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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
41/169

【四十一】宝田劇団の移転計画と永畑の変化

 カフェのテーブルに案内された康代たちは、

ーー 窓側の席から順に天宮静女(あまみやしずめ)、徳田康代、前畑利恵、豊下秀美が腰掛けた。

テーブルを挟んで、

ーー 織畑信美(おりはたのぶみ)、舞台監督の夜神紫依(やがみしより)、責任者の朝川夏夜(あさかわかよ)明里光夏(あかりみか)が順に並んでいる。


『夜神さん、毎回、宝田劇団本部から東都の神聖学園都市に出張は申し訳無いと思うの』

「そんなことありませんわ」


『そこで、神聖女学園に宝田劇団の支部があったらいいなあと思ったの。

ーー どうかしら』


劇団責任者の朝川夏夜(あさかわかよ)が口を開く。


「出来れば・・・・・・。

ーー そのお話を受けさせて頂きたいのですが。

ーー ただ、支部ではなく本部として如何でしょうか。

ーー こちらの恥ずかしい事情ですが、

ーー 老朽化による建て替えもあって本部が限界なんです」


『そうですか・・・・・・。

ーー 詳しい段取りには多少のお時間を頂きますが、

ーー 私はそれで構いませんわ。

ーー 豊下と明里は、協力して朝川さんと、

ーー 今後のスケジュールを作成してください』


「了解しました。徳田さん」

と、二人が答えた。


『ところで朝川さん・・・・・・。

ーー 本部が神聖学園都市に来た場合、

ーー 宝田はどうなりますか』


「当面は支部として残しておくつもりです」


『それは、良い選択肢ですね。

ーー 宝田劇団の意向確認が出来ましたので、

ーー 事務手続きは前畑利恵に担当してもらいます。

ーー ご連絡は、豊下と明里に任せます』


「徳田大統領、何から何までありがとうございます」

『気になさらないでください』


『今、国民に必要なのは、心の栄養と希望の光なんです。

ーー どれだけの人が宝田劇団の演技で笑顔を取り戻したでしょうか』

ーー 神聖学園都市はドームスタジアムの二十倍の広さですから心配ありませんわ』




 田沼光博士と若宮咲苗助手は、学園都市からやや離れた国民住宅に転居していた。

神聖ショッピングセンターのリニアモノレール駅の隣駅から近く、時間的なロスが(ほとん)どなかった。


 二人は、ショッピングセンターの地下食品街を歩きながら喋っていた。


「田沼さん、ここ本当にデパ地下と変わりませんね」

「そうね、殆ど必要な物は手に入るから助かりますわ」


「しかし、神聖ショッピングセンター以外で異性を見かけることはありませんわ」

「まるで少女漫画にある百合漫画の世界に似ていない?」


「若宮さん、考え過ぎよ」

「今日は、お蕎麦でも買いますか」


「たまにはいいわね」


「ところで、先生、このところ、永畑の白煙が止まっていますが」

「時期的には、危ない時期なのに不思議ですね」


「でも、止まれば、大歓迎よ」

「西和大陸の異変に集中出来ますわ」


大都(おおと)は、あれからどうなりましたか」

「異変が起きたのが不思議なくらい静です」


「若宮さん、買い物終えたら・・・・・・。

ーー 上のカフェでお茶して帰りましょう」

「先生も、あそこが気に入られたようですね」


「まあ、駅も近いし、便利ですから」

「そうですね」


「永畑も大都も不思議なくらい静で気持ち悪いわ」

「反動無ければ良いですが・・・・・・」


「反動あるのですか」

「エネルギーには開放と蓄積のパターンがあるでしょう」


「確かに・・・・・・」


「まあ、神さまの忠告に従って、

ーー 私たちは地震予知くらいにしましょう」

「天災は神さまの領域ですから、

ーー くわばらくわばらですね」


「触らぬ神に祟りなしですか」

「冗談も筒抜けですよ。先生」


「そうだった」

「じゃ、カフェに行きますか」



 田沼と若宮は、エスカレーターを乗り継ぎカフェに移動した。

田沼と若宮がカフェに到着した時、康代たちとすれ違う。


「あら、徳田さん、今、お帰りですか」


『ちょっと、(のど)(うるお)しに、

ーー みんなで寄ってみました』

「そうですか。

ーー すれ違いで残念ですがまた近いうちに」


『田沼先生、いつでもお気軽に誘ってくださいね』

「徳田さんは、優しいから甘えてしまいますわ」


『先生とも、お話したいので、明日お時間あれば如何ですか』

「そうですね。授業のあとで生徒会室に寄りますね」


『田沼先生も優しいので生徒会では人気ですよ』

「ええええ、知りませんわ」

田沼が照れていた。


「じゃあ先生、

ーー 明日よろしく」




夜神紫依(やがみしより)が聞いて来た。

「今のスカートスーツの綺麗な女性、

ーー どなたですか」

『若草色の人が、地震学者で有名な田沼光博士です。

ーー 神聖女学園で臨時教師をされているのよ』


「本当、神聖学園都市って、

ーー 不思議の宝庫ですわね」


『夜神さん、今夜は、最後の晩ですね。

ーー 学園寮の食堂に寄りませんか』


「部外者ですが、良いのですか」

と夜神は、躊躇いがちに答えた。


『私から言って置くので大丈夫ですから、どうぞ』

「じゃあ、みんなを引き連れて寄らせて頂きますわ」


『豊下にお迎えに行かせますから、

ーー 宿泊棟のラウンジでお待ちください』

「徳田さん、分かりました。

ーー あとでよろしくね」


 康代たちと宝田劇団の夜神たちは、ショッピングセンターの地下玄関前で分かれる。




 康代は、大統領執務室に戻り安甲先生に連絡を入れた。


『安甲先生、明日、田沼先生たちと面会予定があるのですが、

ーー 同席をお願いしてもよろしいでしょうか』

「私は、大丈夫ですが、康代さん、何かありました?」


『いえーー、特にないのですが

ーー 直感に迷いがありまして』

「やっぱり、康代さんは気付いていたのですね」


『あの二人、ちょっとしっくり行かない気がしていたので

ーー 気になっていたのです』

「何も無ければ良いですね」


『そういう訳で明日の面談に立ちあって頂けますか』

「分かりました。

ーー 見てみますね」


『安甲先生、ありがとうございます』



 康代たちは夕刻に、火の棟にある学園寮の地下食堂に向かった。

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