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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【六十五】かるた練習会!その三 七月三十一日

【七月三十一日】

 白波女子の由良道江(ゆらみちえ)から安甲晴美(あきのはるみ)臨時顧問に連絡が入った。


安甲(あきの)先生、

ーー うちは、十名の生徒の参加確認が取れました」

「当日は個人戦のトーナメント形式を予定しています」


「全部で何人くらいですか」

「校内大会は、前日の予選トーナメントで間引きしますが、

ーー 先生たちの学校と参加申請のあった有馬女学園は決勝トーナメントからになります」


「有馬女学園も参加するのですか?」

「有馬から練習試合の連絡が入って、

ーー 先生の学校の参加を伝えていますが遅れてすみません」


「有馬も強豪ね。うちは構いませんが」

「そう言って頂けると助かります」


「安甲先生、では、処暑の日の当日に」

「由良先生、何かあれば、いつでもご連絡をください」




 安甲晴美は、徳田康代に連絡を入れる。


『はい、徳田ですが』


「徳田さん、白波女子の正式参加が決まったわ」

『先生、ありがとうございます。白波と有馬ですね』


「そうね、面白い試合になりそうね」

『あとは、予選トーナメントからの決勝進出が何人になるかですね』


「徳田さん、今回は十六人を選びたいのよ」

『かるた部十六人と合わせて三十二人ですね』


「白波女子と有馬女学園もいるから、

ーー 決勝トーナメントはいい試合になりそうよ。

ーー 試合が六試合以上になるのは、経験から賛成できないわ」

『私も同感です』


「その場合、神聖学園都市の宿泊施設を利用出来ませんか」

『有馬は何人ですか』


「まだ分からないのよ」

『じゃあ、豊下に確認させましょうか』

「大丈夫よ、私から連絡しますから」




 安甲は有馬女学園のかるた部顧問の先生に連絡を入れる。


「もしもし、安甲と申しますが、

ーー 有馬女学園の松山八重先生の携帯ですか」

「はい、お世話になっています。松山です」


「処暑の日の参加人数を確認したいのですが」

「今、確認出来ているのは、十人くらいですが・・・・・・。

ーー はっきりしたら、後で連絡を致しますが如何(いかが)ですか?」


「はい、構いませんが、参加人数が増えて試合数が増える場合は、

ーー 開催日程を二日間にしたいと考えています」

「二日間ですか?」


「その場合、神聖学園都市の宿泊施設をご利用下さい」

「何から何までも、お世話になり、ご迷惑じゃありませんの」


「そんなことは微塵(みじん)も考えていませんので、ご心配なく」

「分かりましたわ。じゃあ、あとで私から連絡しますね」




 安甲晴美(あきのはるみ)かるた部顧問は、連絡を終えてかるた部の新しい部室を初めて訪れた。

生徒会室よりは小さいが、前の部室の倍はある。


 安甲は、かるた部を三十二人にして今の倍にしたいと考えている。

校内大会の決勝トーナメントに残った生徒を勧誘してみようと、皮算用をして微笑んだ。


「徳田さん、早いですね」

安甲が徳田に声を掛けた。


『宝田の大スターの四名の練習を手伝っています』

「なるほど、忙しいですね」


『かるたのお陰で嫌なことを忘れられて助かりますの』

「そうね、相変わらず、徳田さんは前向きでいいわね」


『先生、有馬は、どうなりましたか』

「今、調整中らしい」


『何れにしても、トータル人数が増えれば、

ーー 試合数も増えて二日間になりそうね』

「その時は、徳田さん、宿泊施設、よろしくお願いしますね」


『先生、豊下さんにお願いしておくわね』

「ところで、大スターさんは」


『生徒たちの転居を確認してから来るそうよ』

「じゃあ、お待ちしましょう」


「この部屋、冷房ないのに涼しいわね」

()()()()()()()()ですの』

「初めて聴きましたわ」


『最近のリフォームの時、学園が設置したそうなの』

「最新・・・・・・技術かな」


『技術も日々進歩していますので』




 夜神たちは、第四陣の生徒二十名の到着と転居を確認していた。

生徒八十名を四日間に分けて転居させ予定を消化している。


「豊下さん、明里さん、あとは、お願いしますね」

「夜神さん、あとは、任せてください」


「毎日、悪いわね」

「かるた部に行ってくるわ」




 しばらくして、朝川、夜神、赤城、大河原の宝田スター四人衆が部室に到着した。


「徳田さん、遅れて、すみません」

『夜神さん、気にしないでください』


「徳田さんは、いつも優しいわね」

『面識があるかも知れませんが、かるた部顧問の先生を紹介しますね。

ーー 神聖神社の神主さんで陰陽師(おんみょうじ)安甲晴美(あきのはるみ)先生です』


「安甲晴美です。よろしくお願いします」


「宝田劇団舞台監督の夜神紫依です」


「責任者の朝川夏夜です」


「赤城麗華です」


「大河原百合です」


 簡単な挨拶が終わり、練習試合の準備を始める。


「じゃあ、読手は、私がするわね」

元クイーンの安甲晴美の読手で初心者の練習が始まる。


 夜神たちには、目の前にいる元クイーンも一般部員の違いも分からない。

目の前のかるたを並べるのが精一杯だった。




 最初の練習を終えて安甲がアドバイスをした。

「自陣の札なんだけどね。

ーー 毎回、違う場所に置いていたら、自分の札の位置さえ覚えられないわ。

ーー 同じ場所は、相手からもバレバレだけどね。

ーー 最初は、自分のかるたのリズムを作ることに専念して。

ーー 自陣の決まり字の配置を覚えるのよ」


安甲が宝田劇団の初心者にアドバイスを続ける。

「七枚ある一字決まり下の句は、

ーー 相手から一番遠い場所に配置して。

ーー いづくもおなじ、ゆめのかよひぢ、われてもすゑに、

ーー むべやまかぜを、ただありあけの、きりたちのぼる、くもがくれにし」


次に五字来まりと四字決まりを説明する安甲。

「二枚しかない五字決まりの下の句も同じよ。

ーー あまのをぶねの、やまのおくにも。

ーー 四字決まりの下の句四枚、みんな狙っているわ。

ーー おきまどはせる、こひしかるべき、あはれことしの、すゑのまつやま」


安甲は、宝田劇団の参加者の反応を見ながらゆっくり話した。

「だから、慣れるまでは、自陣の位置を固定化するのよ。

ーー 決まり字で分けるのよ。

ーー そのうち、相手も同じようなことをしているのに気付くわね。

ーー 応用は慣れてからでも間に合うから、今は基本形に専念して頑張って・・・・・・」


「さすが、()()()()()()()()でござるよー」

天宮静女(あまみやしずめ)の声に夜神たちが驚いている。


「安甲先生って、元クイーンなの・・・・・・」

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