【九十三】校内かるた大会本選二回戦の顔触れ決まる!
安甲晴美かるた部顧問は生徒会役員の門田菫恋を呼んで他校の戦力を尋ねた。
「白波女子高かるた部の精鋭十名は、逢坂めぐみの他にB級C級選手が多数います。
ーー 有馬女学園は、多少落ちるがB級C級の選手を中心にほぼ互角の戦力です」
門田はトーナメント表を見ながら、具体的な説明を続けた。
白波女子高かるた部
A級選手、逢坂めぐみ
B級選手、二条秋江、外山冬美
C級選手、秋野千香、吉野小百合、松本美樹、日野早紀、高橋広美
D級選手、秋田由紀、石川吉乃
有馬女学園かるた部
B級選手、下条和美、杉山里美
C級選手、上野由紀恵、清水亜希、加山恵子、清原恵子
D級選手、三条美幸、藤田真夏、平美千代、岩田椿
「門田さん、ありがとうございます。
ーー お陰でだいたいの敵戦力が分かりました」
「あとうちの戦力は、どうなっていますか」
A級選手、徳田康代
B級選手、唐木田葵、森川楓、姫乃水景、和泉姫呼、朝霧雫
C級選手、夏生瑤子、春日遙、三笠住江
D級選手、難波雫、葦田都、小倉紅葉、峰美由紀、白菊心、山川風見、松友美、篠原朝霧、夜神紫依、朝川夏夜
無段、赤城麗華、大河原百合
校内かるた大会予選ベスト十六の十六名の内、三名の潜在能力は未知数だった。
門田菫恋は、紙媒体の記録ノートのメモを読み上げる。
中等部の滝沢愛、瀬戸霞、笹山夜空の三名は別格と先生方が判断しています。
あと、神崎のぞみも注目されています。
明里光夏は、門田菫恋のコメントをメモして、翌日のネット配信に備えている。
「じゃあ、C級以上の選手なら大きな差は無いですね」
白波女子の由良道江先生が安甲先生に打診していた。
「安甲先生、来年以降のレギュラー編成が悩みの種ですね」
「じゃあ、かるた会を三つしましょう。
ーー 神聖女学園かるた会、神聖白波女子かるた会、神聖有馬女学園かるた会、如何ですか」
「あとは、協会と相談するだけです」
「由良先生、女子高選手権以外の大会なら問題ありませんわね」
有馬の松山八重だった。
大会本選一回戦が始まった頃、シードの徳田康代は、隣の控え室にいた。
神使セリエが心配してテレパシーでコンタクトした。
[康代よ、予知能力ある康代には当たり前のように予知夢が起こるにゃあ。
ーー けど、康代よ、皇国は守られているから大丈夫にゃあ]
セリエは心配して康代に念を押した。
[セリエさま、ありがとうございます]
セリエと康代の交信は、手短かに終了した。
豊下秀美が、二回戦の顔触れを知らせに来た。
徳田さんは、白波の秋田さんと対戦します。
ホログラムノートを広げて徳田や明里に見せてる。
[二回戦トーナメント表]
【Aブロック第一】
徳田康代A級、対白波D級秋田由紀
【Aブロック第二】
無段原田千夜、対白波C級高橋広美
【Bブロック第一】
唐木田葵B級、対神聖C級夏生瑤子
【Bブロック第二】
神聖滝沢愛、対白波C級吉野小百合
【Cブロック第一】
和泉姫呼B級、対神聖C級春日遙
【Cブロック第二】
神聖瀬戸霞、対白波B級外山冬美
【Dブロック第一】
姫乃水景B級、対神聖C級三笠住江
【Dブロック第二】
神聖笹山夜空、対白波B級二条秋江
ーーーーーーーーーーーー
【Eブロック第一】
逢坂めぐみA級、対有馬B級杉山里美
【Eブロック第二】
神崎のぞみ、対有馬C級清水亜希
【Fブロック第一】
夜神紫依D級、対神聖D級白菊心
【Fブロック第二】
朝川夏夜D級、対有馬C級加山恵子
【Gブロック第一】
森川楓B級、対神聖D級山川風見
【Gブロック第二】
無段赤城麗華、対有馬D級三条美幸
【Hブロック第一】
朝霧雫B級、対神聖D級篠原朝霧
【Hブロック第二】
無段大河原百合、対有馬D級平美千代
ーーーーーーーーーーーー
以上、三十二名が二回戦の顔触れです。
これからが本番ですねと、門田菫恋が付け加えた。
「ほぼ、予想の顔触れが残っているわね」
安甲晴美だった。
普通に考えれば、女学園のイベントに過ぎない校内かるた大会。
A級選手二名、B級選手九名なのだから、勝ち進むことがA級への昇段大会に匹敵する。
加えて潜在能力が未知数の選手が数名以上いる訳だから、試合の勝敗が額面通りに行く可能性は少ない。
運命戦でのどんでん返しも想定すれば、ハードルが更に上がる。
人生、運も実力と言うが、運に見放されれば、成功は無い。
陰陽師の安甲晴美は、緊張している生徒たちに優しい眼差しを向けながら考えていた。
勝負は、勝ち負けだけじゃない。
自分の努力の成果が、どれだけ自分のイメージに近付くことが出来たかを知る喜びもある。
勝ち負けだけを考えるのなら、かるた大会に意味が無くなる。
楽しい波動を大勢で共有出来た時、集団の祈りに似た奇跡を引き寄せることができる。
「次の読手は有馬女学園の松山八重先生ね。
ーー 私たちは、審判をしますのでよろしくお願いします」
安甲の言葉を受けて白波女子の由良道江先生も移動を始めた。
二回戦に参加する三十二名、十六組みが畳に並ぶ。
松山先生が注意を伝え、試合開始前の暗記時間開始を宣言した。
十五分後、暗記時間が終え、室内に静寂が広がる。
ジャージ姿の女子生徒たちが両膝を畳に付き、やや腰を浮かせ構えていた。
なんとも大変な格好で待っていると、松山先生が序歌を詠み上げた。
安甲晴美と由良道江は、注目の中等部女子の位置を確認して微笑んだ。