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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
55/169

【五十五】初戦の相手は九重女子高でござるよー

 安甲晴美(あきのはるみ)臨時顧問兼監督が大会の説明をする。


「この大会は例年の定期開催とは別の特別大会になっている。

ーー シード校を除くと対戦カードは六回ある。

ーー 初日は生徒の体力を考慮して三回戦までに変更となった。

ーー 二日目が、準々決勝、準決勝、決勝の予定だ」


安甲は部員たちの顔を見ながら続けた。

「レギュラー、準レギュラー、サポート、みんなで力を合わせて欲しい。

ーー 二日目に残れるように、みんなで頑張ろう」


唐木田が白菊に聞いた。

「初出場大都準優勝校の九重女子高って、どんなレベルですか」

「唐木田部長、調べましたよ」


「白菊さん、ありがとうございます」

「部員数は、うちと同じくらいです」

「機動力のチームです」


「レギュラーのレベルは」

「B級一名、C級四名で、補欠はD級ですね」


「B級二名、C級三名のうちと、ほぼ同じか」

安甲が口を挟んだ。


「初戦の布陣を変えよう。

ーー 徳田さんが外れて、難波さんが入って」


「B級一名、C級三名、D級一名の布陣だと、

ーー やや先方有利ですが」

「唐木田さん鈍いわね。

ーー 三勝すればいいのよ。

ーー それに、団体戦かるたは、運も絡むのよ」


 陰陽師(おんみょうじ)安甲晴美は、難波に他者暗示を仕掛けていた。

強い、行けると思う心が引き寄せる()()()()()()()だ。


 


 対戦相手に大きな番狂わせは起きなく初戦が開始された。


 読手が序歌(じょか)()み上げる。


「なにわずに さくやこの 花冬ごもり

いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・」

「いまを春べと 咲くやこの花」


「さびしさに・・・・・・」

空札(からふだ)になった。


空札(からふだ)が続く。


「わびぬれば・・・・・・」

九重が三人、神聖が二人で、九重リードで始まる。


唐木田の相手はC級。

森川の相手はC級。

姫乃の相手はC級。

和泉の相手はC級。

難波の相手はB級。


 難波に勝ち目は殆どなかったが、奇跡が起きて難波が運命戦を制した。

九重女子高の主将は首をうなだれている。


 結局、試合を終えて見れば神聖が五勝で初戦を突破した。


 九重女子高は初戦の緊張とお手付きが度重なり自滅した。

難波は、守りのかるたで金星を拾い運命が分かれたのだ。


 ポニーテールの唐木田葵(からきだあおい)は、セミロングの和泉姫呼(いずみひめこ)に苦戦した試合を思い浮かべた。

 唐木田の視線の先には、ピクシーカットの難波雫がいる。

難波の黒いショートヘアに天使の輪が輝いている気がした。


 難波雫の実力はD級だが、おそらく今の力はC級の出口かも知れないと唐木田は思った。




「みんな、本選では、ランクを考えるな。

ーー 耳と札にだけ集中よ」

 安甲晴美臨時顧問の声が響く。


「二回戦、徳田さん入って、唐木田さん抜けて、

ーー 峰さん入って、難波さん抜けて、

ーー 二回戦は、外山(とやま)女子高よ。頑張って行こう」

 安甲の声に押されながら試合が始まる。


「おぐらやま・・・・・・」

神聖女学園の三人、外山女子高の二人が札を先取して試合が始まった。


「このたびは・・・・・・」


[パーン]

畳に弾けるような乾いた音が響く。


「きみがため・・・・・・」

大山札は空札(からふだ)になった。


「きみがため・・・・・・」

また大山札の空札(からふだ)が続いた。


 大山札は、あさぼらけ二枚、わたのはら二枚が残っている。


 下の句の四枚は、よしののさとに、あらはれわたる、ひとにはつげよ、くもゐにまがふ。

大山札は六文字目を聞かないと選べないのだ。


 結局、大山札は終盤まで出ることはなかった。


 徳田と外山女子高主将との対戦は徳田の圧勝で終え両者が一礼をした。

手元の札を数えて確認が終えた。


 続いて、姫乃、和泉が徳田に続き三勝。

森川、峰は一枚差で惜敗した。




 安甲晴美臨時顧問兼監督が口を開いた。

「森川さん、峰さん、ご苦労様。

ーー 唐木田さん、三笠さん入って。

ーー 次の三回戦は、竜田(たつた)女子高ね」


小倉が唐木田に伝える。

「唐木田さん、安定したチームで、ここまで僅少差(きんしょうさ)で勝っています」

「札を頻繁に動かしていました」

「小倉さん、ありがとうございます」


「唐木田さん、気にせずマイペースよ。

ーー 小手先の小技(こわざ)は、墓穴の始まりよ。

ーー 整理できなくなるリスクと隣り合わせなのよ」

 安甲のアドバイスに唐木田は普段の落ち着きを取り戻した。


「じゃあ、みんな、神聖行くよー」

 安甲晴美監督の大きな掛け声に他校の生徒が振り向く。




 三回戦に来て、神聖は、唐木田、徳田、姫乃、和泉のレギュラーと準レギュラーの三笠となった。


 三回戦も、徳田康代が先勝して後半に入った。

姫乃が勝って、三笠が負け、二勝一敗となる展開に安甲は満足している。


 さすがに竜田女子も楽には勝たせてくれない。


 唐木田葵部長が珍しく大きな声を上げた。

「みんな、頑張って行くよー」


 応援席から、織畑、前畑、豊下、明里の声が聞こえている。

「唐木田さん、和泉さん、頑張って」


 唐木田葵と和泉姫呼(いずみひめこ)が竜田女子と運命戦に突入した。


 和泉が唐木田より先に勝った。

神聖の助っ人は三人ともしぶとい。


 唐木田の手が上がり、唐木田もなんとか勝って一礼をした。

蓋を開けてみれば、神聖の四勝一敗になっていた。




 安甲監督は、生徒たちの脳を休めさせて集中を高めることに神経を集中している。


「みんな、よく頑張ったな。

ーー 初出場の本選で準々決勝進出なんて奇跡よ。

ーー 今日は、宿に帰ってお風呂に入って、美味しいものを食べて、よく眠れるように。

ーー 自己コントロールも試合と同じくらい重要よ」


 十六名と安甲が宿に帰ると一足先に戻っていた天女の天宮静女(あまみやしずめ)が徳田康代を出迎えた。


『あら、静女、早いじゃない』

「康代殿、()()()()でござるよー」

『静女は、本当に便利ね』


しばらくしてから、織畑、前畑、豊下、明里が宿に到着する。


「康代の勝ちっぷりに相手の生徒が気の毒になりましたわ」

「織畑さんの言う通りね」

前畑利恵だった。


「徳田さん、B級の個人戦に出て見ない」

『先生、個人戦ですか・・・・・・』

「秋の大会までにA級になれるわよ。

ーー 姫乃さん、和泉さんは、C級の個人戦でB級を目指して。

ーー 他の人も個人戦に出てランクアップよ」

 安甲はそう言いながら、次の大会の戦略構想を考えていた。


 神聖女学園の女子高生たちの井戸端会議が稲葉旅館の大広間で始まった。


 お読みいただき、ありがとうございます!

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三日月未来(みかづきみらい)

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