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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
59/169

【五十九】近江の聖地で個人戦でござるよー

 翌日、神聖女学園競技かるた部と応援の女子高生たちは先に神宮の境内に到着した。

 徳田康代大統領は警備を従えて神宮に遅れて到着する。

宝田劇団の夜神紫依(やがみしより)舞台監督は、上下アイボリーのパンツスーツで徳田大統領の横にいる。


「徳田さん、素敵な神社ね」

『空気がなんとも言えないくらい()んでいますわ』


 時より小鳥の(さえず)りに混じって蝉時雨(せみしぐれ)が聞こえていた。




 神使のセリエが康代にテレパシーを送る。

康代もテレパシーで答える。


[康代よ、どうにゃあ]

[セリエさま、順調です]


[西和は、ギリギリ持っているからにゃあ、心配せず頑張れにゃあ]

[ありがとうございます]


康代の姿が傍目(はため)には、一瞬ボーっとしているように見えた。


「徳田さん、大丈夫」

『大丈夫です。蝉時雨に聞き入ってしまいましたわ』

「それならいいのよ」


 徳田は、夜神にB級会場を伝え、途中からの入室が出来ないタイミングがあることを歩きながら伝えた。

徳田たちは、お参りしたあとで会場に向かう。

夜神は境内(けいだい)を見学してから、会場に向かうと言って途中で別れた。




 安甲晴美かるた部臨時顧問が入り口で待っている。

『先生、お待たせしました』

「私は、A級を楽しんで来るわね。

ーー あなたも早く、A級に来なさい」


『はい、先生、B級大会を頑張って来ます』

「じゃあ、あとでね」


 安甲晴美と徳田康代は別々の会場に分かれた。


 個人戦に出場しない部員の多くは安甲先生のA級会場の応援に行く。




 徳田康代大統領のB級会場は、静女、織畑、前畑、豊下、明里と女子高生警備が見守っている。

部屋の外には、徳田幕府女子高生支部の水戸藩の水上泉、尾張藩の尾上ゆかり、紀州藩の紀戸茜が目を光らせていた。


 夜神は、徳田たちが初戦で負けないことを見越して三回戦からの見学を豊下に伝えていた。

二回戦が終われば、豊下から連絡が入る手筈だ。


 A級会場の安甲晴美も元クイーンだけあって、三回戦終了まで圧勝で勝ち進む。

 B級会場の徳田康代も三回戦終了まで圧勝した。

徳田にとって、団体戦のプレッシャーが消えて本来の底力が覚醒している。


「徳田さん、次は準々決勝ね。頑張ってください」

『夜神さん、ありがとうございます』


 応援席から(ささや)き声が聞こえている。

[あの人、宝田の元大スターじゃない?]

[本当だ、夜神紫依よね]

[あとで、サインもらおうよ]


 安甲晴美は、久しぶりに準決勝に進み、徳田康代は、初めての準決勝進出を決めた。


 両会場とも、暗記時間15分が終了した。

専任読手が序歌を詠み上げる。


「なにわずに さくやこの 花冬ごもり


いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・


いまを春べと 咲くやこの花」


 自陣に二十五枚、敵陣に二十五枚、空札五十枚

百枚の中から一枚目が()まれる。

()()()()()()()()の計算になる。




 A級会場の準決勝会場。


「たまのをよ・・・・・・」

空札(からふだ)になる。


[たかさごの、たきのおとは、たごのうら、

たちわかれ、たまのをよ、たれをかも]

【た行の二字決まり】は空札(からふだ)になったが、た行はあと五枚と安甲はカウントしている。


「よのなかは・・・・・・」

空札(からふだ)になった。


【よ】の上の句は四枚ある。

[よのなかは、よのなかよ]は、五字決まり。

[よもすがら、よをこめて]は、二字決まり。

安甲は、冷静に札の残りを頭の中で整理していた。




 A級会場は、徳田より一足早く、安甲が決勝進出を決めた。

 B級会場の徳田も安甲を追いかけるように決勝進出を決める。

唐木田葵は、準決勝で白波女子の逢坂(おうさか)めぐみに敗退した。


 C級会場では、森川、姫乃、和泉が準決勝進出を決めている。

三人のB級への昇段が、この時点で確定した。

C級優勝は、姫乃水景、準優勝は、和泉姫呼となった。


 D級会場は、夏生瑤子、春日遙、三笠住江の三人が準決勝進出を決めC級昇段が決まる。

D級優勝は、夏生瑤子、三位入賞が春日遙、三笠住江となった。


 団体戦優勝チーム神聖女学園の実力が飛び抜けた結果となった。




 A級会場では、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の対決となってネット配信が始まる。


 専任読手の序歌のあと、事実上のクイーン戦が開始された。

双方、譲らず、運命戦にもつれ込むが、現役に適わず安甲が惜敗(せきはい)する。


一方のB級決勝は団体戦の余韻(よいん)を引きずり、徳田康代有利の展開になる。


五枚差で迎えた七十枚目が()まれた。


「あまつかぜ・・・・・・」


[あまつかぜ、あまのはら]の三字決まりを逢坂が払い、四枚差に詰め寄るが徳田はあと二枚だった。


「かささぎの・・・・・・」

[かくとだに、かささぎの]の二字決まりを徳田が払い、残り一枚になる。


 逢坂は手を上げ、席上で立ち上がって深呼吸を繰り返した。

徳田も手を上げ、立って背伸びをした。

逢坂には、あとがないが、前回の準優勝と合わせてA級昇段は確定している。


「うかりける・・・・・・」


[うかりける、うらみわび]の二字決まりの札を徳田が払い、札が舞う。

徳田が札を拾い、右手を上げ、札の枚数を確認して徳田康代の優勝が決定した。


『逢坂さん、強くて苦戦しましたわ』


「徳田さんこそ、強くて冷や汗ものでした。

ーー 東都に戻ってもよろしくお願いします」


『私こそ、よろしくお願いします』


 徳田康代、逢坂めぐみは次回からA級大会で戦うことになった。


「徳田さん、おめでとうございます」

夜神だった。


『ありがとうございます』


「転居したら、かるたを教えてくださいね」

『夜神さん、神聖の校内かるた大会に特別参加してくださいね。

ーー そして神聖の子たちにも、みなさんの演劇を披露してください』


「分かりましたわ。

ーー 徳田さんのかるたで楽しみが増えましたわ」


「徳田殿、A級でござるよー」

静女だった。

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