【ニ十】新たな伝説の始まり!
康代と信美は、康代の部屋でオーディションの台本のおさらいをしている。
神使のセリエが黒猫の姿で康代たちの前に現れた。
「康代よ、ちょっと伝えたいことがあるにゃあ」
『何でしょうか?セリエさま』
「並行世界の神さまと地球の守護神は双子の神さまであるにゃあ」
「神さまには、他に天界の神さま、時の神さまがいるのにゃあ」
「康代よ、これからの事態に、神々が動くにゃあ」
「そこで、神々のお名前と、神使をお伝えしておくにゃあ」
『ありがとうございます。セリエさま』
「我の神さまは地球の守護神のアセリアさまにゃあ」
「アセリアさまの神使の黒猫がセリエにゃあ」
「天界の神さまは、アメリアさまにゃあ」
「アメリエさまの神使の白猫がメリエさまにゃあ怒ると大きな黒猫になるにゃあ」
「時の神さまは、エルミオさまにゃあ」
「エルミオさまの神使の赤猫がルニャさまにゃあ」
「並行世界の神さまは、パラリアさまにゃあ」
「パラリアさまの神使の狛犬がレリアさまにゃあ」
「皇国の神社などにある狛犬はにゃあ」
「大昔、並行世界と地球が一つの時代の名残なのだにゃあ」
「これからの大仕事を前に、神々が動くにゃあ、黄泉の国も忙しくなるにゃあ」
「中間世界の裁きの庭を合格した魂たちの一部は天界へ進むにゃあ」
「純粋な魂たちの多くは転生に進むにゃあ」
「残りの残念な魂たちは、地獄に進むにゃあ」
「康代たちは、皇国の方舟のあとに残された者としてにゃあ」
「後世の人間たちに伝えて戒めてくれと、守護神のアセリアさまからの依頼にゃあ」
「新たな時代の神話の誕生にゃあ」
「神話のタイトルに意味はあまり無いが考えてにゃあ」
「ゴールドストンの大噴火が起きたら合図にゃあ」
「他言無用にゃあ」
『ありがとうございます。承知しました』
セリエは、消えて光になった。
織畑信美が呟く。
「セリエさまの光、虹のように七色に輝いていますね」
『いつ見ても綺麗でしょう』
「康代、神さまのレベルの違いは想像を超越しているよね」
『本当に、知らない人が見たら超常現象レベルですから』
「そうそう台本のおさらいの続きをしましょう」
康代と信美は、部屋着姿で台本を片手に、部屋の中を動き回っている。
並行世界では、狛犬姿の神使のレリアがパラリアに報告している。
「パラリアさま、神使のセリエさまからの報告をお伝えします」
「レリアよ、申せ!」
「はい、地球側にまた別の大きな異変が起きたようです」
「別の異変か」
「かなり深刻なのじゃな」
「はい」
「アトランティスレベルの深刻さと聞いています」
「並行世界の扉だけじゃ間に合うまい」
「はい、多くが犠牲になるでしょう」
「扉の開放の準備とフィルターを配下に指示してくれ」
「じゃあ、セリエさまにその旨をお伝えしておきます」
神使のレリアは、パラリアの前から消えて光になった。
神使セリエの前に並行世界の神使レリアが狛犬姿で現れる。
「セリエさま、パラリアさまのご報告をお伝えに参りました」
「レリアさま、此度はご迷惑をお掛けしています」
「セリエさま、お気になさらないでください」
「並行世界の扉の開放を準備することになりました」
「ただフィルターを通過できる人間だけに限定されますが」
「汚れた集団意識の除外ですね」
「並行世界の維持に必要な条件です」
「あとは、時の神と天界の神の管轄になりそうですね」
「アセリアさまにお伝えください、パラリアさまがよろしくと」
神使のレリアは、セリエの前から消えて光になった。
セリエは、大忙しに時の神の神使のルニャ、天界の神の神使のメリエに連絡をした。
天界の神は、中間世界の門番の主人たちに連絡をしている。
時の神は次元空間の監視を強化した。
康代たちは、緊急生徒会幹部会議を開くことにした。
康代たち六名に十名を加えた会議は、宝田劇団の臨時公演に加え鎖国維持の確認だった。
事前通知には難しい内容だけに康代たちは外堀に注意した。
『みなさん、宝田劇団の開催日程はお伝えしてある通りで変更はありません』
『春夏文化祭の特別イベント枠で実施されます』
『それとは、別に大きな案件が起きています』
『その時、全国の女子高生議会の力が必要です』
『みなさんには、女子高生議会への伝達作業に協力して頂きます』
『皇国大統領として申し上げます』
『陛下の承認を得ている案件は鎖国維持の宣言です』
『今、みなさんに申し上げれるのはここまでです』
『私たちの国、皇国は、新しい時代の希望の光になります』
徳田大統領は、方舟計画には言及していない。
あくまでも鎖国の維持を主張しただけだった。
「お話が、よく見えないのですが」
『皇国の集団意識の維持に鎖国が関係あるのです』
「と言うと」
『これから起きる大きな変化に同情をするなと言うことです』
「無視ですか」
『人間の力の及ばないことです』
「それは」
『もうじき、分かります』
「維持ですね」
『そうです。災いに関わるなと神使よりご命令を受けています』
『今日は、ここまでにしましょう』
『みなさん、ありがとうございます』
生徒会室は、いつになく張り詰めた空気に包まれた。
康代たち大統領キャビネットのメンバーは執務室に戻って、
ーー田沼博士を交えて神聖神社で打ち合わせをすることにした。