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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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【十九】皇国の方舟の行方

日向ぼっこを終えた一同は、放課後、生徒会執務室に集まった。


 徳田康代大統領は、青色の大きなソファの中央に腰掛けて制服の裾を直している。

窓側から、静女、康代、信美の順に並んで腰掛けていた。

低いテーブルを挟んで反対側の窓側から利恵、秀美、光夏が並ぶ。


 陰陽師の安甲晴美先生が、康代の依頼を受けて同席して、窓側にある二人用のソファに腰掛けた。

安甲は、珍しく花柄の淡いピンクのワンピース姿だった。

いつもは、パンツルックが多いが今日は膝丈くらいの長さを着用している。

康代たちは、いつもの制服だが、康代だけパンツスタイルだった。


「徳田さんから重要なことと聞いていますが」

『はい、先生、隠せないので、先生を含めてみんなにお伝えします』

『まだ、トップシークレットですので、今から耳にすることは口外しないでください』


白色の遮光カーテンの隙間から日差しが差し込んでいる。

秀美はエアコンを見つめている。


『神使のセリエさまから重要なことが知らされました』

『永畑、西和帝国シントンの続きのお話です』


『時期は、今のところ未定ですが地球の守護神のご命令が届いています』

『皇国の新政府にです』


「康代さん、それはどんな命令ですか」

『一言で言えば、関わるなです』


『避難民の汚れた集団意識に関わるなです』

「なんで、このタイミングなんですか」


 神使のセリエ黒猫の姿で現れて康代に助け舟を出した。


「セリエじゃ、康代に代わって我が説明する。

ーーまもなくすると地球規模の大変動が起きる」


「それに伴い世界は狂乱の時代に突入するが皇国は守られている。

ーー並行世界(パラレルワールド)の神も準備して待機している」


「地球の神さまのアセリアさまは、其方(そち)たちに事件に関わるなと申している。

ーー避難民を受け入れず、鎖国を維持せよとの命令じゃ」


「何があっても受け入れるなと仰せられている。

ーー皇国が人類の地球の希望となるからだ」


「セリエさま、それは方舟の伝説と同じ意味でしょうか」

陰陽師の安甲が質問した。


「陰陽師よ。人間たちは、そう言う作り話が好きじゃな。

ーー船ではない。国を残す選択肢が示されている」


「大陸が沈むとどうなるか分かるか?海が溢れるのだよ。

ーー並行世界(パラレルワールド)の扉に移動しない限り多くが黄泉の国へ行く」


「巨大な津波が何日続くかは分からない。

ーー皇国が守られるのは神々の国だからだよ」

安甲がまた質問した。


「セリエさま、どうやって守るのですか。

ーー神さまにだけ許される最強魔法だよ」


「失礼ながら、それは。

ーーそうじゃな、不安で眠れないじゃろうから信用して聞くがいい」


「皇国をすっぽり包み込む巨大結界だよ。

ーー地球の守護神であり皇国の守護神であられるアセリアさまの巨大結界だよ」


「水が引いた時、皇国の方舟と言う伝説が誕生するだろう。

ーー巨大津波が何日もですか」

安甲は、言葉を呑んだ。


「と言う訳で繰り返すが、鎖国維持じゃ分かったな。

ーー今日は、ここまでじゃ、続きはあるがまたにゃあ」


「其方たちには、わしがいるから大丈夫にゃあ心配無用にゃあ」

神使のセリエは、いつもの口調に戻ると消えて光になった。


 神使のセリエが消えたあとも康代たちの興奮は続いた。


「康代殿、大変なことでござるな」

『皇国が現代の方舟になるなんて・・・・・・』


『今後、何が起こるかは分かりませんが、

ーー神話の世界の御伽噺を見ているような気分ですわ』


「徳田さん、皇国は残された人類の希望になるかもしれませんね」

『先生、私もそう思います。

ーー現代に神話のようなことがこれから起こるなんて想像出来ませんわ』


 陰陽師の安甲先生は、背中に当たる日差しを感じ窓の外を眺めた。


「この部屋からの大江戸平野の眺めは格別ね」

「左様でござる。安甲先生」


康代、信美、利恵、秀美、光夏たちも夕日に視線を送った。

さすがに気分良くと言われてもしょうがない状態だったのだ。


『まほろばの国が何処にあるかは知らないけど、

ーー機会があれば行きたいわね』

「もほろばの国は大都に近いでござる」


『静女は、瞬間移動できるから便利よね』

『そう言えば、セリエさまが並行世界の神さまの話をしていたような』


「並行世界の話はよく話題に上がるけど本当にあるのね」

安甲先生が顔を輝かせて話す。


「安甲先生、黄泉の国があるなら不思議では、ありません」

「秀美さんのそう言う発想は素敵です」


「天女である静女をお忘れでござるか」

「天女の存在を知る者たちの発言には見えないでござる」


『そうね、静女の言う通りよ。

ーー普通に考えれば、転生女学園も都市伝説レベルですわ』


織畑、前畑、豊下、明里、そして陰陽師の安甲晴美先生も頷く。


「さて、そろそろ下校時間よ。みなさんは、どうされます」

安甲先生だった。


『夕飯には、早いので、信美と私は、オーディションの準備をするわ』

『静女は、どうしますか』


「古典の本を読みたいでござるよ」

『利恵、秀美、光夏は、どうされます』


「私たちは、勉強会をします」

利恵が決定していた。


『じゃ、あとで学園寮の食堂でお会いしましょう』

『安甲先生も如何ですか』


「ありがとうね。徳田さん。まだ仕事があるので」

『残念ですが、また、お願いしますね』


 康代たちはいつもの雰囲気ではなかった。

戦国転生女子高生の心情は大きく揺れている。

冷徹に慣れている人間はいない。

康代たちは、並行世界の神さまが憐れな子羊を救済してくださると信じていた。


その頃、西和帝国側の中間世界は大わらわな準備に追われていた。

地球の守護神アセリアは西和シントン事件を受けて、

ーー並行世界(パラレルワールド)の双子の神パラリアとの共同作戦を思案していた。

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