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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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第九章【二十六】宝田劇団のオーディション

 神さまたちのカウントダウンを人間たちは知らずに普段通りの生活が営まれていた。

人間にとって時間は限りのあるスケールなのだが神々の世界に時間は存在しない。


 徳田康代大統領の側近の天女の天宮静女も時間枠の中では生きていなかった。

静女が妖なのか剣の化身なのかは取るに足らぬことだった。


 永畑火山もゴールドストンも何も無ければ良いのだがと康代は不安を抱いた。



 宝田劇団のオーディション当日を迎え康代たちはオーディション会場にいる。

非公開なオーディションには劇団関係者とスカウトが立ち合う。


 簡単な書類選考のあとでカメラテストが行われた。

審査員は参加者の普通にあり得ないプロフィールを確認して驚く。


 関係者からオーディション参加者のプロフィールが紹介される。

姫乃水景(ひめのみかげ)

黒髪、セミロング、身長一七五センチ、容姿端麗

神聖女学園三年、演劇部の部長


和泉姫呼(いずみひめこ)

黒髪、セミロング、身長一七五センチ、容姿端麗

神聖女学園ニ年、演劇部の副部長


徳田康代(とくだやすよ)

黒髪のセミロングヘア、身長一七三センチ、容姿端麗

神聖女学園一年、生徒会会長


織畑信美(おりはたのぶみ)】剣道の天才

黒髪のロングのポニーテール、身長一六九センチ、容姿端麗

神聖女学園一年、生徒会役員



 カメラテストは、演劇部の新人から始まっていた。


「次の八番の方と九番の方、カメラの前で簡単なポーズをお願いします」


 順に呼ばれて、姫乃と和泉さんが呼ばれる。

会場の空気が変わる。

次は、徳田と織畑が呼ばれた。

姫乃たちと違い場慣れしていない性か緊張して見える。


「お二人とも、カメラの前で軽く微笑んで頂けますか」


カメラマンがポーズを合図して二人は従う。


「はい、オッケーです」


 劇団の演技指導の責任者が舞台に登場して説明した。


「役が未定なので、台本を使用した演技テストはしません」

「テーマをお伝えしますので数分間、演技を考えて下さい」


「そうね、古典がテーマなので、かぐや姫に仕える従者にしましょう」

「アドリブで即興演技をお願いします」


「では、十五分休憩ののち、再開しましょう」

康代と信美は、顔を見合わせ微笑んだ。


『信美、やっぱり即興演技来たね』

「康代の直感は神技級だよ」


 姫乃と和泉も仲間に加わった。

「誰が合格するかはどうでもいいことよ」

「問題なのは悔いを残す演技をすることなの」


「お役に立てるように頑張りましょう」

四人は、スクラムを組むような意気込みで舞台に上がった。


『信美、私、頭の中が真っ白でよく覚えていないのよ』

「康代も同じだったの」


「こんな大きなオーディションに場慣れしている人間はいないわよ」

姫乃演劇部長がフォローしている。


「慣れている私たちでもビビりまくりよ」

和泉副部長だった。


『ありがとうございます。姫乃さん、和泉さん』

「康代と同じです。感謝しています」



 実技試験のあとで簡単な面接が行われ合否は休憩時間のあとに別室の楽屋で言い渡された。

三十分のあとで番号順に一人ずつ呼ばれた。


「次は、織畑さん、お願いします」

「はい、織畑です」


「結果だけ、お伝えします」

「お稽古へ参加ください。台本をお渡しします」


「厳しい練習になりますが頑張って下さい」

「ありがとうございます」


 織畑のあとに、徳田、姫乃、和泉が順に続いた。

結果は、織畑と同じだった。

オーディション通過は四名だった。


 午前中から始まったオーディションが終了したとき、神聖女学園のグランドは夕日に染まっていた。



 七月一日から始まるはずだった予行練習は四日間に変更され六月三十日からになった。

予備日が七月四日、本番が七月五日の予定は変わらない。


 姫乃、和泉、織畑、徳田の四名は束の間のひとときをショッピングセンターのカフェで過ごした。

姫乃が徳田と織畑を労う。


「生徒会のお仕事も大変なのに、演劇までお手伝いして頂いて嬉しいですわ」

『姫乃さん、最初にお伝いをお願いしたのは生徒会ですので気になさらないでください』


「私の予想通り、この四人になりましたね」

「織畑さんも、徳田さんも、高等部では演劇されていないので気になっていましたよ」


「姫乃さんに気にされるような器じゃありませんが」

『私は、ともかく、信美は演技上手です。こんな時代じゃなければ演劇部でしょうね』


「康代の悪い癖が出た」

『お化けはいませんよ』


「褒め殺しと言うお化けですよ」

姫乃と和泉が笑い転げた。


「ああ、徳田さん、お二人の間合いが絶妙なので、つい、失礼しました」

「姫乃部長の言う通り、呼吸がピッタリで羨ましいですわ」


『ところで予行練習が一日増えましたが、

ーー配役の発表はどうなるのでしょう』

「端役なら、配役は無いでしょう。でも台本は絶対ですからね」


「主役も助演も宝田劇団のスターがされるでしょうから、

ーー私たちの立ち位置は新人劇団員の下くらいでしょう」

『姫乃さんに言われて、肩の重しが軽くなりました』


「お二人とも、緊張場面を私たちよりこなしているのにね」

『それとこれとでは違いますよ。

ーー食べ物の別腹くらい違います』


「康代の例えは、おかしいですが、

ーー別物と言う意味は確かです」

「じゃあ、みなさん、別腹と言う事で、

ーーオーダーを追加しましょう」


 姫乃の案に賛成して全員がスイーツを追加した。

お稽古で代謝されるエネルギーの事前補給と言う名目で。

演劇部と生徒会の間に新しい交流が始まった。

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