第十四章【四十九】カルタ初めでござるよー
徳田康代大統領は、第二次メディア構造改革を発表した。
所謂、メディアの解体分割が始まった。
国民にとってのマイナスな部分を草取り政策で駆除する内容だった。
神使のセリエが、神聖女学園の生徒会執務室に黒猫の姿で現れた。
生徒会執務室は、大統領執務室でもある。
「康代よ、順調かにゃあ」
『はい、セリエさま、メディア解体に着手しました』
「康代よ、頑張るにゃあ。
ーー 予もな、良いと思うにゃあ」
『ありがとうございます』
「ニュース配信には、手を焼いていたからにゃあ。
ーー 切っても切っても出て来る金太郎飴のようじゃにゃあ。
ーー 康代のお陰で予の仕事も少しは楽になりそうにゃあ」
セリエは続けて本題に入る。
「西和、南和、北和、中和、東和、すべての神隠しが止まっているからにゃあ。
ーー まもなくすれば、巨大地震があるにゃあ。
ーー その後で噴火が始まるにゃあ」
セリエの口から予言が飛び出る。
「そして、神々のリセットが始まるにゃあ。
ーー 康代のメディア解体は、ギリギリのタイミングにゃあ」
「予が許すから急場を凌ぐ嘘も必要にゃあ」
『嘘ですかーー 』
「そうだ、人間は、理屈が全てと誤解しているからにゃあ。
ーー 正直が全て善意とはならない場合もあるからにゃあ。
ーー 神々は嘘を見ていないからにゃあ」
セリエは、続けた。
「神々が見ているのは魂の波動だからにゃあ。
ーー 魂の色を見れば善悪は一目瞭然なのだにゃあ。
ーー 康代たちは、皇国と地球のための大法螺吹きをしても良いにゃあ」
『セリエさま、そんなチートパワーを使っても良いのでしょうか』
「神使の予が許すから大丈夫にゃあ」
『セリエさま、並行世界は大丈夫でしょうか』
「あそこはにゃあ、地球の別次元だからにゃあ、影響は無いから心配無用にゃあい」
『なら、いいんですが、大勢で溢れてないか心配しました』
「康代よ、それは杞憂だにゃあ」
『セリエさま、期間は長くなるのでしょうか』
「康代よ、無用な心配は精神を蝕むからにゃあ、やめにゃあ」
『セリエさま、ありがとうございます』
神使セリエは、消えて虹色の光になって金色に輝いていた。
前畑利恵副大統領が体育館の短歌グループを見学して執務室に戻った。
『利恵、近江千夏先生、どうだった』
「お洒落なワンピース姿の素敵な女性でしたよ」
「作家って気難しい人かと思ったら、とても感じのいい人でした」
「漢字で、ござるか」
「静女、揶揄わないで」
「冗談でござる」
『利恵の直感を信じましょう』
「短歌って形式無いから、箱に文字を入れる感じで書けてしまうのよ」
「お友達が短歌投稿サイトで書いていたら、ランキングしたと喜んでいました」
『ランキングがあるなんて知りませんでしたわ』
『利恵も何か書いて見たの』
「吉野川、流るる水に・・・・・・みたいに書いている途中よ」
『素敵じゃない』
「隅田川とか、三文字名に川で五文字もコツね」
『書いているうちにコツが分かりそうね』
「あくまでも素人のレベルでね」
『利恵は、切れ者だからね』
「康代に言われたくないわね」
『アニメ班の明里と豊下は、順調かな』
「康代さん、例のカルタアニメを中心にスポーツアニメが人気ですね」
と、明里。
『アニメに刺激されて趣味が拡大することになればダブル効果ね。
ーー 神聖女学園の女子高生の井戸端会議は皇国の縮図よ。
ーー あそこはある意味で情報源ね。
ーー 秀美は特に注意して見ておいてね』
康代は話題を変える。
『目に余る場合は、セリエさまがチェックするでしょう。
ーー さて、そういう訳だから、食堂に行きましょう』
「秀美が一足先に席取りに行きました」
『本当、秀美は静女みたいに素早いのね』
「拙者でござるか」
『秀美のことよ』
康代たちは、静女、織畑、前畑、明里と一緒に食堂に向かった。
豊下秀美が窓側のテーブルを確保していた。
安甲晴美先生も後から加わった。
『先生、競技カルタは順調ですか』
「競技カルタは、ランク別ですからね」
『先生、競技カルタってランクがあるんですか』
「競技カルタの大会ルールでは、
ーー A級からE級までレベル別に分かれているのよ」
『先生、もしも初心者が参加する場合は、どこですか』
「そうね、E級だから、心配無いわ」
近くの女子高生が安甲先生に話掛けた。
「先生、ちょっと、宜しいでしょうか」
「何か・・・・・・」
「今ね、先生のお話が聞こえたのですが・・・・・・」
「そう」
「私たち、初心者はE級なんですか」
「そうね、無段ならそうなるはね。経験者なら別ですが」
「じゃあ、未経験でも参加できるんですね」
「できるから、武道場の練習会に参加してね」
「先生、ありがとうございました」
『安甲先生は、優しいから人気ですね』
「そんなことありませんわ」
その日の放課後、生徒会も武道場の競技カルタ練習会に参加してみた。
安甲晴美先生が、競技のレベル別のクラス分けを生徒たちに説明をしている。
「昨日は、初日だったので、カルタの手引きを中心に説明しました。
ーー 競技カルタはね、年齢は関係無いけれど、
ーー レベル分けされた中で闘うのね」
安甲の説明が続いている。
「だから、個人戦では、上級者と初心者という組み合わせは無いのよ。
ーー でもね、グループ戦は混合なので違うの。
ーー みなさんは、同じレベル同士の仲間と練習して上達すればいいのよ」
カルタ部の部長の唐木田葵が徳田に声を掛けた。
「徳田さん、カルタに決めましたか」
『唐木田さんは、A級ですか』
「徳田さん、A級は安甲先生ですよ。私はB級よ」
『でも、凄いわ』
「カルタは、運もありますからね」
『そうなの』
「今、再配信されているアニメ『千早無双』が勉強になりますよ」
「唐木田さん、ありがとう。参考にするわ」
「安甲先生の練習会が終えたら、いよいよ校内大会ですね」
『校内大会の後で、全国大会地方予選が始まるのね』
「康代殿もカルタ初めでござるよー」
『静女ーー 』