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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
156/169

【一五四】これかにゃあ、ワンランク上の勾玉にゃあ!

『【一五四】これかにゃあ、ワンランク上の勾玉にゃあ!』

この話は約二千五百文字以上になります。

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

『女子高生は大統領』では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』

皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

『女神ハレリアさまと女神ムクリアさまは、どうなったかしら』

「大統領、まもなく、お月さまの大接近ランデブー天体ショーがご覧になれます」


 田沼光(たぬまひかる)博士は助手の若宮咲苗(わかみやさなえ)を見ながら大統領に伝えた。


『田沼先生が仰るから、様子を見守りましょう』


「オーロラの第一波は地球を(かす)めていますから、次までの時間がありません」




 グランドに集まっていた女子生徒が空を見上げて騒ぎ始める。


「お月さまのランデブーよ」


「本当、すごいよ」


「落ちて来ないわよね」


「多分、大丈夫」


「ネットで若宮先生が言っていたわ」


「うちの若宮先生でしょう」


「偉い先生とか、大統領が言っていたわ」




 生徒会執務室の大きな防弾強化ガラスの前には、女子高生姿のセリエと天女天宮静女、田沼、若宮に並んで徳田康代が空を眺めていた。

 豊下秀美は女子生徒たちがいるグランドに残っている。


 女神ハレリアは、女神ムクリアの外周軌道にいた。

ハレリアの楕円周期に不規則性が生じて軌道が変化している。


『セリエさま、女神ハレリアさまの軌道が怪しいのですでが』


「康代、ハレリアは予定通りにゃあ、一度交差するだけにゃあ」


「康代殿、交差でござるよ」


『交差なのね』


 女神ハレリアは神聖女学園の南の上空で女神ムクリアの内側を通過して西の彼方に消えて行く。

オーロラの第二波を道連れにして去る姿に女子生徒たちは呆然と立ち尽くしていた。


 大空に女神アメリアの黄金の金粉だけが光り漂っている。

女神アメリアが天空に大きな姿を映し出して、地上の人間にメッセージを伝えた。


「女神の子たちよ。

ーー 女神アメリアじゃ。

ーー 皆にお守りを与える。

ーー 家宝にすると良い」


 女神アメリアは、人間の無意識層に語り掛けていた。


「ねえ、ねえ、何か聞こえたよね」


「うん、内側から声がしていたわ」


「女神の子たちとか」


「お守りとか」


 突然、夕焼け空に金色の雲が湧き、雨が降り出した。

雨は、やがて雹に変わり、神聖女学園のグランドに降り注ぐ。


 女子生徒たちは西校舎に避難した。

やがて夥しい数の雹が地面に溢れ、金色に輝き始めた。


 女子生徒のひとりがグランドに飛び出して大声で叫んだ。


「みんな凄いよ!見て! 」


 声を聞いた女子生徒が次々にグランドに戻る。


「ピカピカの雹よ」


「嘘、これ雹じゃないわよ」


「じゃあ、なに」


「分からないけど、これって何かに似てない」


「えええ、アレじゃないかしら」


「そうそう、大昔のあれね」


「あれって、まさか、あの伝説の勾玉じゃないかしら」


「勾玉、空から降って来たわけ」


「でも、あれって、金色の小さな雹よ」




 豊下秀美がホログラム携帯から徳田康代に連絡を入れた。


「康代さん、今の雨、いや雹をご覧になりましたか」


『ええ、見ていたわ。オーロラのあとの金粉の雨ね』


「そうなんです。その雨が雹になり勾玉に変わっていました」


『分かったわ。セリエさまに聞いてみるわね』


「康代、あれは、伝説の勾玉にゃあ。

ーー 売買を禁止してにゃあ」


『セリエさま、よくわからないのですが』


「あれを売買すればにゃあ、神罰が下るからにゃあ」


『分かりました。セリエさま、直ちに、

ーー 明里光夏(あかりみか)補佐官から緊急メッセージを配信させます』




「国民のみなさま、大統領補佐官の明里光夏でございます。

ーー みなさんの手元にある金色の勾玉は、家宝にして後世に伝えてください。

ーー 一切の売買を禁止致します。

ーー 売買した場合は天罰が下りますのでしないでください」


 明里は、生徒会会議室の配信室から緊急配信を終え徳田大統領に報告した。


『明里さん、ご苦労様』


 遅れて、豊下秀美が執務室の応接間に戻り、凄い形相で興奮しながら話始めた。


「康代さん、金色の雹です! 」


 秀美は、ハンカチに集めた雹を応接間のローテーブルに置いて言った。


「ここに人数分あります」


『あら、小さくて、ふわふわしているわ』


「康代よ、その勾玉は勾玉の卵にゃあ

ーー まもなく再び輝き、大きくなって固まるにゃあ」


 田沼と若宮も手のひらに乗せてじっと見ていた。

手のひらの雹が再び金色に輝き始めた途端、田沼が声を上げる。


「熱い! 」


 田沼は、慌てて勾玉をテーブルの上に置いて、冷や汗を拭う。

金色の勾玉は五倍の大きさに膨張して止まった。


 勾玉を持って来た秀美が一番驚いている。

勾玉の大きさは五センチくらいに変化していた。




 神さま見習いのセリエの神使セリウスも驚きを隠せない。


「セリエさま、伝説の勾玉(まがたま)の誕生ですね」


「セリウスにゃあ、この勾玉は持つ者の心の波動をにゃあ

ーー 映し出す鏡にゃあ」


「セリエさま、勾玉が消えてしまいました」


「セリウス、神々が持つと消えるにゃあ。

ーー 神々にお守りは必要にゃいからにゃあ」


「セリエさま、人間の場合はどうなるのですか」


「そうにゃあ、金、銀、赤、黄、緑、青、黒の七段階にゃあ」


『セリエさま、信号機みたいな色ですが』


「一般国民はにゃあ、緑か青にゃあ。

ーー 黒は、穢れた者にゃあ。

ーー この国には、おらぬにゃあ」


『金、銀、赤、黄は』


「金は、康代のような特殊な前世の持ち主にゃあ。

ーー 陛下も金にゃあ。

ーー 銀は、大統領の関係者と陰陽師にゃあ。

ーー 赤は田沼や若宮にゃあ」


『黄色はどういう方ですか』


「黄は専門家や指導者や能力者に多いにゃあ」


『勾玉を人前に出してもよろしいのでしょうか』


「勾玉の本物を首からぶら下げるのはダメにゃあ」


『なぜでしょうか』


「紛失したら、どうするにゃあ」


『じゃあ、持ち出し禁止ですね』


「康代、みなに注意してにゃあ」


 徳田康代は、明里光夏に命じて政府放送を配信させた。




 陽は、すっかり沈み、時よりハレリアがムクリアの前を彗星のように横切っていた。

ハレリアの速度が緩くなったように見えた。

ムクリアはスーパームーンの輝きを増している。


「ムクリアさま、今宵は素敵なお月見でござる」


「静女さま、女神アメリアさまの黄金の天体ショーに感動しました」


「ムクリアさま、お月さまからの地球でござるか」


「静女さま、黄金に輝く地球でございます」


「黄金の地球でござるか」


 天女の天宮静女は、康代たちとカフェの窓から満月のお月さまを見ながら善哉を注文していた。

 神さま見習いセリエ、神使セリウス、静女の胸元にはプラチナに輝く大きな勾玉が光っていた。


『セリエさま、それは勾玉ですか』


「これかにゃあ、ワンランク上の勾玉にゃあ」

 『【一五四】これかにゃあ、ワンランク上の勾玉にゃあ!』

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投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

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