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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
91/169

【九十一】校内かるた大会本選前日でござる!

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。


女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 八月二十二日、神聖女学園では、校内かるた大会予選が二日目に入った。

本選の前日である。

 ベスト十六に残った女子生徒が翌日の本選に進むことになっていた。


 武道場では、前日の勝者六十四名が三回戦の開始を待っている。

参加者は、かるた二十五枚を並べ、暗記時間を終えていた。

 

 ここまで、二勝している女子生徒たちが残っていた。

 そろそろ接戦になるだろうと安甲晴美(あきのはるみ)由良道江(ゆらみちえ)松山八重(まつやまやえ)の三人は真剣に考えていた。


 三回戦の専任読手は、かるた協会の若い女性が担当となった。

レモン色に黄色の着物に臙脂色(えんじいろ)の袴を着用していた。



 A級の徳田康代、逢坂めぐみ、B級の姫乃水景、和泉姫呼、唐木田葵、森川楓、朝霧雫の本選シード組七名が応援席に着いた。

 試合開始までの緊張した時間を会場にいる全員が共有していた。


 かるた部の新しい仲間を選ぶ選抜大会を見るようにと、安甲晴美の意向が働いている。

 中でも()()()()()()()()から女子生徒三名が勝ち残っていた。


 安甲は、その三名が勝ち残れば、()()()()()()()()()への招待を考えていた。

多分、実力はC級以上かと安甲は考えている。

 安甲、由良、松山は審判を担当して、それぞれが中等部女子三人の近くの位置に着いた。


 専任読手が序歌を詠み上げる。


「なにわずに さくやこの 花冬ごもり


いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・


いまを春べと 咲くやこの花」



「あまつかぜ・・・・・・」


 中等部の三人が払ったかるたがクルクルと宙を舞った。

[をとめのすがた・・・・・・]を拾い上げ席に戻る。


「徳田さん、今の見ていた?」

逢坂の反応だった。


『うん、レベルB級以上の気配ですね』


「そうですね。明日の試合、大変かもしれないわ」


『確かに油断出来ないわね・・・・・・』


「徳田さん、名前分かる?」


『あとで門田菫恋(かどたすみれ)さんに聞いてみるわ』


「わがそでは・・・・・・」

三字決まりが続いたが、今度は空札(からふだ)だった。


「見送り方も初心者じゃないわね」


『そうね、明日の本選二回戦の三十二名に残れそうね』


「白波も頑張らないと苦戦するかも・・・・・・」

逢坂は軽く息を()いた。




 予選四回戦が始まり三十二名の勝者が席に着いた。

中等部女子の三人も残っている。


「徳田さん、名前分かった」

逢坂だった。


『さっき、門田さんに聞いて見たわ。

ーー 滝沢愛(たきざわあい)笹山夜空(ささやまよぞら)瀬戸霞(せとかすみ)と言っていたわね・・・・・・』


 四回戦の序歌の担当は安甲晴美に変わっている。


「みなさん、暗記時間は十五分よ。始めて」

安甲の大きな声が、マイクを通して響く。


 予選四回戦が終了して、安甲が勝者の十六名を呼び寄せた。


「みなさんは、明日の本選にご参加ください。

ーー そして希望者は、神聖女学園かるた部への入部をご検討ください」


 中等部の女子生徒三人が手を上げ手た。

安甲が手前の生徒を差した。


「質問ですか」

「はい、私たち三人は中等部の生徒ですが・・・・・・」


「じゃあ、神聖女学園かるた会なら問題ないわよ。

ーー 高等部になったら入部ください」


「先生、ありがとうございます」


「他に質問ある人は、どうぞ」


「本選レベルは、どれくらいですか?」


「他校の詳細は分かりませんがB級とA級の参加者が多数です。

ーー 一回戦はシードになっていますから対戦することはありませんよ」


「先生、何名の参加ですか?」


「門田さん、何名ですか?」


「生徒会の門田です。変更なければ五十七名です

ーー 一回戦終了でベスト三十二、二回戦終了でベスト十六、三回戦終了でベスト八、

ーー 本選二日目、準々決勝終了でベスト四、準決勝終了でベスト二、決勝の流れです」


「門田さん、詳しい説明をありがとうございます」


「じゃあ、質問なければ、明日九時に武道場に集合ください」




 その頃、神聖女学園かるた部兼かるた会では、C級の夏生瑤子(なつきようこ)を中心に自陣かるたの練習が繰り返されていた。


「みんな、聞いて、自陣に並べた二十五枚が問題なのよ。

ーー 取るとか取られる以前の問題なのよ」


「夏生さん、どういう意味ですか?」

赤城だった。


「だって、その二十五枚の上の句が分からないと並べた下の句なんて取れないでしょう。

ーー いい、今から睨めっこして、何枚、分からないか、チェックしてみて。

ーー 時間は、無制限よ」


「夏生さん、分かるのと分からないのが同じくらいあるわ」

赤城は夏生に言った。


「今さらだけど、分からないのを減らして見て、やり方は、人それぞれよ。

ーー 三字決まり丸暗記、二字決まり丸暗記とかね。

ーー あと、配置する島を決めてとか、色々あると思うわ」


「なるほどね」

朝川と夜神が感心していた。




 夕方前、部室に安甲たちが戻って来た。


「みんな、練習を頑張っていたようね。

ーー 明日の本選を前にサプライズがある」

「先生、サプライズってなんですか」


「君たちに年下の後輩ができる。中等部の女子生徒がベスト十六に残った。

ーー 高等部でないから、かるた部に入部が出来ないが、かるた会は問題ない。

ーー 朝川さんや夜神さんと同じように、かるた会所属になる予定だ。

ーー 実力は、C級以上、おそらくB級レベルと見ている」


「先生、昇段が狭くなりませんか?」

「それは無い。ところ天と変わらないからな」


『そうですね。

ーー 誰かが抜ければ、次は勝ちやすくなりますが・・・・・・。

ーー 最後の難関は変わらない』


「徳田さんのいう通りだが、

ーー みんなはまだまだ大丈夫だから心配ないわね。

ーー 対戦相手は、明日、武道場の壁に貼り出される。

ーー 今夜は何も考えずに、お眠りなさいが、あなたたちへの餞別よ」


「そうね、あれこれ考えても疲れるだけよね」

逢坂(おうさか)めぐみだった。


「逢坂さんと徳田さんは、ブロックが違うから決勝まで対戦は無いわよ」

安甲が言った。


「A級だもんね」

唐木田葵(からきだあおい)だった。


「いよいよ、大会本選でござるよー」


 天女天宮静女がニコニコしている。

妖艶(ようえん)な紫色の瞳が(うる)んで見えた。

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