第二十章【八十三】かるた大会組み合わせの打ち合わせでござる!
地球の守護神女神アセリアの神使セリエが西和の異変を主人に報告していた。
「アセリアさま、西和の西海岸と東海岸が水没しましたが」
「まだじゃあ、お仕置きはこれからだ」
「巨大地震のことですか」
「それだけじゃない。止めを刺すまで繰り返すじゃろう。
ーー 神と宇宙の秩序に従ってじゃあが・・・・・・」
「それは、どういう意味でございますか」
「セリエよ、地球は、第三の時代に向けて、
ーー 地球自身が自浄作用でリセットをしている。
ーー 神とて、このリセットを止めることは出来ない」
「皇国は、どうなりますか」
「あそこだけ、聖女と天女のお陰で幸せに満たされ
ーー エネルギーバランスが回復している」
「と言うことは、大丈夫なんですね」
「大丈夫じゃが、セリエと皇国の八百万の神々の協力があってのことじゃから」
「雷神、風神、水神の援護を要請します」
「そうじゃな、結界がどのくらい持つかは知らぬが・・・・・・。
ーー 二重三重の対策をした方が良いじゃろう」
「ありがとうございます。アセリアさま、
ーー 天界には、どうされますか?そろそろ大量発生の気配ですが」
「そうだな。セリエ、其方に任せるから、
ーー 神使メリエと相談したらどうじゃ」
「アセリアさま、ありがとうございます」
神使セリエは、消えて光になった。
次にセリエは、天界の神使メリエの前に黒猫の姿で現れた。
「メリエさま、度々失礼します」
「セリエさま、そうお気になさらず」
「西和の状況が予想より早く進んで犠牲者が大量に発生しています」
「そのようだな、裁きの庭は盛況じゃから心配は無い」
「ですが、地球のリセットが本格化すると、とんでもない数が押し寄せて来ますが」
「前にも申し上げたが、光の集合がいくら集まっても中間世界のスペースが埋まることはない。
ーー 彼らは、ところてんのように押し出されるだけだから。
ーー ただ、意識だけが人間時代を引き摺っているが、魂が光と言う自覚が無いから厄介ではある」
「メリエさま、ありがとうございます」
神使セリエは、天界から消えて光になった。
八月十六日、神聖女学園生徒会執務室で徳田康代は陰陽師安甲晴美と打ち合わせをしていた。
「校内大会本選の人数は、会から二十名、予選組十六名、白波十名、有馬十名で五十六名の予定になるわね」
『じゃあ、安甲先生、一回戦の不戦勝がありますね』
「その五十六人分の組み合わせのくじをお願いしたい」
『利恵!生徒会にイベントの事務作業をお願いしてくれる』
「康代さん、いいですよ」
『悪いわね、利恵』
『信美は、徳田幕府女子高生支部にメディア監視を強化させて』
「例の件ですね」
『そうよ・・・・・・』
明里光夏と豊下秀美は、宝田劇団受け入れの準備をしていた。
夏休みの生徒会に休みは無かった。
側近の天女天宮静女は青い大きなソファで寛いでいる。
静女はマイペースでだった。
神使セリエが黒猫の姿で執務室の徳田康代の前に現れた。
『セリエさま、まさか・・・・・・』
「康代よ、まさかじゃあ」
「西和の西と東の海岸が水没した。
ーー 裁きは、これから本格化するじゃろう。
ーー 康代が、皇国の大統領になったように、今度は次の時代を牽引するのじゃあ。
ーー そして記録を後世に残すことじゃ」
セリエは康代が驚く指示を続けた。
「康代の女子高生キャビネットが次の時代を受け継ぐ準備をするのじゃあ。
ーー 並行世界との連絡はわしに任せておくのじゃよ」
『セリエさま、いつですか』
「分からんが、想定より早くなるじゃろう。
ーー 康代は、いざと言う時の心の準備に専念するのじゃよ」
『セリエさま、ありがとうございます』
神使セリエは消えて虹色の光になって金色に輝いた。
「金粉のように美しいでござる」
『光夏、秀美、信美、利恵、静女・・・・・・お昼よ』
「康代さん、六名ですね」
『安甲先生もいるから、今日は七名よ』
「じゃあ、早速、・・・・・・あの、どっちですか」
『食堂の二階にしましょう』
秀美は廊下に消えて、康代たちがあとを追いかけた。
「足が速いでござるな」
「秀美は、大分、前世を引き摺っているように見えるわね」
『信美もそう、思うの?』
「康代さんも、思っていたの?」
『何となくね』
「康代さん、今日は何にしましょうか」
秀美が食堂で待っていた。
『私は、かるたがあるから、ざる蕎麦よ。眠くなら無いように食後血糖に注意するわ』
「シナモンとか、香辛料のクミンも体にいいみたいよ」
『利恵、それーー あとで教えて』
「康代さん、最近、健康オタクですか」
『そうじゃないけど、ベストコンディションに注意しているのよ』
「そうね、徳田さんの言う通り、食後血糖は注意するのが無難ね」
『さすが安甲先生は良くご存知で助かります。ところで先生は』
「私は、大盛りカツカレーにするわ」
『先生、眠くなってしまいますわよ』
「食べたい物を食べるのが健康にいいのよ。
ーー それに、私はかるたしないしね」
『先生、狡い』
「そうか狡いか。時には、そういうのも選択肢だからね。
ーー 八方美人は疲れるしね〜」
食事を終えて、安甲は部室に直行した。
光夏、秀美、康代は水平移動エレベーターで茶色の土の棟に向かった。
朝川、夜神、赤城、大河原が光夏と秀美を待っていた。
「朝川さん、すみません。遅れました」
「それより旧体育館のメンテナンス、分かった?」
「はい、明日で終了するそうですから、
ーー 明後日の十八日からは、お稽古に使用出来ます」
「秀美さんたちのお陰で、みんな稽古を再開出来ますわ」
「私は、何もしていませんが・・・・・・」
「そんなことないわよ。
ーー 秀美さんと光夏さんに助けられていますわよ」
夜神だった。
劇団員二十名の到着を確認して、康代と朝川、夜神、赤城、大河原の五名はかるた部の部室に移動する。
「これで劇団員は、三百二十名ね
ーー 朝川さん、あと八十名です」
夜神が朝川に言った。
「スケジュール通りに消化出来ていますわね」
元大スターの朝川夏夜だった。
『じゃあ、秀美、光夏、あとは、よろしくお願いします』
「康代さん、校内かるた大会もすぐですね」
『その時は、静女と一緒に応援に来てくださいね』
康代は、秀美と光夏に微笑んで静女の紫色の髪と瞳を見た。
「康代殿、応援するでござるよー」
真夏の太陽が神聖女学園の校庭に容赦なく降り注いでいた。