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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
79/169

【七十九】西和大陸の前兆と宝田劇団の盆踊り

 西()()()()()()()()()に最新の被害情報が届いた。


「この大きな地鳴りーー 大丈夫なのか」


[ゴーゴゴー、ゴーゴゴー]


「チーフ、ドローンの映像が届いています」

「こりゃあ、なんだ! 酷すぎる」


「はっきり分かりませんがロックーの山塊全体が百メートルくらい沈下しています」


「百メートルなら、中高層ビルの高さじゃないか」

「いいえ、推測です」


「データはあるのか」

「それが、相次ぐ地震で破壊されて機能していません」


「衛星は生きているのか」

「相変わらず、通信が不通で・・・・・・」


「じゃあ、梨の(つぶて)じゃないか」


「街の被害状況の前に、このビルは大丈夫なのか」

「最新の耐震設計でなんとか維持出来ています」


「じゃあ、最新じゃなかったら・・・・・・」

「おそらく、持たないでしょう」


「それじゃ、街の大半は見捨てるしかないのか」

「はい、物理的に限界です」


「とりあえず、記録を収録して置こう」

「はい・・・・・・」




 神使セリエは、地球の守護神女神アセリアに報告していた。


「アセリアさま、西和に大きな異変が起きました」

「セリエよ、まだまだ、それは、序の口じゃよ」


「と、申されますと・・・・・・」

「地震の規模がまだまだ小さ過ぎるのじゃあ」


「・・・・・・」

「今の千倍くらいがあるじゃろ、それが西和の終末への合図じゃあ」


「中間世界には・・・・・・」

「まだまだじゃ」


「分かりました、アセリアさま」

「ご苦労じゃあ」


セリエは消えて光になった。




 神聖学園都市に隣接する皇国の陛下の屋敷に、神使セリエが黒猫の姿で現れた。

最近のセリエは、三毛猫と黒猫の変身を使い分けている。

口調も内容によって変わるセリエだった。


「陛下よ、セリエじゃ」

「セリエさま、ご無沙汰してます」


「西和で大きな地震が発生しているようじゃ」

「・・・・・・」


「西和が地図から消える破局噴火はまだじゃが、

ーー 陛下は、康代を支え鎖国を維持するのじゃ」


「セリエさま、承知しています」


「次の巨大地震あれば、西和の終末への合図じゃ」


 セリエは消えて光になった。




 八月十三日、神聖学園都市の女学園の学園寮では、豊下秀美と明里光夏が劇団員の受け入れ準備をしていた。

先に到着した劇団員も朝川夏夜の依頼を受けて豊下たちをヘルプしている。


「明里さん、この見取り図を配ればいいのですね」


「はい、お願い出来れば助かります。

ーー 見取り図の右上に名前が書いてあります」


「これ、フロアごとに違うんですか」


「見取り図と鍵がペアになっています」


「なるほど、それで名前があるのね」


「鍵は豊下が持っていますので、

ーー 見取り図を渡された人は、豊下から鍵を受け取ってください」


 明里光夏は、ヘルプの団員に簡単な説明をして団員の到着を待っていた。


 しばらくして劇団員二十名が到着して団員は二百六十四名になった。

劇団員が明里から手渡された寮の見取り図を、到着した団員に渡した。


「見取り図を貰った人は、こちらに来てください。

ーー 見取り図に書かれたお名前は合っていますか」

明里が、劇団員に呼び掛けている。


「じゃあ、名前と部屋番号を教えてください」

豊下が劇団員に言った。


「私の名前は・・・・・・

ーー 部屋番号は、〇五一五号室です」


「じゃあ、これをどうぞ。

ーー お名前と鍵にある部屋番号を確認してください」


 鍵を受け取った劇団員が、順に建物内に消えて行った。


「今日は、ヘルプのお陰で楽をさせて頂きました」

明里と豊下は、ヘルプの劇団員に御礼を言った。


「あの、今日はお盆なので、グランドで盆踊り大会が夕方頃からあります

ーー 良かったら、ご参加しませんか」


 交渉上手の豊下が、朝川たちに声を掛けた。


「豊下さん、素敵な提案をありがとうございます。

ーー 朝川さん、団員も誘って、大勢で参加しましょう」

夜神だった。


「そうね、かるたで頭も疲れてるからリフレッシュにいいかも知れないわ」

朝川が喜んで同意した。


 朝川、夜神、赤城、大河原は、()()()()があるかるた部に向かう。

 部室に入ると大河原が徳田に声を掛けた。


「徳田さん、豊下さんから盆踊り大会を聞いたのですが・・・・・・」

夜神が言った。


『もう、そんな季節に、春の盆踊り大会は、ついこの間だったのにね。

ーー 是非、ご参加下さい』


「徳田さんも、どうですか?」

『私ですか』


 徳田は、女子高生警備を見た。

女子高生警備が、大丈夫の合図を徳田に送っている。


『じゃあ、ご一緒しましょう。

ーー かるた会もお誘いしましょう』




 康代たちは、浴衣に着替えて盆踊り会場に集まった。

洋服と浴衣のイメージのギャップで見分けが難しい。


 大江戸平野の山々に日が傾いて西の空が茜色(あかねいろ)に染まっている。

東の空は次第に紫から濃紺に変化して夜の(とばり)が近い。


 会場の小さな(やぐら)を囲んで、神聖女学園の盆踊り会の人たちが踊り始めた。

神聖学園都市のショッピングセンターからも大勢の人の流れが出来ている。

徳田幕府は、大統領の周囲に警備を増員させた。


安甲(あきの)先生、朝川さん、夜神さん、踊りましょう』

「私もか」

安甲だった。


 機嫌のいい朝川が安甲を(なだ)める。

「まあ、先生、運動ですよ」


「運動と言えば、運動ですか」


 しばらくして、劇団員が大勢やって来た。

宝田劇団盆踊り大会の様相になったが気付く人はいない。

自分の踊りの振りに夢中で余所見(よそみ)が出来るのは、ごく僅かな人だけだった。


[次は、大江戸音頭をお願いします]

司会の声が響いている。


 あたりが真っ暗になって提灯のライトが鮮明になっている。


「今宵は盆踊りでござる」

天女天宮静女(あまみやしずめ)の紫髪の妖艶(ようえん)さが増していた。




 神使のセリエが、徳田康代にテレパシー報告を始めた。

[康代よ・・・・・・]

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