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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【八十四】かるた大会の準備と本震隠れ!

 ジーンズにティーシャツ姿の宝田劇団の朝川夏夜(あさかわかよ)たち四人が()()()()()()部室に到着した。

 シルバーグレーのワンピース姿の安甲(あきの)晴美顧問は、四人を見て大声で大会予定を話し始めた。


「みんな、今日は、八月十六日よ!

ーー 校内大会かるた大会本選は、八月二十三日

ーー 予選大会は、八月二十一日よ」


 安甲は部員に日程を再確認させ続ける。


「あなたたちには予選大会は関係ないけどね。

ーー ベスト十六は見て置くといいわ。

ーー あなたたちの仲間の選抜大会になるわ」

ーー 組み合わせは、生徒会にお願いしてAI(エイアイ)に任せたから公平よ」


安甲は徳田を見て言った。

「何か質問ある人」


『予選と本選の読手は誰がするのですか』


「教会の知り合いにお願いしたので大丈夫よ」


『先生じゃないのですね』


「予選の一回戦と本選の一回戦は私、安甲が担当するわ。

ーー 対戦相手の発表は、当日、武道場に貼り出されます。

ーー 白波女子高十名と有馬女子高十名が参加されますから公式大会に近いレベルよ」


「先生、予選大会の日の練習は、どうしますか」


「姫乃さん、その日は先生はいないから自陣かるたの自習よ。

ーー あとは、ありませんか?

ーー 無ければ、今日も守りかるたを復習して」

 

 安甲は姫乃千景に答えたあと、新人部員を見ながら説明を続けた。


「じゃあみなさん、かるたを掻き混ぜて、二十五枚を並べて。

ーー いい加減じゃダメよ、決まり字ごとに位置を決めるのよ。

ーー 百枚の決まり字を並べることは無いわ。

ーー けれども、どの札が来てもこれは、ここって頭の中で決めるのよ」


 安甲は閃き、徳田康代に質問した。

「A級の徳田さんは、自陣かるたをどうしていますか?」


『先生と同じ考え方です。

ーー 暗記時間十五分の殆どは敵陣のかるたを覚えて自陣は確認するだけです』


「自陣固定で暗記時間も省エネね。

ーー じゃあ、今日の読手は、姫乃、和泉、森川さんの順で交代してください。

ーー 読手は、読むことで、和歌を復習するのよ。

ーー じゃあ、みんな、始めて」


 自陣かるたの練習会は、夕方まで続いた。


『朝川さん、夜神さん、夕食、どうですか?』

 徳田は、咄嗟に宝田劇団の二人に聞いて見た。


「徳田さん、まだ早いから、カフェから夕日を見たいと思っていたの」


「カフェの夕日は、綺麗でござるよー」


『静女、乗り気ね・・・・・・』


「康代殿、静女は、いつもノリノリでござるよ」


 結局、康代たちは、姫乃と和泉を加えて、ショッピングセンターのカフェに行くことになった。


「夜神さん、次の神聖での公演は、移動時間も無いから良かったですね」


「そうね、姫乃さんの言う通り、時間が節約できるわ。

ーー それもすべて、徳田大統領のお陰よ」




 徳田康代たちは、途中で明里と豊下に合流して地下通路経由でカフェに到着した。

天女天宮静女は窓際のいつもの席に腰掛け、ガラス越しに外を眺めている。


『静女は、いつもその席ね』

「拙者の指定席でござる」


「夕日が綺麗ね、徳田さん。

ーー 寮から見るのとは、全然違う感じね」

朝川夏夜だった。


「こう連日の猛暑が続くと雨が恋しくなりますわ」

赤城麗華だった。


「赤城さん、塩分補給している?」

「夜神さん、紀州の梅干しを毎日食べているわよ」


「私は、ぬか漬けにした漬物がいいわ。塩分補給もバッチリよ」


豊下秀美が口を開く。

「夜神さん、ここのショッピングセンターで、ぬか漬け用のタッパウエアーを見かけたことありますが」

「そうね、お惣菜を買うよりは自作の方が添加物を気にせずに食べられますから、おすすめネ」


 スイーツを食べながら、梅干しとぬか漬けの井戸端会議に静女が紫色の瞳を丸くしている。


 大江戸平野の山々に日が傾き夜の(とばり)が近づいていた。


『じゃあ、みなさん、学園寮の食堂に移動しませんか』

徳田康代の声に、全員が腰を上げた。


「康代さん、豊下さんと一緒にぬか漬けセットを見に行くからあとで連絡するわね」

『じゃあ、夜神さん、あとで豊下さんに連絡してください』


 徳田、明里、静女は、地下の動く歩道で赤レンガ色の火の棟に向かった。




 八月十七日、学園寮に宝田劇団の団員二十名が空中浮遊自動車専用着陸滑走路に到着した。

前日到着組の団員と豊下と明里が待機している。


「徳田さん、昨夜は、美味しい料理をご馳走してくださりありがとうございます」

『お引っ越しされてから何もできず(ささ)やかな物でしたので、お気になさらないでください』


「朝川さん、今日の二十名の到着で三百四十四名ですから・・・・・・。

ーー 劇団員は、あと六十名になります」


「豊下さんたちが、すべて管理してくださり助かるわ。

ーー そうそう、今度、私の部屋でぬか漬けをご馳走するわね」

 朝川が豊下を見ながら微笑んでいた。




 学園寮の部屋には、家庭用の冷蔵庫とデスクとダイニングテーブルが備え付けられている。

朝川たちのスター用の部屋の応接室にはソファーが置かれ、寝室やダイニングルームと分かれている。

バストイレキッチンもあり普通に暮らすことが出来た。


 学園寮のエレベーターは、すべてリニア式を採用していた。


 徳田、朝川、夜神、赤城、大河原は、豊下と明里に任せてかるた部へ移動した。




 その頃、神聖女学園の地震研究室では、田沼と若宮が深刻な顔になっていた。


「先生、南和の大地震のあとで起きた西和の大地震ですが・・・・・・」

若宮が言葉尻を濁していたが、田沼ははっきりと答えた。


「うん、それは、アレだから関わらないよ」

「ただ、先生、今日は南和付近の海底火山が爆発的大噴火をしていますが・・・・・・」


「それも、皇国にとってメリット無いから静観するだけでいいわよ」


「データは、どうしますか」

「若宮さん、未来のために、記録だけしておいてください」


「先生、この噴火、嫌な予感しかしないのですが」

「そうね、多分、引き金になるでしょうね」


「引き金って何ですか」

「巨大地震のトリガーですよ」


「じゃあ、本震隠れですか」

「そう言う考え方もありでしょう」


「巨大地震には、よく本震隠れがあるのよ。

ーー 地震規模と余震頻度が合わない時は、本震隠れを疑うわね」

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