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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【五十】かるた部へ掛け持ち入部でござる!

 神聖女学園の昼の学園食堂では、生徒たちの井戸端会議が展開している。


「昨日のアニメ見た」

「千早無双のこと」

「そうよ」


「めちゃくちゃチートでびっくり」

「だってさ、全員が運命戦で勝つなんて」

「本当、あれ、神技だよ」


「まあ、アニメの世界だからね」

「うちのカルタ大会の練習会、今日もあるよ」

「大山札、六枚、必至で覚えたよ」


「私は、一字決まりよ」

「一字決まりって、何枚あるの」

「昨日、安甲先生が言ってたね」


「おい、君たちもカルタ大会かな」

偶然、安甲晴美が通りかかり女子生徒たちに声を掛けた。


「先生、一字決まりって何枚ありますか」

「もう忘れたのかな、一字決まりは、七枚よ」

「そして、五字決まりは、二枚ね」


「じゃ、先生、大山札と合わせて、十五枚ですか」

「そうね、残り八十五枚の争奪戦になるわね」


「全部、暗記するのって大変ですね」

「そんなこと無いわよ。他の人ができることよ」


「でもーー 」

「同じ人間だから、そんな大差はないと思うけど」


「同じ人間かーー 」

「じゃ、君たちも、今日も参加ね」


「はい、先生、よろしくお願いします」




 放課後の武道場は、女子生徒たちで(にぎ)わっている。


「練習会顧問の安甲(あきの)だ」

「今日は、君たちにヒントを与えよう」


「丸暗記にも、やり方は色々」

「まず、毎日、百首を全部()む」


「そして、好きな作品に馴染(なじ)む」


「先生、嫌いな作品は、どうしますか」

「捨ておけ」


 女子生徒たちの爆笑が武道場内に広がった。


「じゃあ、みんな二人一組になって、終わったら先生に報告して」


しばらくして

「先生、終わりました」

「あら、和泉姫呼(いずみひめこ)さんじゃない」


「中等部まで趣味でカルタをしていました」

「クラスは」


「はい、C級です」

「演劇部には、勿体ない素質ね」


「先生、そんなことないですよ」

「カルタ部臨時顧問として言わせてもらいますが」

「和泉さん、掛け持ちで、カルタ部にいらっしゃい」


「先生が、そう仰るなら姫乃部長と相談してみます」

「そうね。よろしくね」



 安甲は、ワークデスクの上に置かれたノートに練習会の勝者と敗者の氏名を次々に書き込んでいた。


唐木田葵(からきだあおい)さん、今ね

ーー 演劇部の和泉さんに声を掛けて掛け持ちをお願いしたのよ。

ーー C級よ」


「先生、それ、凄いです。私からもお願いします」

「じゃあ、一緒に交渉ね」


 翌日の放課後の武道場、練習会の三日目。

説明会を加えると四日目となった日、安甲は予行練習を準備していた。


 安甲は、敗者リストから氏名を読み上げ組み合わせを決めた。

次に勝者リストから、氏名を読み上げた。


「唐木田さんと、和泉さんの組み合わせね」

「先生、カルタ部の部長とですか」


「今の和泉さんの実力チェックに必要よ」

「分かりました。じゃあ、頑張ります」


 安甲が簡単な説明のあとで、読手を担当して序歌(じょか)()み上げる。


「なにわずに さくやこの花 冬ごもり

いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・」


 序歌のあとで安甲は天智天皇(てんじてんのう)の三字決まりの和歌を詠み上げた。


「あきのたの・・・・・・」


 室内が静かになる。

空札だったのである。

空札が一枚消えて、残り九十九枚の争奪戦となる。


 織畑信美は、偶然か姫乃水景(ひめのみかげ)演劇部長と対戦になっていた。

二人とも、前日の練習会の勝者で安甲が組み合わせた。

レベルは、D級くらいのようだ。


 天女の天宮静女は織畑の(そば)で、紫色のロングヘアを(なび)かせながら紫色の瞳を輝かせている。

徳田大統領は、この日も静女と一緒に見学側にいた。


「むらさめの・・・・・・」


 武道場内に女子生徒たちのため息が広がり、安甲先生がコメントする。

「そうね。折角の一字決まりなのに空札じゃ、ため息も仕方ないわね」


三日目の競技カルタの練習会の結果が、安甲先生に報告されている。

安甲は、唐木田たちの報告に驚く。


「唐木田さん、手加減しましたか」

「いいえ、和泉さんが強過ぎて、防戦試合になりました」


「なるほど、それで、一枚差なのね」

面目(めんぼく)ありません」


「唐木田さん、和泉さんは、意外とB級どころか、A級に近いわね。

ーー あとで、私がチェックしますから明日、カルタ部の部室に呼んでください。

ーー それと、掛け持ちの件は、ここで姫乃さんに話ましょう」


安甲が唐木田に尋ねた。

「織畑さんと姫乃さんは、どうなりましたか」

「大差で、姫乃さんの勝ちです」


安甲が姫乃に尋ねた。

「姫乃さん、和泉さんをカルタ部にスカウトしたいの。

ーー もちろん、演劇部との掛け持ちなんですが」


「はい、和泉さんから聞いています。

ーー 和泉さんとは、趣味でよくカルタをしていました」


「先生、出来れば・・・・・・。

ーー 私も和泉さんと一緒に掛け持ちでカルタ部に如何ですか」


「じゃあ明日、和泉さんと一緒にカルタ部の部室に来てください」

「先生、ありがとうございます」


 


 神聖女学園の競技カルタの練習会が三日目で終了となった。

明後日からカルタの校内大会予選が始まる。

安甲は、勝者グループに注意しながら対戦カードを作成した。


 翌日のカルタ部の部室に安甲と一緒に姫乃、和泉の姿がある。


「唐木田さん、紹介するわ。

ーー カルタ部と掛け持ちになったのは、・・・・・・」

ーー 私、安甲晴美(あきのはるみ)と、姫乃水景(ひめのみかげ)和泉姫呼(いずみひめこ)よ。

ーー よろしくね」


安甲は挨拶のあとで部員に言った。

「それで、これから、模擬戦をしましょう。

ーー 私と和泉さん、唐木田さんと姫乃さんね。

ーー 読手は、カルタ部副部長の森川(かえで)さん、よろしくね」

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