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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
24/169

【二十四】アトランティスなんてあり得ないわ!

 徳田康代たちは、文化祭の人混みを避けて立ち入り禁止エリアとなっている生徒会室に戻った。

織畑、前畑、豊下の三名が先に到着している。秀美が康代たち話掛けた。


「演劇、どうでしたか?」

「あれは、見応えのある展開でござる」


『そうね、双子のシンデレラでも神々の前ではバレバレでしたね』

「そういう物語でしたか」


「そう、ガラスの靴は双子でも無理だったのよ」

「なるほど、足は環境で変わりますから無理もない」


『あれは、脚本の勝利だわ』

「姫乃さんたちの演技はどうでした」


「秀美、あれは申し分がない演技でござるよ」

『静女は、キラキラしていたものね』


『ところで、秀美、宝田劇団からの連絡はありましたか』

「いえーーありませんので、予定通りと思いますが・・・・・・」


『オーディションって、何をされるのかしら』

「康代、多分、即興演技じゃないかしら・・・・・・」


「信美のいう即興演技の可能性があるかもしれないですね」

利恵が感想を漏らす。


「オーディションに参加する側と見学側じゃ、月とスッポンの違いね」

信美は大きな溜め息をついた。


「康代さん、これから全員で屋上に行きませんか」

『そうね中庭は人だらけですから、通行止めになっている屋上が良いでしょう』



 結局、秀美の案で、女子高生警備隊を引き連れて、康代、静女、光夏、信美、秀美、利恵の大統領キャビネットは屋上に移動した。


「屋上への階段って、なんか薄暗くて不気味な感じしない」

「利恵の気の性だよ。もう屋上だ」



 屋上についた途端、神使の黒猫セリエが現れた。

「利恵が正しいにゃあ」


「暗がりには邪気が溜まりやすいのにゃあ」

「大勢が集まる場所も同じにゃあ」


「人同士から発生する波動が絡み合うのにゃあ」

『どんな風にですか』


「強い波動が弱い波動を引き込むのにゃあ」

「例えれば、水飴だにゃあ」


「波動エネルギーの弱い者が人混みで人酔いするのもそのためにゃあ」

其方(そち)たちは、人混みを離れて正解にゃあ」


「其方たちの特殊な波動は一般人には強すぎるからにゃあ」

「じゃあ、またにゃあ」


黒猫姿の神使セリエは消えて光になった。


 セリエが見えない人にはキラキラな光が目の錯覚に映っている。

女子高生警備隊には、セリエが見えいない。



『秀美、光夏、海外の火山のニュースあれば私に教えてくださいね』

「康代さん、ゴールドストンが最近活発とか耳にしますよ」


『利恵、それ、本当なの』

「はい、でも大きな動きは聞いていませんが」


『永畑火山は大丈夫かしら』

「お天気の良い日の屋上は格別でござる」


 一同は、青々とした大江戸平野の山々の景観に心を癒されていた。



 田沼博士と若宮助手は研究が暗礁に乗り上げると神聖神社に御参りに行った。


「先生、ここは気持ちいいですね」

「もっと奥の方がいい」


「奥にしますか」

「はい、奥に」


境内の奥に行くと更に空気が変わった。


「陰陽師の安甲先生のお陰です」

「空気が違います」


「そう言えば先生、徳田さんが何か言ってましたが」

「ゴールドストンとか」


「あれは、論外でしょう」

「あんなもんが爆発したら、マグニチュードのレベルじゃ計れないわ」


「アトランティスですか」

「西和大陸がアトランティスになったらなんて」


「想像できませんが、もしもあったら」

「皇国の海抜が変わります」

「考えるのもおぞましい」


 

 田沼博士と若宮助手は珍しく季節談義を始めた。


水無月(みなづき)って不思議よね。水の無い月なのに梅雨なの」

「先生、今日は、もう夏至ですよ」


夏至(げし)二十四節気(にじゅうしせっき)で、乃東枯(なつかれくさかるる)は、七十二候(しちじゅうにこう)ですね」

「季節の言葉は難しくて苦手ですが勉強になります」


「一年の分け方によって名前が付いているのって不思議ね」

「二十四節気はよく聞きますが七十二に分類した人って凄いです」


「季節の目安が必要だったのでしょう」

「そうですね」


「まあ生命は、この頃からぐいぐい成長するらしいから良いことですが」

「さて、アレはどうなっていますか」


「先生、またアレですか」

「そうよ、アレ」



「最大離脱は、二日後です」

「そうか、そろそろ用心か」


「まあ、だからと言ってする手立てはありませんが先生」

「警告を出すための決定的データが無ければ無理なのが現実」


「徳田大統領に知らせますか」

「まだ時期尚早かも知れない」


「先生、躊躇いますね」

「因果研究にはキリがありません」


「しばらく、傍観ですね、先生」

「若宮さん、カフェでお茶しませんか」


 

 田沼と若宮がカフェに到着すると、徳田康代たちがカフェの入り口にいた。


「徳田さん、私たちもお茶をする所でした」

『奇遇ですね、先生』


「ご一緒してもよろしいですか」

『ご一緒しましょう、田沼博士、若宮さん』



 カフェの店員が康代たちを窓際の大きなテーブルに案内した。

静女(しずめ)、康代、光夏、若宮が窓側から順に腰掛けた。

反対側は、利恵、信美、秀美、田沼の順となった。


 静女(しずめ)以外は、永畑町火山と西和大陸の話題に終始していた。

天女の静女は外の景色に集中している。


「何度来ても、ここからの景観は抜群でござるよ」

静女(しずめ)の太鼓判じゃ、カフェの店長も喜ぶね』


「静女は天女でござる」


 康代たちは、慣れた手つきでホログラムディスプレイからオーダーを選んだ。

康代たちは、スイーツで田沼たちは冷たい紅茶だった。



 インターネットニューススピードが連日、西和大陸のゴールドストンの話題を伝えていた。


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