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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
152/169

【一五〇】康代殿、静女はお付き合いが好きでござる!

第百五十話は約二千六百文字になりました。

連載にお付き合いして頂きありがとうございます。

みかづきみらい

 地球の守護神、女神アセリアは神さま見習いセリエから報告を受けていた。


「セリエ、神さま見習いは慣れたか」

「アセリアさま、まだまだ人間の姿には無理があります」


「セリエは何がしたいのじゃ、良かったら聞かせてくれぬか」

「はい、世の中の悪行を消したく思います」


「悪なら天界の女神アメリアが駆除しているではないか」

「はい、大きな罪に隠れて見えなかった曲者(くせもの)が見え隠れしております」


 女神アセリアは、セリエの言葉を聞いてしばらく押し黙る。


「・・・・・・。 セリエよ、他には」

「アセリアさま、月の女神ムクリアさまと双子の妹のハレリアさまが

ーー 地球軌道でランデブーすると聞いております」


「人間界の方は、其方と徳田康代でなんとかなるでしょう。

ーー ハレリアは久しぶりですね」

「ハレリアさまは、十万年振りの地球軌道と聞いています」


「ああ、アトランティスの時代じゃ」

「はい、そのようです」


「これも何かの因果かも知れん。

ーー セリエは目を光らせて、何かあったら

ーー 其方の神使セリウスを寄越しなさい」


「ありがとうございます。アセリアさま」

「セリエも、時々、こちらに寄りなさい」


「アセリアさま」


 セリエは女神アセリアに最敬礼して、虹色の光になって消えた。

アセリアは、その色の変化に、セリエの神さま見習いが順調なことを知ってにこやかに微笑む。




「セリエさま、セリエさま、お探ししておりました」

「セリウスにゃあ、なに慌てておるにゃあ」


「静女さまが、お探しです」

「変だにゃあ、静女ならテレパシーがあるにゃあ」


「セリエさま、テレパシーの圏外にいませんでしたか」

「あああ、女神アセリアさまのお膝元におったにゃあ」


「セリエさま、あそこはすべてが圏外になられます。

ーー アセリアさまのお力だけが優先されますので」

「セリウスは、賢いにゃあ。

ーー ところで静女は何の用かにゃあ」


「康代さまが、静女さまに先日の侵入者の件で相談されたとか」

「ああ、あの悪女かにゃあ」


「それが、徳田幕府の収容先で黙秘権を行使されているとか」

「面倒だにゃあ」


 セリエはそう言って、セリウスの前から消えて黒ずんだ煙になって消えた。

セリウスは、胸騒ぎを感じていた。


 黒い煙は、神が天罰を与える意味とセリエから聞いたことがあったのだ。




 セリエは、静女の前に現れ事情を確認して静女を連れて、徳田幕府収容所の看守の前に透明化して現れる。

看守は、セリエたちの気配に違和感を覚えるが、小さな椅子の上で寝息を立てていた。


「セリエさま、看守の勤務態度も問題でござる」

「そっとしてあげるにゃあ」


 セリエと静女は人間が放つ黒い波動から、先日の悪女の牢屋を発見して中に潜入した。

悪女二人もまた眠っている。


 セリエは黒猫に変身して眠っている悪女の肩を叩いて起こす。


「あら、どこから入ったのかしら」


「可愛い」


 悪女の言葉に、小さな黒猫になったセリエが言った。


「この間、貴様らに忠告したが忘れたか」


 セリエは怒った時と女神アセリアの前では普通の人間言葉になる。

静女はセリエの語調の変化に緊張していたが、静女の姿は見えない。


「また、滑走路に行くか」


 悪女は黒猫が喋る()()()というキーワードに、置かれた立場に気付く。


「まさか、あの化け猫? 」

 セリエは、心の中で失礼なと呟く。


 悪女の一人がセリエを抱き抱えようとした。


「無礼者! 」


 セリエの恫喝に女たちが気付く。


「自白せぬなら、お腹も空いて来たから餌になるか」


 悪女は事情を把握して、大声で看守を呼んだ


「看守さん、黙秘権をやめます」


 看守は、革製の鞭で遊びながら悪女の前に出た。


 看守の鞭が冷たく乾いたコンクリートに反響している。

その音に気付いた別の看守三人が足早で牢屋前にやって来た。


「三崎看守、何かありましたか」


「容疑者が自白すると言っている」


 牢屋の中から悪女一人が出され二人の看守が第一取り調べ室に連れて行った。

残る一人も、三崎看守と別の看守が第二取り調べ室に連れて行く。


 徳田幕府の取り調べ室は、容疑者一人に看守二人が付くことになっている。


 三崎看守は、幕府の取り調べ官を要請した。

長い沈黙のあと、取り調べ官が二名入ってくる。


 取り調べ官の一人が携帯電話から連絡していた。


「ああ、黒川さん、この者は黒川さんがお探しの者です。

ーー のちほど、はい、ご報告します」


 取り調べ官の電話を聞いていた悪女が呟く。


「餌にならずに良かった」


 三崎看守が女に向かって言った。


「おまえな、訳の分からないことを、頭大丈夫ですか」




「静女にゃあ、あれで良かったかにゃあ」

「セリエ殿、康代殿も喜ぶでござるよー 」


「そうにゃあ、康代が探してた犯罪組織かにゃあ」

「“果報は寝て待て“でござる」


「静女、それは人間の場合だにゃあ」




 セリエと静女は大統領執務室の応接間のソファで無駄口を叩いていた。

徳田康代と門田菫恋(かどたすみれ)が観音扉を開け、執務室の廊下からセリエに声を掛けた。


『セリエさま、お探ししていました』

「康代や黒川が探していた犯人の一人がにゃあ

ーー 幕府の取り調べを受けておるにゃあ」


『セリエさま、凄いですわ』

「まあ、これでもにゃあ、神さまだからにゃあ」


「康代殿、セリエ殿は神さまでござるよー」


「静女も神さまでしょう」


 門田菫恋が呟く。

「セリエさまのワインレッドのジャッケットですが、

ーー 女子生徒たちの間で噂になっています」


「それは嬉しいにゃあ」


『門田さん、生徒会集会を開き、来年度のユニフォームを決めませんか』


「徳田さん、みんな喜びますね」


『じゃあ、召集をお願いしていいかしら』


 門田は徳田の意向を伝えに、隣室の生徒会室に消えた。


 すれ違いに大統領補佐官の明里光夏がやって来た。


「徳田さん、田沼博士と若宮助手が見えていますが」


『何かしらーー 明里さん、お通ししてください』




 田沼光と若宮咲苗はセリエに気付き深々と挨拶して徳田に言った。


「ーー 大統領、計算結果が出ました」


『若宮さん、なんのお話ですか? 』


「新しい月、ハレリアの軌道です」


『よくわからないわ』


「それが、ムクリアとダンスするような不規則な軌道になりそうです」


「康代、ハレリアのランデブーダンスにゃあ。

ーー 十万年振りの再会にゃあ」


『ハレリアさまも、ムクリアさまも嬉しいのでしょう。

ーー 若宮さん、危ないのですか? 』


「それが、ハレリアの軌道が楕円過ぎて、予測が」


『そうですか。もう少し観察をお願いします』


「康代、心配にゃあいにゃあ」


「康代殿、心配無用でござるよ! 」




 神さま見習いのセリエと天女天宮静女は大江戸山脈を眺めていた。

東和二年一月二日の夕方にはほど遠い時間だった。


『静女、カフェに行く? 』

「康代殿、静女はお付き合いが好きでござる! 」

 お読みいただき、ありがとうございます!

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三日月未来(みかづきみらい)

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