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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【三十】宝田劇団の舞台予行練習

 神聖女学園の大講堂は校舎の西側あった。

その北側には、神聖ショッピングセンターがあり、校舎の北側はビジネスホテルのような宿泊施設がある。


 校舎の手前から、体育館、大講堂、武道場、プールが並んでいる。

それぞれは地下通路で繋がっていた。



 大講堂は小ホールと大ホールに分かれていた。


 康代たちは、小ホールの更衣室で身支度を整え練習着になった。

姫乃水景が慣れた口調で宝田劇団の関係者に挨拶をした。


「おはようございます。姫乃水景です、

ーー本日からお世話になります。よろしくお願いします」

和泉、徳田、織畑が続く。


「宝田劇団の舞台監督の夜神紫依(やがみしより)です」


「今回のテーマは台本にある通り、宝田劇団オリジナルのかぐや姫です」

「みなさんは、主役のみなさんと協力して、

ーーファンタジーなイメージで演技をしてください」



「良く演じるとは思わないことです。

ーー良く演じようとすれば、ガチガチになって動けなくなるでしょう。

ーー失敗して元々なら、心にゆとりが生まれます」


「では、みなさんの配役を発表します」


「姫乃さん、和泉さんは、かぐや姫の従者の付き人役」

「徳田さん、織畑さんは、帝の従者の付き人役」


「台詞は、あまりありませんが重要な役なので頑張ってください」


 康代たちの出番は、想像以上に少なく、内心ではほっとしていた。



 お稽古のあとで、水景が康代に話掛けた。

「さすが、宝田劇団の舞台ね。簡単に役は貰えませんわ」


 神聖演劇部の主役の姫乃水景部長でも宝田劇団では端役のひとりに過ぎなかった。

プロと素人の違いである。



 康代たちは、静女のリクエストで、ショッピングセンターのカフェに地下通路から移動した。

 神聖学園都市の建物は、それぞれが地下通路で連繋されていた。

校舎の中庭の地下も学園寮の中庭の地下にもやや広いスペースがあった。



 康代たちは、ショッピングセンターの地下玄関で、前畑、豊下、明里と合流した。

八名はエスカレーター経由でカフェに到着。


 いつもの案内でいつもの席に案内されいつものスイーツをオーダーしたあとで、

ーー康代たちの井戸端会議が自然に始まる。


豊下が尋ねた。

「康代さん、信美さん、初日の練習はどうでした」


信美が答えた。

「全然、余裕なくて、楽しめる心境じゃないのよ」


康代が続く。

『信美と同じよ。心のプレッシャーと思う』


水景も続く。

「康代の言う通り、自分自身との闘いね」


「姫呼は、どう思う」

「水景部長と同じです。

ーー誰も強制していないのに心の(たが)が勝手に外れないように自制しているのよ」


『それって、限界と同じですね。

ーー限界も一度設定してしまうと、それを越える事が出来ないのよ』


利恵が説明を追加した。

「動物などの科学的実験でも証明されています。

ーー制限を与えた動物と与えない動物では運動能力に大きな違いが発生するとかね」


『人間には理性があるから普段は良いのですがそれがブレーキになることがあるのね』

「康代さん、理性の開放ってある意味、ヒントになりませんか」


『光夏、それは違うわ。役割が違うわ。

ーーこれは意識の問題と思うのよ』


 静女の言葉には不思議な説得力があった。

「確かに理性の(たが)が外れたら、やばいでござる」


 静女は、カフェからの眺めが大好きで窓の外を眺めている。

康代が時計を見ると、結構な時間になっていた。


『みんな良かったら、このまま学園寮の食堂に移動しませんか』


豊下が答えた。

「この間と同じ食堂にしましょう」


『じゃ、決定ね。あとで食堂の玄関でお会いしましょう』



 康代と静女以外は席を離れていた。

 康代のホログラム携帯に赤いシグナルが表示された。

陛下からのホットラインである。


 陛下と康代は、外での会話には注意している。

陛下は、康代のことを花子と呼び、康代は一郎と呼んでいた。

神使セリエのことはクロと呼んだ。


『あら一郎さん、ご無沙汰しています』

「花子よ、元気か」


『はい、お陰様で元気です』

「それなら良いが花子、クロから注意を聞いている通り、ブラックストンも怪しい」

「どんな批判が起きてもクロと私の命令に従ってくれ」


『クロと一郎さんの命令は絶対ですわ』

「困ったことあれば、私を頼りなさい」

『ありがとうございます。一郎さん』


 一郎を名乗った陛下は携帯を切った。

康代には、嫌な予感しかしなかった。



 康代と静女はショッピングセンターの地下通路から学園寮に戻り、着替えて食堂に向かった。

静女は、一瞬にして膝丈の薄いグリーン色の花柄のワンピースドレス姿になっている。

『あら静女、シンデレラみたいにお洒落ね』

「そう見えるでござるか。静女は、嬉しいでござる」


『やっぱり静女は、シンデレラが好きなのね』

「静女は、童話を読みたいでござるよ」


『短歌の企画に童話もいいかもしれないね』

「康代、それ良いでござる」



 康代と静女が到着すると他の六名が先に到着して席を確保していた。

五棟の地下と地上にそれぞれ食堂があるとはいえ、中等部から大学部までを入れると十学年になるマンモス学園寮の食堂だった。タイミングが悪いと待つ事になる。


 利恵は席を確保した秀美を労った。

「秀美さんが生徒会に来てからは、食堂で待たされることが減ったのよ」

『本当ですわ。秀美さんに足を向けて寝れませんわね』



 田沼光博士と若宮咲苗が康代たちのテーブルにやって来た。

「康代さん、同席してもよろしいですか」


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