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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
51/169

【五十一】かるた部で模擬戦が運命戦でござる!

【かるた部、模擬戦組み合わせ】


[読手]かるた部副部長、森川楓


[対戦カード]

安甲晴美、和泉姫呼

唐木田葵、姫乃水景


 唐木田と姫乃の陣の残りの札が、お互い最後の一枚になっている。


『よのなかよ・・・・・・』

五字決まりは空札になった。



 唐木田の陣には、一字決まりの下の句、

『くもがくれにし』がある。


 姫乃の陣は、残りの五字決まりの下の句、

『やまのおくにも』だ。


 五字決まりは、あと一枚を残している。


『きみがため・・・・・・』

 大山札は、空札となる。


『わたのはら・・・・・・』

『あさぼらけ・・・・・・』

 大山札が立て続けに空札になった。


『あきのたの・・・・・・』

天智天皇(てんじてんのう)の歌も空札となる。


唐木田も姫乃も、お手付きをしない。


『めぐりあひて・・・・・・』

長身を生かした姫乃のリーチが一瞬早く唐木田のガードの下を潜り札を払った。



 先に終えていた安甲が姫乃に声を掛けた。

「姫乃さんと和泉さんがB級レベルの実力と分かったわ」

「先生、ありがとうございます」

姫乃と和泉が安甲に挨拶した。


「唐木田さんは、アンラッキーでした」

「姫乃さん、強くて参りました」


「三人とも頑張って、A級を目指しましょう」


「森川さん、読手をありがとうね」

「いいえ」


「森川さんも、C級ね」

「はい、そうです」


「案外、今年のかるた部、いいかも知れないわね。

ーー B級一名、C級三名、あと一人は誰かしら・・・・・・」


 姫乃が口を開いた。

「先生、徳田さんの話なんですが・・・・・・。

ーー 中等部時代にかるた大会で優勝したことがあると聞いたことがあります」

「それ、本当なの」


「それどころかB級とか言っていましたわ」

「じゃあ、徳田もかるた部に入れよう」


「先生、徳田さんは女子高生でも大統領ですが」

「別に問題無いでしょう」

 安甲は姫乃の疑問を一言で払拭(ふっしょく)した。



 安甲は、徳田に()()()()()()()から連絡を入れて、かるた部に呼んだ。


「徳田さん、次の全国大会に向けてかるた団体戦チームを考えている。

ーー 是非、協力してくれないか」

『先生に言われるなら、引き受けますわ』


「徳田さんは、B級と姫乃さんから聞いていますが」

『はい、中等部時代のことです』


「じゃあ、唐木田、森川、徳田、姫乃、和泉で決まりでいいか。

ーー 団体戦は、メンバーギリギリだとリスクが高い」


「三名とかるた部のメンバーを合わせて、八名なら交代できるから万全です」

安甲に唐木田が言った。


「かるた部の残り三名は、誰かな」

森川に安甲が尋ねる。


 森川が部員を紹介した。

夏生瑤子(なつきようこ)、一年D級」

春日遙(かすがはるか)、一年D級」

三笠住江(みかさすみえ)、一年D級」


「B級二名、C級三名、D級三名ね・・・・・・」


 森川の紹介を安甲が反復すると唐木田が口を開く。


「先生、かるた部はメンバーギリギリで団体戦を見送ることが多かったのです」

「じゃあ唐木田さん、今年は大丈夫ね」


「先生、明日から校内大会個人戦の予選です」

「レギュラーは、成績順で決めましょう」


「先生、クラス分けは、どうしますか」

「練習会の未勝利グループをEグループとしましょう」


「一勝グループ以上と分けて対戦カードを考えましょう」

「この五名とかるた部の残り三名がぶつからないようにします」

「準々決勝まで全員が進めるでしょう」


「万が一の見落とし防止のためにーー」

「未勝利グループの準々決勝メンバーと、・・・・・・」

「一勝グループ以上の準々決勝メンバーで再組み合わせをしましょう」


「お手付きに気をつければ自滅はありません」


「先生は、全国大会の個人予選に出場します」

「みなさんは、校内かるた大会を楽しんでください」




 短歌グループは、ネットへの応募締め切りに向けて、和歌の学習をしている。

昼の学園食堂では、女子生徒たちの井戸端会議が始まっている。


「この間、作家の近江千夏(おうみちなつ)先生が言っていたの覚えている」

枕詞(まくらことば)とか、序詞(じょことば)ね」


「古典の教科書にもあるーーあれね」

「修辞法とか呼ばれる技法ね」


「難しいよね」

「でも、それ修飾語だよね」

「あまり考えても・・・・・・」


掛詞(かけことば)は、どうなの」

「あれは、同じ音に二つの意味をダブらせる錯覚の技ね」

「正確じゃないけど、修飾と就職みたいに」


本歌取り(ほんかどり)は」

「あれは、ある意味、裏技ね」

「ある意味、あれズルね」


女子生徒たちの井戸端会議は、【()()()】を忘れたかのように和歌の話題で盛り上がっている。




 徳田康代大統領は執務室に戻って、豊下秀美副首相の報告を受けている。

「女子生徒たちの話題が、かるたや和歌の話題になっています」

『アニメは、どうなっている』


 大統領補佐官の明里光夏が答えた。

「ダントツで、『千早無双』の視聴回数が伸びています」

『企画の三本が順調で安心しましたわ』


 織畑信美首相が聞いて来た。

「康代さん、かるた大会に出られるのですか」


『先生に、お願いされてね。とりあえず出るわ』 

「康代さんは、演劇だけじゃなく、かるたも出来るのですね」


『小学時代に祖母に勧められて始めたのよ。

ーー そしたら、面白くて夢中になってしまったのね』

「かるたって、暗記ですよね」


『そうね。最初はね』

「最初だけなんですか」


『うん、そうね』

「よく分かりませんわ」


『決まり字と空札にコツがあるのよ』

「二字決まり、三字決まり、多いじゃないですか」


『五字決まり二枚、四字決まり四枚、大山札六枚、一字決まり七枚で十九枚、

ーー 残り八十一枚に二字決まりと三字決まりがあるわ。

ーー この十九枚は、みんなが狙っているから落とせないのよ』


「二字決まりと三字決まりは何枚あるんですか」


『二字決まりは五十枚、三字決まりは三十一枚ね。

ーー かるたはね、トラップで自滅しない限りなんとかなるのよ』


「トラップって」

『罠よ』


『空札と分かっていて相手を誘い込む嘘を演じるのよ』

「じゃあ、駆け引きですね」


 康代は信美の質問に答えていた。


『そうね。

ーー 野球のスクイズ外しに似ているわね』


「競技かるたは、ずるい競技でござるな」

静女が云う。


『静女が云うと狡く聞こえるから不思議ね』


 いよいよ明日から校内かるた大会が始まる。

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