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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
22/169

第八章 【二十二】転生女子高生〜春夏文化祭は目前だ!

 前夜の康代と静女(しずめ)のお部屋でのパジャマパーティーは大成功だった。

二つの大きな青色のソファベットに二人ずつが横になれた。

学園寮内なので寝泊まりするほど生徒たちの部屋は離れていないが・・・・・・。


 天女の静女(しずめ)は大はしゃぎでアニメ以上に寝泊まり会を楽しんだ。

 寝室の白いレースカーテンから朝の陽射しが溢れ始める頃、一同は学園寮の食堂に移動した。

朝食を済ませた四人は解散し、各自の部屋に戻り、その日の支度を済ませる。


 神聖女学園には、校舎の食堂と寮の食堂があるが校舎側の利用時間は昼食の時間だけだった。

一方、寮側の食堂は朝食と夕食時間に限定され生徒たちは限られた時間を上手に使いこなしている。

女学園特有の厳しい門限に間に合わないとアウトである。


 徳田康代たちと一部の生徒会役員には政府任務の関係で学園の特例フリーパスが許されている。



 春の文化祭は、永畑火山の大事件で延期されたが生徒会の活躍で明日から遅い文化祭が始まる。

静女たちのパーティーは文化祭の前夜祭に思えた。


 神聖女学園の文化祭は特殊性もあって街から多くの人が来場して毎年盛り上がっている。

今年は六月までずれ込んだ関係で文化祭の名称も春夏文化祭としての開催に変更された。



 普段は男子禁制の女学園だが一部のエリアを除き開放される。

ーーワクワクした女子高生たちは井戸端会議に余念がない。


「明日の文化祭、イケメンいるかしら」

「期待しない方が無難よ」


「ブサメンやモブだったらショックでしょう」

「そうね。サプライズに期待した方が良いかな」


「あなたは何するの」

「メイドカフェよ」


「それって大昔の流行ね」

「大丈夫よ、流行は繰り返すから」


「なるほどね」

「それで、あなたはどうするの」


「占いよ」

「なんか怖そうな予感しかしないわ」

「大丈夫よ。多分」



 生徒会室の隣には新政府の大統領執務室がある。

ーーその関係で生徒会室周辺は幕府の女子高生警備隊が前日より警戒を強化している。

ーー万が一のための警戒は厳重で蟻の子一匹も入れない状況だった。


 女子高生警備隊は新政府から武装を許可され腰に小型レーザービーム銃を携帯している。

犯人を二十四時間行動不能にさせる威力がある銃だが殺傷能力はない。



 徳田康代大統領には天女の天宮静女がいるので心配はなかった。

ただ、康代には心配がある。

それは、静女の好奇心の暴走だ。

康代が新政府のトップであっても神々の絶対命令には逆らえない。



 生徒会室では、文化祭準備の最終打ち合わせが行われ会長の康代、静女、光夏が参加している。

残るメンバーの信美、秀美、利恵は、執務室で政府任務のため待機している。


 信美は、オーディションのプレッシャーで心そこにあらずと言うかご機嫌があまり良くない。


「信美さん、どうされましたか?」

「秀美なら分かるよね。宝田劇団のオーディションよ」

「はい、普通に緊張しますよね」


「そうなのよ。落ち着かない気分なのよ。神聖女学園の面接以来の気分よ」

「それじゃあ、気分転換が必要ですね」

利恵が助言した。


「屋上に行って、大江戸平野の山々を眺めませんか」



 神聖女学園の着陸専用滑走路には空中浮遊自動車が次々に着陸している。


「なんだろうね」

「珍しいかな」


「全国生徒会メンバーの方も数日、神聖女学園の宿泊施設に滞在するそうよ」

「学園寮の隣のビジネスホテルみたいな建物ね」


「そうね、今の時代、授業だけなら何処にいても不自由しませんから最適なお宿ね」

「秀美の言う通りね」


 

 信美は、山々を眺めながら大きく深呼吸を繰り返した。


「深呼吸って自発呼吸なので体に良いそうよ」

「利恵は、物知りだから、利恵が言うなら太鼓判ね」

秀美も横で頷く。


「明日は、演劇部が双子の白雪姫を演じるそうよ」

「なんか、面白そうね」


「信美、見に行く?」

「利恵に言われたら断れないよ」


「秀美なら断ったのですか」

秀美が信美の服を引っ張る。


「秀美、言葉の綾よね」

「みんな、そろそろ執務室に戻りましょう」


「利恵に賛成して戻りましょう」

秀美だった。



 生徒会室は殺気だった雰囲気だった。

信美、秀美、利恵は刺激しないようにして執務室に戻った。

執務室の青いソファでは、康代、静女、光夏が腰掛けてお茶をしている。


「康代、生徒会の方はどうなりましたか」

信美だった。


『大丈夫よ、生徒会の方で目処が立ちましたので、私たちが手伝えることはないわ』

「良かった!」


秀美と利恵もねぎらう。



「会長、全国生徒会のメンバーの方が来られてますが」

『待って、そっちへ行くわ』


康代は、執務室を出て、生徒会室の大部屋に移動した。


『神聖女学園生徒会長の徳田です』

「徳田さん、すみません。明日の文化祭を見に来たのですが、突然押し掛けて」


『いいのよ、気にしないで』

「折角、近くまで来たのでつい」


『分かるわ、遠くから来られれば無理はないわ』

「私たち、みんな別々の藩から来ています」


『女子高生議会は支部のみなさんの協力無くしては成立しませんわ』

「徳田会長からそう言われて安心しました」


「私は、水戸藩の女子高生支部の水上泉です」

「私は、尾張藩の女子高生支部の尾上ゆかりです」

「私は、紀州藩の女子高生支部の紀戸茜です」


『自己紹介をありがとうございます』

『これからの時代を支えるのは女子高生たちの純粋な考え方なのよ』


「私たちは徳田さんに付いて行く覚悟で参りました」

『ありがとうね。みんなの気持ちを大切にするわ』


『ところで、今夜は、神聖女学園の学園寮の食堂で夕食をご一緒しませんか』

「よろしいのですか」


『じゃ、隣にいる光夏に連絡先を教えてね』

女子高生支部の面々は光夏に連絡先のメモを渡した。


『食堂には、光夏が伝えるから大丈夫よね』

「はい、康代さん、早速、手配しておきます」

明里光夏が即答で応じた。


「お気遣いをありがとうございます。徳田会長」

水上泉は一礼をして、他の者と一緒に生徒会室を出て行った。



 康代は今夜も賑やかな夕食会になりそうだと思いながら生徒会室の外の夕焼けを眺めた。


『いよいよ明日か』

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