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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
82/169

【八十二】盆踊り大会三日目と西和の裁きの外堀が始まる!

 安甲晴美の声がかるた部の部室響く。

神聖女学園かるた部顧問であり、かるた会の代表は、部員と会員の基礎練習を徹底していた。


「朝川さん、夜神さん、赤城さん、大河原さん、

ーー 今日は一切の攻めかるたを禁止します

ーー 他のみんなも同じよ」


安甲は宝田の四人に戦略指示を与え続けた。


「自陣かるたの二十五枚を素早く取る練習よ。

ーー それには、二十五枚の配置パターンを予め決めて固定化するのよ」


「先生、相手にバレませんか」

部員の一人が安甲に質問した。


「大丈夫よ、バレても崩させ無ければアドバンテージになるわ。

ーー あなたたちは、毎日の練習で自陣かるたの位置を百パーセントになるまで極めるのよ。

ーー 自陣の位置も把握出来ないで、敵陣攻略など百年早いわ」


[安甲先生、今日は一段と凄みがあるでござるよ]

天女天宮静女が徳田康代にテレパシーを送っていた。

[そうね・・・・・・]




 田沼と若宮は、神聖女学園の研究室で地震データを参照していた。


「先生、地球のバイオリズムが大地震発生サイクルの後期に入っていますが」


「そうね、時期も最悪ね」


「南和アンデー、西和ロックー、東海岸と続いていますが、

ーー 我国は大丈夫でしょうか」

「地球をゆで卵と仮定したら、どうなる」


「はい、殻の亀裂は、いつか近くに影響を与えます」


「普通に考えれば、遠隔地だから大丈夫はあり得ないことです」


「確か巨大地震が火山の大噴火に影響したことがありますね」


「まあ、これ以上、大きなのが無いといいんですが」


「それは、無理でしょう」


「アレですか」


「そうよ、アレよ」


「若宮さん、今日もお参りしたら、カフェに寄りませんか」


「先生、今夜は盆踊りですが」


「まだ、時間あるから大丈夫よ」


「じゃあ先生、行きましょう」


 二人は、研究室をあとに神聖神社経由でショッピングセンターのカフェに寄る。

カフェで休憩したあと、二人は神聖女学園の生徒会室に寄った。


「お邪魔します。田沼ですが」


「あら、田沼先生、若宮先生、どうされましたか」


「盆踊り開始までの間、ここで休ませてもらえませんか」


「浴衣はどうされますか」


「浴衣じゃないと(まず)いですか」


「汗でお洋服がびしょ濡れになって汗染(あせじ)みになりますわよ」


「盆踊りって、涼しいのじゃないんですか」


「それはね、見ている人だけです」


「知りませんでした」


「生徒会に浴衣と帯と(ひも)草履(ぞうり)がありますから、

ーー お貸ししますわ」


「よろしいんですか」


「はい、生徒会の浴衣のユニフォームになりますが、

ーー 先生たちの背丈を教えてもらえますか」


「私が一七〇で、若宮さんが一六八ですが」


「じゃあ、これで大丈夫かな」


「着替え出来ますか?」


「いいえ・・・・・・」


「じゃあ、私たちがお手伝いしますね」


「着替える前に御手洗いにどうぞ、

ーー 浴衣になると御手洗いも大変ですからね・・・・・・」


 御手洗いから戻った二人は、生徒会の人たちに手伝ってもらい浴衣姿になった。


「じゃあ、お洗濯してから後日にお返ししますわ」


「いいえ、こちらで、お洗濯しますから大丈夫ですから、

ーー 終えたら、ここに着替えに来てください。

ーー イベント開催中は、生徒会が無人になることはありませんので、

ーー 代わりの者にお伝えしておきますわ」


「何から何まで、ありがとうございます」


 盆踊り会場では、明里光夏が手配したカメラマンが三台のカメラを設置していた。

内一台は予備のカメラだった。


 明里の役目は、収録動画を翌日ネットに上げることだった。

全国生徒会会議が全国の盆踊りを特集する段取りも組まれいる。

盆踊り大会も徳田政府の幸せ政策の一部だった。


「徳田さん、生徒会の人に浴衣をお借りしたの」


『あら、良かったわね。先生』


「お陰さまで、助かりました」


『今夜は、遅くなったら、

ーー 学園寮の宿直室の隣にあるゲストルームをお使いになるといいわよ』


「徳田さんの、お気遣いに感謝します」


 姫乃、和泉、朝川、夜神、赤城、大河原のあとに安甲(あきの)先生もやって来た。


「あら田沼先生、珍しいわね」


「安甲先生、今夜はお世話になります」


「まあ、田沼先生楽しみましょうね」


 会場アナウンスの放送が流れている。


「次は、大江戸大東都音頭をお願いします」


「田沼先生、内側にいる盆踊りの会の人たちの踊りを真似するのよ」


 盆踊り会場の提灯(ちょうちん)が中央の(やぐら)と浴衣を明るくしている。




 その頃、西和ネットニュースでは、スタッフが地震報道の調査に追われていた。


「チーフ、不安定ですが、時より通信が回復しています」


「そうか、それで、どうなっている」


「南和でも、余震が多発して、

ーー アンデー山脈の崩壊規模が拡大しています」


「南和は、どうでもいい。

ーー 西和のロックーは、どうなっている」


「それは、申し上げにくいのですが」


「なんだ」


「ロックー山塊の沈下は千メートル規模でした」


「西海岸はどうなっている」


「地盤沈下に引き()られた模様で、

ーー 東海岸と同じく水没していますが」


「それで被害状況は、どうなんだ」


「これは、人間の力では、どうにもなりませんが」


「じゃあ、どうする。俺たちも逃げるとするか」


「チーフどこに逃げるんですか」


「北和か東和がいいかもしれない」


「無理ですよ。避難民の受け入れは拒絶されています」


「じゃあ、皇国は、どうだ」


「新政府が鎖国令を出して外国人はすべて強制退去されています」


「じゃあ密入国はどうだ」


「軍に見つかれば射殺されますよ」


「四面楚歌じゃないか」


[ゴー、ゴゴー]

[ゴー、ゴゴー]

[ゴー、ゴゴー]


 獣の唸り声のような地鳴りが二人の耳元に届いた。


「ああああああー」


 二人の断末魔のような悲鳴を最後に西和ネットニュースの配信局のビルは崩壊して水没した。

西海岸にあったビルは、すべて消えた。


 神々の慈悲は、この二人には届かなかった。


 合図となる巨大地震は、まだ起きていない。

 天の裁きは外堀を埋めるように徐々に迫っていた。

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