【五十二】競技かるた全国大会地方予選でござる!
神聖女学園で校内かるた大会が武道場で始まった。
全国大会予選前の校内選抜大会となる。
トーナメントの上位者が団体戦予選に出場する。
陰陽師安甲晴美の考えだった。
出場希望者の生徒二百名が前半と後半の二つのグループに分かれて組み合わされた。
前半グループは未勝利グループの百名だ。
後半グループは一勝以上のグループの百名になった。
三日間の練習会の成績が考慮されて組み合わせが決められている。
織畑信美は、一勝二敗で後半の勝利グループのトーナメントに出場する。
徳田康代は、未勝利グループで前半グループの出場だったがB級が考慮されて勝利グループになる。
試合は、順調に進んで、前半グループ、後半グループ、それぞれ八名が残り翌日の二日目に進んだ。
決勝トーナメントが組み直され、勝利グループと未勝利グループが対戦するカードになった。
決勝トーナメント一回戦で、未勝利グループの八名が消えた。
安甲晴美が期待していた。
原石は見つからなく終えた。
午後に入り、準々決勝が始まる。
【準々決勝対戦カード】
唐木田葵、夏生瑤子
姫乃水景、春日遙
和泉姫呼、三笠住江
徳田康代、森川楓
【準決勝対戦カード】
唐木田葵、姫乃水景
和泉姫呼、徳田康代
別の試合
夏生、春日
三笠、森川
【決勝対戦カード】
唐木田葵、徳田康代
唐木田が運命戦で徳田に勝利した。
別の試合
夏生と森川の組み合わせは森川の勝利で終え、五位が決定した。
試合の結果を受けて、団体戦代表者が決まった。
[レギュラー]
唐木田葵
徳田康代
姫乃水景
和泉姫呼
森川楓
[補欠]
夏生瑤子
春日遙
三笠住江
校内大会を終えて、安甲が想定した八名が全国大会団体戦に出場することになった。
成績上位者は、希望で個人戦の出場が許可されている。
決勝トーナメント一回戦で破れた八名も例外ではなかった。
全国大会団体戦予選会場に、唐木田、徳田、姫乃、和泉、森川の五名と補欠の三名が集合している。
補欠要員は、一名ずつ入れ変わり、誰かが一試合を休む。
B級二名、C級三名、D級三名の体制は、決して強くはなかった。
安甲晴美は、C級の三名に期待している。
団体戦は、三名が勝てば勝利できるから、決勝に進む前に休める体制を準備していた。
一回戦は、徳田と夏生が交代。
二回戦は、唐木田と春日が交代。
三回戦は、森川と三笠が交代。
準々決勝は、姫乃と夏生が交代。
準決勝は、和泉と春日が交代。
決勝は、レギュラー五名と、安甲晴美チーム監督は初戦開始前から決めている。
「唐木田部長、森川副部長、徳田さん、姫乃さん、和泉さん・・・・・・。
ーー 夏生さん、春日さん、三笠さん・・・・・・。
ーー みんな、ここに来れ無かった者の想いを無駄にしないように頑張ろう」
安甲晴美は、珍しく、激励の言葉を部員に掛けた。
「初戦の松川女子校戦は、予定通り、徳田さんが休んで夏生さんで行きます。
ーー 夏生さんは、リラックスすることに専念してください」
『夏生さん、頑張って、三勝しましょう』
試合が開始されて、姫乃、和泉が勝ち抜け二勝した。
あと一勝を唐木田と森川が頑張っている。
安甲は、陰陽師の予知能力でこの試合の勝利を確信していた。
森川、唐木田の順で抜け、夏生は惜敗して、四勝一敗で第一試合を終えた。
二回戦は、吉野女子校戦となり、徳田さんと春日さんが入り、夏生さんと唐木田部長がお休みした。
二回戦は、徳田さんの圧勝を皮切りに全員が勝って五勝で二回戦を突破する。
翌日の三回戦の相手は、奥山女子校となり、唐木田部長と三笠さんが入り、春日さんと森川副部長がお休みとなる。
三回戦の相手は楽勝できる相手では無かった。
「みんな、三勝すれば良い。三笠さんは、マイペースでいいよ」
「先生、ありがとうございます」
「なんか、アニメのような競技かるた大会になって来たね」
唐木田部長が声を掛ける。
「徳田さん、姫乃さん、和泉さん、三笠さん、声を出して行きましょう」
「神聖、ファイト! 」
「神聖、神聖、神聖! 」
応援席からも声が掛かる。
読手が序歌を詠み上げ三回戦が始まった。
「なにわずに さくやこの 花冬ごもり
いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・」
「あまつかぜ・・・・・・」
徳田の右手が空を切る。
空札にトラップを仕掛けてミスを誘った。
見事に成功して、相手はお手付きとなり、徳田は自陣の札を相手に渡す。
安甲は、徳田の頭脳戦は、B級レベルでは無いと見ている。
校内大会から始まって、勘を取り戻して来た様子に見えた。
三回戦は、唐木田部長、徳田さん、姫乃さんの順で勝利した。
和泉は、相手校の部長と対戦して惜敗。
三笠も副部長と対戦してカードを落とした。
二日目の午後に入り準々決勝が始まる。
相手は、滝川女子校となった。
「じゃあ森川副部長と夏生さん入って、姫乃さんと三笠さんがお休みよ」
「森川さん、夏生さん頑張ってください」
姫乃だった。
夏生さんが先勝して、森川副部長、和泉さん、徳田さん、唐木田さんの順に勝利した。
どのカードも接戦での勝利となった。
三日目の準決勝は、強豪の“高砂女学園“との対戦になった。
神聖女学園は運良く男子校との対戦がなかった。
「姫乃さんと春日さん入って、和泉さんと夏生さんがお休みね」
安甲の指示に選手は移動している。
会場がどよめく。
姫乃さん、春日さん、勝利のあとで神聖はあと一勝で全国大会本選出場が決まる。
ところが、残った三人、唐木田、森川、徳田が運命戦となる。
「よのなかは・・・・・・」
五字決まりは空札となった。
「こころあてに・・・・・・」
四字決まりも空札となる。
「きみがため・・・・・・」
大山札に徳田の手が素早く、自陣の札を払った。
神聖女学園の本選出場が決まった。
このあと、緊張の糸が切れたのか唐木田、森川が破れた。
四日目の最終日、全国大会地方予選の決勝が始まる。
神聖女学園は、強豪高砂女学園を下し上位にチームになったため、全国大会本選の出場権を獲得している。
決勝の相手は前年の優勝校、白波女子高校となった。
唐木田、徳田勝利のあと、森川、姫乃、和泉が破れて準優勝に終わる。
「みんな、ご苦労様、
ーー みんなのお陰で近江の聖地に行ける。
ーー みんな、ありがとう」
安甲晴美の清々しい言葉に女子生徒たちは救われた。
『先生、かるたの聖地って、どんな所ですか・・・・・・』
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三日月未来