【八十】処暑のかるた大会まであと十日!
[康代よ、西和の大地震は前兆じゃが、無関係とも言えないのじゃ。
ーー 主人の地球の守護神さまは、まだまだと仰せじゃ。
ーー じゃあから、その次のまだまだが、起こる時が合図になるじゃろう]
神使セリエの長いテレパシーを康代は、受けていた。
[神さまは、千倍と申されているから、人間たちの言葉なら・・・・・・。
ーー マグニチュード十の巨大地震が終末への合図となるじゃろう。
ーー アトランティスの生まれ変わり学者が騒いでも相手にせず関わらぬことじゃ]
[セリエさま、ありがとうございます]
徳田康代大統領は、最強神使セリエとのテレパシー交信を終えた。
二十時になって、神聖女学園盆踊り大会の初日が終わった。
「康代さん、明日も参加されますか」
『水景さんは、どうなの・・・・・・』
「私は、運動不足なので参加するわ」
姫乃水景演劇部部長の言葉を傍で聞いていた和泉姫呼も水景に相槌を打つ。
「そうね水景、最近、私たち運動不足よね」
「じゃあ、姫呼も明日ね」
『浴衣、汗でびしょ濡れよ・・・・・・』
「寮に戻ってお洗濯すれば、まだ間に合うわよ」
『じゃあ、夕食は、どうするの』
「お洗濯を終わらせてからよ」
康代と水景たちの会話を聞いていた、康代の仲間たちも頷いていた。
盆踊りが終わり、神聖女学園の女子高生警備が出口に一般客を誘導している。
学園の巡回ロボットも監視に当たっていた。
徳田大統領は、警護の女子高生警備を呼んだ。
『あなたたちも着替えたら、寮の食堂に如何ですか』
「そんな勿体ないお言葉」
『お洗濯したら、食堂よ』
「警護は、どうされますか』
『学園寮の警護がいるから、大丈夫よ。
ーー そうね、その方たちもご一緒してもらいましょう』
康代と女子高生警備は、学園寮の警備のいる所で別れた。
遠くの大江戸山脈が暗闇の中で月に照らされ山々のシルエットが浮かんでいる。
「あっ!流れ星よ」
「星に願い!掛けなくちゃ!」
中等部の生徒たちが騒いでいた。
八月十四日、処暑まで十日を切った神聖女学園の生徒会室。
「じゃあ、水泳大会は八月二十五日で決まりね」
「処暑って、暑さが後退する日ですよね」
「そうね、その処暑の二日後ですけど、
ーー 例年、月末頃までは、茹だる暑さだから心配ないわね」
生徒会執務室では、徳田康代大統領に田沼光博士と若宮咲苗助手が呼び出されている。
『田沼さん、若宮さん、最近のデータはどうなっていますか』
「それが、皇国内は問題ないのですが、西和がーー ちょっと」
『先生、マグニチュードが二変わると、どうなりますか』
「マグニチュード八は、マグニチュード六の約千倍になります」
『じゃあ、マグニチュード十は、どうかしら』
「あるとしたら、マグニチュード八の千倍の計算ですが、
ーー 大統領は西和の大地震を知っているのですか」
『巨大地震の前兆地震ね。知っているわよ。
ーー でも、私たちは、皇国を守るために未来の世界のために関わることはないわ。
ーー 田沼さんたちが前世で経験した次元間スリップが世界中で起きているから、
ーー 善良な魂たちが犠牲になることはないわね』
「じゃあ、私たちは、どうすれば」
『皇国の東都と大都の調査を継続して報告してください』
「分かりました」
『ところで、お二人は昨晩の盆踊りに参加されましたか』
「私たちは、見る側で、踊ったことがありません」
『良かったらですが、ご一緒しませんか』
「え、大統領と盆踊りですか」
『いいじゃあないですか』
「じゃあ、ちょっとだけ参加させて頂きます」
『じゃあ、今晩ね』
徳田康代は、田沼たちを見送り、明里光夏に盆踊りの収録と配信をお願いすることにした。
ホログラム携帯で明里を呼び出す。
『光夏、今夜の盆踊りの収録と配信を手配してくれる。
ーー 間に合わないなら、三日目の盆踊りでもいいわ』
「康代さん、手配しておきます」
茶色の棟の学園寮には、宝田劇団の劇団員二十名が入居した。
豊下と明里のヘルプ要員は、劇団の責任者の朝川夏夜の依頼で毎日変わっている。
今日のヘルプは、前日の到着組がしていた。
「じゃあ、明里さん、豊下さん、あと、よろしくね」
「朝川さん、今晩の盆踊りは、どうされますか?」
「浴衣が乾いていたら、行くわよ」
「じゃあ、今晩もよろしくお願いします」
「じゃあ、後でね」
朝川夏夜、夜神紫依、赤城麗華、大河原百合の神聖女学園かるた会の四人は学園寮のリニア式水平移動エレベーターで学園校舎の地下玄関に到着した。
「夜神さん、公演で大ホールをお借りする時も、
ーー この移動エレベーターがあれば、鬼に金棒よね」
「そうね大河原さん、あの距離を歩いてたら、本番前に汗だくよ」
夜神が言うと、朝川の大きな声が被る。
「みんな、部室に着いたわよ」
「今日も、朝川さんの気合いが凄いよ」
赤城が大河原に言う。
「赤城さんね・・・・・・」
朝川が赤城を見て苦笑いを浮かべていた。
かるた部の部室に入ると、神聖女学園かるた会の会員が全員揃っている。
安甲晴美かるた部顧問兼代表が宝田劇団の四人を見た。
「みんな、今年の処暑は、八月二十三日になります。
ーー 校内かるた大会予選は二十一日で、翌日が予備日で本選は二十三日です。
ーー 本選も予備日が一日あります。
ーー 処暑まで、今日を含めてあと十日です。
ーー あなたたちは、予選には参加せず本選からお願いします」
赤城と大河原が手を上げた。
「何でしょうか?赤城さん」
「あの安甲先生、私と大河原さんは試合経験がないので、
ーー 予選からお願いしたいのですが」
「予選大会は殆どが素人で、素人のベスト十六人を決めて発掘したいのよ。
ーー 赤城さんや大河原さんは、ここで毎日練習しているからレベルはD級よ」
「じゃあ、先生に従います」
大河原だった。
「今日の読手は、小倉さんと、難波さん、葦田さんの順で三試合よ」
『先生、盆踊りありますが』
「まだ、時間あるから大丈夫よ・・・・・・」