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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
31/169

【三十一】大きな黒猫と御伽噺!

 徳田康代大統領は、テーブルの席を田沼光博士の横に替わってもらった。

アラサーの田沼博士は神聖女学園の臨時教師で独身の美人教師だ。


『田沼先生、今日も色鮮やかな素敵なワンピースですね。

ーーところで何かありましたか』

「え、まだハッキリしませんが、地震波に僅かですが異常が起きています」


「多分、ブラックストンかと」

「ゴールド、ブラック、レッドと西和では、リスク順に名前が付けられています」

『知りませんでしたわ』


「インターネットニューススピードも話題にし始めているそうよ」


 若宮の言葉に康代の脳裡に神使セリエの言葉がよぎる。


【西和のブラックストンが怪しくなっておる。同時爆発も有り得る】


田沼博士の裏付けは、康代の不安を助長するのに十分だった。


『先生、何も出来ないと言うジレンマは神経に差し障りますわ』

「朗報かどうかは分からないが永畑火山が小康状態です」


『ブラックと永畑がダブルだったらゾッとしますわ』



 隣のテーブルの女子中学生たちのお喋りが聞こえた。


「さっきのインターネットニュースを見た?」

「見たよ。驚いたよ」


「ブラックストン火山よね」

「噴火したみたいよ」


 田沼と康代は耳を疑って田沼が女子中学生に尋ねた。


「すみません。それいつですか?」

「ちょっと前のネットニュースよ」


「規模は大きいですか」

「分からないけど、ニュースが騒いでいて驚いたわ」

「ありがとうございます」



 康代はいけないと承知しながら、この関連の報道に蓋をする決心をした。

ニュースが騒ぎを知らない人の不安を煽る。

知らなければ不安は拡大しない。

不安が拡大すれば負のエネルギー量が増大されてしまうからだ。


徳田康代は豊下秀美と織畑信美を呼んだ。

『あとで、学園の執務室に来てください』

「何かありましたか」


『ここじゃ話せないので』

「時間は空いているもん、いいわ」


『秀美、利恵と光夏もね』

前畑利恵と明里光夏の耳にも届いていた。



 田沼博士は、ホログラム携帯でブラックストンのニュースを確認した。


「これは、多分、水蒸気爆発ですね」

「破壊があっても溶岩の噴出が無いパターンですね」


「若宮さんの説明の通りマグマは噴出されていない」

『田沼先生も同席してください』


「私もですか」

『ブラックストンと無関係じゃ無いので』


 姫乃と和泉は場の空気を読んで先に離席した。

「康代、じゃあ明日の午後ね」

『姫乃さん、和泉さん、おやすみなさい』


 織畑、前畑、豊下、明里、静女、田沼、若宮は、徳田康代と一緒に執務室に向かった。



 徳田康代たち政府関係者には下校時間以降の校舎への出入りが二十四時間許可されている。

時間外には徳田幕府の女子高生警備が三名以上付き添う決まりがあった。

今回は、政府幹部に警備五名が同行している。


「さすが時間外の学校は不気味な雰囲気でござるな」

「静女さんの言う通り薄気味悪いです」


「秀美が言うと余計に怖くなるよね」

利恵の言葉はフォローになっていない。


 学園寮から特殊通路を通り生徒会室の入り口に到着。

中に入り内側の扉から執務室に入る。

女子高生警備は扉の外で待機した。



『みなさん、インターネットニュースで聞いている通りーー』

『ブラックストンの火山活動が活発化しています』


『私たちは負のエネルギー量を抑制する政策を進めて演劇を準備しています。

ーー無闇矢鱈に情報が一人歩きすると、

ーー思わぬ力に負のエネルギーを与えてしまいます』


『そこで、こちらも滅多矢鱈には出来ない禁じ手で先手を考えました。

ーーこれは方舟計画と関係あるので他言無用でお願いします。

ーー政府が皇国三千万人の安全を守るために一部の危険情報に蓋をします』


「方舟計画って何ですか?」

『危機管理上のトップシークレットですが、

ーーもう近いかもしれないので田沼さんにもお伝えします』


『神国である皇国だけが地球の未来を受け継ぐ計画です』

「そんな御伽話みたいなことがあるんですか?」


 

 神使のセリエが黒猫の姿で田沼と若宮の前に現れた。


『あら、セリエさま、今日はいつもより大きくなっていませんか』

「予は、怒ると大きくなるのじゃ。

ーーもっと大きくもなれる」


「そこの者、御伽話と言ったか!」

 喋る黒猫に度肝を抜かれた田沼と若宮だった。


「康代が心配しているのは、お前のような専門馬鹿なんじゃよ。

ーー何でも科学で解決できると錯覚しておる」


「お前らの顕在意識が錯覚で見たつもりになっているのは全体の一部なんじゃ。

ーー人間の言葉で氷山の一角とも言うがな」


「康代に代わってお前にキツく言う。

ーー皇国の存亡が掛かっている。

ーー余計な情報はマイナスエネルギーを増大させるだけじゃから喋るな!」


「背けば、神に(あがな)う者となるぞ」

セリエは更に大きくなった。


「予が、この場でお前を食べてもいいのじゃが。

ーー美味いかな」

田沼と若宮は、真っ青になっている。


「まぁ真っ青じゃな。

ーー冗談じゃ許せ」

 セリエは小さくなって元の姿に戻った。


「其方たちがわしを見るのも聴くも限定解除の結果じゃ。

ーー今、お前にスキルを与えたから、

ーー予の説明を聞き理解出来るだろう」


「そして、前世記憶が無い者には、前世記憶を付与した。どうじゃ」

田沼と若宮は顔を見合わせている。


「まぁ、そんなに驚くな。地球の創造神から見れば、

ーーマグマは地球の血液じゃ、大地は地球の皮膚じゃ。

ーー地球に寄生する動植物と同じように人間だけが特殊じゃ無いのじゃよ」


「汚れた魂が、アトランティスの悲劇を生んだのじゃ分かるかな?」

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