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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
90/169

第二十一章【九十】かるた予選が始まるでござる!

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、縦書き表示対応に漢数字を使用しています。

 徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』

皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 田沼光(たぬまひかる)は、お酒の勢いもあって饒舌(じょうぜつ)になっている。

「今、世界は大変なことになっているんだよ・・・・・・」


 助手の若宮が取り(つくろ)う。

「田沼先生は、お酒が入ると愚痴(ぐち)っぽくなるので、どうか気にしないでください」


 安甲晴美(あきのはるみ)が田沼の顔を(のぞ)き込む。

「先生、お気持ちは分かりますが、その辺にされないと大変なことになりますよ」


 田沼は、若宮の顔が変わるのを見て息を()んだ。


「あぶない、あぶない、機密でした・・・・・・」

 田沼が言葉を濁したが、神使のセリエには届いていた。




「田沼先生、ところでね、学校改革の噂をご存知ですか?」

安甲の言葉に、ポカンとする田沼と若宮だった。


「元々は、新政府の学校改革でしたが、まさかの統廃合が起きて、

ーー どうやら、神聖と白波と有馬が統合されることになったの。

ーー 多分、徳田さんは、首を縦に振るわね」

安甲がお猪口(ちょこ)を手に言った。


「それで、みなさんが集まっていたのですね。

ーー ところで、こちらは?」

田沼が安甲に尋ねた。


「ご紹介が遅れました」

田沼の言葉を受けて、田沼の前の松山が挨拶する。


「私は有馬女学園のかるた部顧問の松山八重です」


安甲の前の由良が続く。

「白波女子高かるた部顧問の由良道江です」


「私は、田沼光で、隣が、若宮咲苗です」


 安甲が()()()()()()()()()()()からエールをオーダーした。

しばらくして、店員がエールをテーブルに置いた。


「じゃあ、みなさん、改めて、私たちの職場に乾杯しましょう」

安甲の明るい声が店内に響いていた。




 八月二十一日午前九時、神聖女学園校内かるた大会予選日。

神聖女学園武道場に神聖の女子生徒が集まっていた。


「先生、凄い人数ですね」

生徒会の門田菫恋(かどたすみれ)だった。


「数字で見るのと実際に見るのとでは違いますね」

(そば)にいた豊下が門田を見ながら話す。


「ところで、女子高生以外もいるようだが・・・・・・」


「豊下さん、中等部の女子中学生も参加しています」


「まあ、実力の世界だから、年齢は関係ないわね」




 門田菫恋(かどたすみれ)が会場の司会を担当した。


「一回戦第二試合に出場される方のお名前をお呼びします。

ーー 呼ばれた方は隣の部屋でお待ちください。

ーー 続いて、一回戦第三試合に出場される方のお名前を呼びます。

ーー 武道場地下のお部屋でお待ち下さい」


 氏名を呼ばれた女子生徒が指定された場所に退出したあと、門田がマイクで呼び掛けた。


「お名前を呼ばれてない方は一回戦第一試合になります。

ーー 壁にお名前と番号が貼り出されていますので、

ーー 番号のある場所に移動ください」


 門田菫恋の説明が終えたあと、安甲晴美かるた会代表が注意事項を話し始めた。


「読手は、わたし安甲晴美(あきのはるみ)がします。

ーー 待っての合図は私に見えるように手を上げてください。

ーー あと、怪我をされないように、ご注意下さい」


安甲は続けた。

「協会と他校から審判員が参加されています。

ーー 白波女子高の由良道江先生と、有馬女学園の松山八重先生です」


 一回戦、第一試合、第二試合が終えて、第三試合が始まった。




 徳田康代たちは、かるた部の部室で自陣かるたの練習を繰り返していた。


『朝川さんと夜神さん、大分並べるのが早くなりましたね。

ーー 校内大会が終えたらC級に挑戦してみてください』


「徳田さん、ありがとうございます」

夜神だった。


『赤城さんと大河原さんも、いいわよ』


 徳田康代は、安甲のいない留守を預かっていた。

生徒会会長でもある徳田にしてみれば、自然な流れだったが、唐木田かるた部部長を徳田は気にしていた。


「徳田さん、今日は先生もいませんから、

ーー 上級者の徳田さんのアドバイスが私たちには参考になります」

唐木田だった。


『じゃあ、今日の読手は、わたし徳田がしますね。

ーー 逢坂さんの相手は、朝霧さんでお願いします。

ーー 唐木田さんと姫乃さん、森川さんと和泉さんがいいわね。

ーー なるべく、レベルの近い人と模擬戦をする方が本番に役立つでしょう」

と言って徳田は続けた。


「今日は、練習なので運命戦になったら終了よ。

ーー じゃあ、かるたを()き混ぜて並べてください』




 午後になって武道場の一回戦が終了した。

女子生徒たちは、二百五十六名から百二十八名になっていた。


「じゃあ、二回戦も第一試合と第二試合に分けます。

ーー 勝ち残った人は、明日の三回戦に進みます。

ーー じゃあ、第一試合参加者のお名前をお呼びします・・・・・・」


 二回戦第一試合の読手は、白波女子高の由良道江先生が担当となった。

第二試合は、有馬女学園の松山八重先生が担当した。


 二回戦の試合が終わった。

女子生徒六十四名が翌日の三回戦に進むことになる。




 由良先生と松山先生が宿泊施設に戻ろうとした時、安甲先生に呼び止められた。

「先生たちも、統合後は学園寮にお引っ越しされると思うので、

ーー 今夜は、学園寮の食堂は如何でしょうか」


「よろしいのかしら・・・・・・」

由良が安甲に言った。


「問題ありませんわ」


 三人は武道場地下から神聖女学園寮の地下通路を移動した。


「先生、神聖学園都市の地下って、

ーー 未来小説の地下要塞みたいですね」

松山が安甲に言うと由良も言った。


「松山さんも、そう思います?

ーー 私も同じことを感じていたの?」


 実際、神聖学園都市の設計者は、シェルターを想定して学園都市を設計した。

地下の秘密は教師や生徒にも知らされていない。

徳田康代と安甲晴美だけが知っていた。

安甲は松山と由良の勘の良さに舌を巻いた。


「先生たち、この地下通路は、すべて学園校舎の地下玄関と繋がっています。

ーー 警備は二十四時間、巡回ロボットがしています」


「これは、なんですの?」

「校舎と学園寮の東端を結んでいるリニア式エレベーターです」


「リニア式ですか?」

「はい、水平移動するエレベーターです」


由良と松山が顔を見合わせていた。

「初めて聞くわ・・・・・・」


「じゃあ、先生たち、乗って見ます?」


三人は学園寮の東端まで、あっという間に移動して戻ることになった。

「遊園地みたいね・・・・・・」

由良先生が呟いた。

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