波女子高かるた部顧問の由良道江先生に変わった。

序歌(じょか)()まれ三枚連続()()()()()空札(からふだ)が続いた。


「こころあてに・・・・・・」

 四字決まりも空札(からふだ)となった。


 空札(からふだ)が続き消耗戦となる。


 場に出る空札(からふだ)は、最大五十枚。

単純に考えれば、残り四十六枚の空札が待っていることになる。


「あけぬれば・・・・・・」


 二字決まりも空札(からふだ)となり五枚連続になった。


 会場内のストレスが上がる。

読手が次のかるたの上の句を箱から手にした。


「わたのはら・・・・・・」


(しも)の句、[ひとにはつげよ・・・・・・]が払われた。



約一時間後、勝負は決着していた。


神聖女学園中等部女子三人は僅少差で敗退して、どんでん返しは起きなかった。


【Aブロック】

[白波C級]高橋広美、大差敗退

【Bブロック】

[神聖中等部]滝沢愛、僅少差敗退

【Cブロック】

[神聖中等部]瀬戸霞、僅少差敗退

【Dブロック】

[神聖中等部]笹山夜空、僅少差敗退


【Eブロック】

有馬C級清水亜希、大差敗退

【Fブロック】

朝川夏夜D級、僅少差敗退

【Gブロック】

無段赤城麗華、僅少差敗退

【Hブロック】

無段大河原百合、僅少差敗退




 翌日、八月二十四日の準々決勝進出を決めた八名を、門田から手渡された成績リストを見て安甲は確認した。


 神聖女学園側は、徳田康代A級、唐木田葵B級、和泉姫呼B級、姫乃水景B級、森川楓B級の五名。

神聖女学園かるた会は、夜神紫依D級、朝霧雫B級の二名。

白波女子高は、逢坂めぐみA級の一名で、有馬女学園は全員消えていた。




 三回戦が終了して、安甲晴美が挨拶を始めた。


「準々決勝に進むみなさん、おめでとうございます。

ーー 惜しくも破れたみなさんは、次の大会を目指して頑張ってください。

ーー この大会は、非公式な校内大会です」


と言って安甲は続けた。


「無理をせずに、精進を心掛けて善戦してくだされば素敵です。

ーー かるたを通じて自己の精神を一緒に鍛錬しましょう。

ーー 私からは以上です」


「生徒会の門田菫恋です。

ーー 明日もこの武道場に午前九時にお集まりください。以上です」


 明里光夏が門田菫恋(かどたすみれ)を追いかけて呼び止める。


「門田さん、明日は、ネット配信を予定してますが、大丈夫ですか」


「音を立て無ければ問題ありませんわ」


「門田さん、ありがとうございます」


「いよいよ、明日から準々決勝でござるよー」


 天女天宮静女が楽しそうに呟いた。

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