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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【二十三】美女ハッカーと女子高文化祭!

 神聖女学園の隣のショッピングセンターはいつになく混雑している。

地上五階にあるリニアモノレール駅から沢山の乗客が下車していた。

目的地は、神聖女学園の春夏文化祭だ。


 美女学園の異名を持つ神聖女学園のファッションショーには毎年、芸能界のスカウトと出版メディアの取材が殺到している。


 今年は、新政府が樹立した年でもありメディアがヒートアップしている。

古い体制のメディアが新政府により処分されたとは言え、不確実性要素の可能性が残る。



 新政府の大統領である徳田康代は幕府の女子高生支部の多くに政府ハッカーチームを結成させた。

反政府組織の監視強化だった。


水戸藩の水上泉

尾張藩の尾上ゆかり

紀州藩の紀戸茜


 この三名も政府諜報機関のメンバーだ。

表向きは文化祭見学という名目だったが・・・・・・。



 文化祭の開催期間中は、神聖女学園とショッピングセンターの地下通路のシャッターが閉じらている。

文化祭の見学者の列が女学園の校舎、武道場、講堂、体育館に伸びている。

中でも、講堂の演劇部と体育館のファッション部の人気の過熱ぶりは異常だ。



 体育館のファッションショーには、取材が多い。

女学園から、毎年ファッションモデルが誕生していたからだ。

今年の人気モデルは、三年生の響愛衣(ひびきあい)さんだった。

響愛衣はスカウト慣れしていて動じない。



一方、講堂の【双子の白雪姫】は宝田劇団の特別臨時公演のオーディション前も重なり、宝田劇団のスカウトが注目していた。


 神聖女学園の生徒会は「おばけ屋敷」の申請を却下した。

負のエネルギーを助長する出し物が禁止されている。

永畑火山の暴走を抑制することが康代たちに課せらた重大任務なのだ。


 不安、恐怖、心配、怒り、嫉妬などのマイナスエネルギーを排除する。

そのために必要なのは、安心、安全、楽しみ、愛などのプラスエネルギーだ。

康代はエネルギーの中和に政府の力を注いだ。


 康代は、いつもアニメで考えた。

アニメ作家が描くストーリーは書き手次第で結末が変わる。

世の中の仕組みも思考次第で結末が変わる。


 天国に行きたいと言う人間が破壊的思考なら本末転倒なのだ。

意識に刻まれた記憶の残存は消えないが上書きが可能なのだ。

康代の政策はある意味で飽和作戦に近いのかも知れない。


 神聖女学園の文化祭の成功が国家の安寧(あんねい)と無関係ではないと康代は思うのだった。


『もう少しだね。静女(しずめ)

「左様でござるが、綺麗でござる」


『次のプログラムは、』

「講堂で、双子の白雪姫でござる」

『静女は、詳しいね』


 大統領補佐官の明里光夏が側で微笑んでいた。

今日は、康代の周りには徳田幕府の女子高生警備が付き添っている。


 校舎の方では、占い部の占いが人気の様だ。

時世を考えれば未来が気になるのは仕方ない。

皇国の国民は、二百年の植民地時代に植えつけられた死生観が人々の心の重くのしかかっていた。



 黒猫の神使セリエが康代の意識にテレパシーを送って伝えた。


「康代よ、悪行三昧の悪党が地獄を肯定することは無いからにゃあ」

『セリエさまの仰る通りです』


「康代たちは、死生観を修正する必要があるにゃあ」

『はい、セリエさま』


「皇国の方舟(はこぶね)の後には、世の中が変わるにゃあ」

『ありがとうございます。セリエさま』

「康代、またにゃあ」


セリエと康代のテレパシー会話は終わった。



 天女の静女が康代の手を引っ張っている。

静女は、【双子の白雪姫】が見たいらしい。


『双子の白雪姫か、なんか複雑そうね』

康代の言葉に静女は首を傾げる。

「意味が分からないでござる」



 康代たちが講堂前で並んでいたら、田沼博士と若宮助手に挨拶されて驚く。


『田沼博士、先日は御足労をお願いしてありがとうございます』

「いいえ、仕事ですから」


『私たちは、演劇部の舞台を見に来ました』

「康代さんたちとすれ違いですね」


『と言うと』

「一部を見学したので、隣のファッションショーに行く途中です」


『私たちと逆ルートですわ』

「康代さん、また近いうちに」


『ありがとうございます』

康代、静女、光夏は田沼博士に軽く会釈をした。



 そうしていると、今度は陰陽師の安甲先生が登場。

安甲先生は神聖女学園の先生でもあるから普通ですが偶然が重なる。


「あら、康代さん、演劇ですか?」

『演劇部には、色々と協力して頂いているので陣中見舞いのような感じです』


「本気でござるよ」

「静女さんは、夢中なのね」


『静女は、外国の物語に興味があるみたいなの』

「左様でござる」


 一方、織畑信美、前畑利恵、豊下秀美たちは、文化祭を見学がてら女子高生警備隊と一緒に校舎を巡回していた。

地下通路にはロボット警備が常駐しているが、念のため、女子高生警備が交代で監視している。

政府機能の移転で学園都市は実質的な首都になっていた。



「信美、オーディションも近いので演劇部を激励しませんか」

「いいね。相変わらず、根回しの天才だよ、秀美は」


「昔と変わらないな秀美は」

利恵も続く。


 講堂前まで来ると一段と人が多くなる。

信美たちは楽屋を訪問して演劇部長の姫乃水景(ひめのみかげ)に挨拶をする。


「あら、秀美さん」

「姫乃部長、お忙しいところオーディションまで入れて恐縮します」

「いいのよ、秀美さん」


「そう言えば、信美さんと康代さんも受けるのよね」

「はい、姫乃さん、康代に説得されて・・・・・・」

信美は照れていた。


「信美さん、オーディション、お互い、頑張りましょうね」

「はい、よろしくお願いします」


「じゃあ、みなさん、舞台があるから失礼します」

「姫乃部長、頑張ってください」


 信美たちは、校舎に戻った。

 オーディションは、夏至の三日後に迫っていた。

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