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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【七十一】八月五日、いよいよ準備でござる!

 八月五日、この日も宝田劇団の転居が続いていた。

二十名の劇団員は、空中浮遊自動車専用滑走路を経由して、神聖女学園の学園寮前に到着した。


「朝川さん、これで団員は、百名になるわね。

ーー 二十、二十、四十、二十だから、

明日以降、まだ三百名も待機している計算ね」

夜神だった。


「あと、約二週間もすれば人員の移転完了よ」

朝川がざっくり答えた。


 ジーンズ姿の朝川と夜神は団員の到着確認をしたあと、入居担当の豊下と明里に任せた。

赤城と大河原は、かるた部へ先に行くと言っていたので、二人はあとを追いかける。


 朝川夏夜は、負けん気の強い性格で、前夜も遅くまで、ひとりかるたを練習していた。


「朝川さん、寝不足ですか」

夜神が声をかける。


「新しい取り札が嬉しくて、自陣の配置を研究していたのよ」

「それは、大変ですね」


「夜神さんは、しなかったの」

朝川が言った。


「しましたが、下の句と上の句が結びつかないので、百人一首を読んでいました」

夜神が朝川に躊躇いがちに答える。


「そうね、私たちには、まだまだ、神経衰弱のゲームと同じレベルですものね」

「そうなの、下の句から上の句を連想するなんて、すごいゲームですよ」


「しかも、上の句を聞いて、覚えた下の句を瞬時に払うなど神技ですわ」


 時より、グランドのスプリンクラーの水滴が風に流され、ミストのように二人の顔を撫でた。


「朝川さん、夏本番って言う感じで、今日も暑いですね」

「私は、冬が嫌いだから、夏の方が気分がいいわ」

「・・・・・・」


 二人が部室に到着した頃、徳田康代と安甲晴美は、生徒会執務室にいた。




『安甲先生、負のエネルギー抑制政策は順調ですが皇国内のことで・・・・・・』

「何か動きがあったのか」


『はい、どうも西和の大地震の前兆が起き始めているそうです』

「それは、まずいな」


『まもなく、田沼博士と若宮助手もここに来られます』

「大地震が西和で起きるとどうなるのか」


『前にも言っていたの覚えていますか』

「アトランティスのこと?」


『そうです、大地震が合図となり始まります』

「何が・・・・・・」


『西和大陸の火山の破局噴火です』

「噴火なら珍しいことじゃないのではないか?」


『いいえ、西和は噴火を境に海に消えます』

「そうか、最近の重々しい空気の変化は、それか」




 生徒会のメンバーが田沼たちを案内して来た。

「徳田大統領、田沼です。ご無沙汰してます」

『田沼さん、挨拶は抜きにして、本題にしましょう』


「まさか、アレですか」

『はい、アレですね』


若宮助手が答える。

「地震計の波形には、これまで見たこともない頻度で、地震波が観測されています」

『若宮さん、その情報が拡散されると政府としては、傍観出来ないのよ』


「でも、世界中の学者がデータを見ていると思います」

『なるほど、困ったわね』




 守護神女神アセリアの神使セリエが黒猫の姿で現れた。

『セリエさま、今日は、三毛猫じゃないのですね』

「康代、予を揶揄(からか)うのは良くないのじゃよ」


 セリエの口調が変わる時は、危ない状況が起こる前触れだった。


『セリエさま、申し訳ありません』

「康代と陰陽師(おんみょうじ)よ、これからの会話をお前らだけに制限じゃ。

ーー じゃあから、他の者には一切聞こえない」


 通常のテレパシー会話に近い。


「康代、情報の漏洩と拡散を憂いているのじゃな。

ーー じゃあが、予が対応するから心配はないじゃろ。

ーー 神の側に出来ないことはないのじゃよ。

ーー そこのアトランティスの生まれ変わりの学者も監視しているから大丈夫じゃあ」


『では、セリエさま、することは・・・・・・』

「康代は、皇国のエネルギー抑制に専念すれば良いにゃあ」


『セリエさま、ありがとうございます』

「じゃあ、またにゃあ、康代」


 神使のセリエは、消えて虹色の光になって、金色に輝いている。


「康代殿、静女はセリエさまの光が大好きでござる」

『静女、私も大好きよ』




 徳田康代は、田沼と若宮を見ながら話掛けた。

『いつも、ご苦労様です。田沼博士、若宮助手。

ーー 今回の心配の種は、ひとまず解決しているので安心して、研究を続けてください。

ーー 国内に何か変化あれば、よろしくお願いします』

「徳田さん、ありがとうございます」


 田沼と若宮が生徒会執務室をあとにしたあと、徳田と安甲はかるた部の部室に移動した。




「徳田さん、生徒会室は、かるた部に近くていいわね」

『先生の神社も割と近いじゃあ、ありませんの』


 二人は、無駄口を叩きながら、かるた部に入った。


「遅れてすまない」

 安甲の言葉を受けて、徳田も部員に一礼をしている。


「先日伝えた、昇段のかるた大会だが、希望者は私に伝えてくれ。

ーー あとから入部した八名は、既にD級レベルと思うが、公式に認定されていない。

ーー 無級からの昇段は、パス出来るだろう。

ーー 初段認定大会で二勝一敗以上で初段のD級に認定される」


 朝川が、安甲に質問をした。

「私も出てみたいのですけど」

朝川の様子に安甲がアドバイスをした。


「大会に出るのは、自由ですが、

ーー まだ本番経験ないので、もう少し先の方が確実と思うわ」


「大会の空気を経験したいの」

夜神も朝川に続いて、出場の意向を示す。


赤城と大河原は、現役もあってリスクを回避している。


「じゃあわかったわ。朝川さん、夜神さん、

ーー あまり時間ないけど、頑張ってください。

ーー C級の夏生さん、春日さん、三笠さん、しばらく練習試合をして上げてくれる」


「先生、分かりましたわ。お相手をさせて頂きます」

夏生だった。


朝川は、笑みを浮かべて夏生に挨拶をした。

「夏生さん、よろしく」


「いよいよD級認定大会でござるよー」

静女の紫の瞳が妖艶(ようえん)に輝いている。

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