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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
14/169

【十四】臨時公演の準備が始まった!

 徳田康代たちは、大統領執務室を兼ねた生徒会の執務室に戻った。

こういう新しい企画に向いているのは、豊下秀美だ。


『秀美さん、新しい企画なんだけど、宝田劇団に交渉して欲しい』

「何をですか」


『演劇ですよ』

「演劇ですか」


『そうよ、演劇です。

ーー学園都市で毎月、臨時公演をお願いしたいの』


『生徒達も喜ぶと思うのよ』

「場所は、何処ですか」


『学園都市の神聖女学園講堂よ』

「メリットは、何でしょうか」


『全国配信して、国民を喜ばせるのよ。

ーーもちろん徳田幕府の援護も必要になるわ』


『神聖女学園の講堂なら問題も少ないと思うの。

ーー何よりも生徒達が喜ぶわ』


『今の東都は五月以来、心休まる環境には程遠い気がするの』

「そこで娯楽が必要なんですね」


『秀美さんは、光夏さんと協力して、このプランを成功させて欲しいのよ』


光夏が質問。

「私は何をすれば良いのですか」


『責任者との交渉は、秀美さんにして、

ーー光夏さんは、そうね、講堂の使用日程とネットの全国配信をお願いするわ』

「分かりました」


『利恵さんは、先方の日程の調整を秀美さんと一緒にお願いします』

「了解」


『信美さんは、みなさんの総括とサポートをお願いします』

「みんなで頑張りましょう」


『私は、信美さんと一緒に行動します。

ーー静女は、いつも通りに私のサポートをしてくださいね』

「心得ているでござる』


こうして転生女子高生達の今回の企画への分担が決まった。


『秀美さんは劇団の担当者に連絡して協力依頼をお願いしてくれ』


康代が男言葉になる時は本気モードだった。


 徳田康代と天女の天宮静女(あまみやしずめ)は、ショッピングセンターの書店に立ち寄る。

先日の宝田劇団の大スターの演技に感動して古典全集を探していた。


『静女、あれは、天の羽衣のところでしょう』

「拙者は、古典は知らぬでござる」


『そうね、静女からすれば、あれは今の時代の小説と同じだね』

「人間は、嘘つきだから平気で嘘を繰り返すでござる」


『そうね、そのうちに嘘と本当が分からなくなるのよ』

「左様でござる」


『人間の無意識がそれを自動記録するとか本で読んだわ』

「潜在意識でござる」


『嘘の上塗りを繰り返せば、どうなるかしら』

「無意識の創造が現実を変えるでござる」


『時代が変わっても人の無意識の構造は不変ね』

「錯覚と思ったことが真実になる瞬間でござるな」


『そういうことに気付く人間はすごく稀なのね』

「そうで、ござるな」


『さて、こちらが勉強不足にならないように知識ガードしましょう』

「これが、良さそうでござる」


『そうね、それとこれにしましょう』

「良いと思うでござる」


『静女の太鼓判なら安心ね』

「照れ臭いでござる」


 徳田康代と天宮静女は、生徒会室の執務室に戻った。

殺風景な部屋の青色のソファで、豊下秀美(とよしたひでみ)明里光夏(あかりみか)が待っていた。


『あら、秀美さん、光夏さん、早いわね』

「そこのお花は何でござるか」


「秀美が持って来たのよ」

光夏が言う。


「赤いハイビスカスが咲いていたので拝借しました」

「よくないでござるよ」


『そうね、本来なら良くないわね』

「秀美、良くないね」


光夏も言葉尻を追いかけた。


『今回は、お咎め無しですが良くありませんわ』

「すみません」


秀美は、ぺこりと頭を下げた。


『ところで、秀美さん、宝田劇団との話はどうなってますか』

「はい、依頼に関しては特に問題な点はありません」


「ただ、劇団員の日程調整がまだです」

『光夏さん、神聖女学園の講堂は、どうですか』


「言いにくいのですが、あまり空きが無い状況です」

『そうですか。日程のすり合わせが峠になりそうね』


『ところで、今日、古典の代表作を購入して来たので』

『みんなで古典の勉強会をしませんか』

「文学でござるな」


『宝田劇団の団員が来た時に古典を知らないじゃ困りますし』

「そう思います」

光夏が賛同した。


『じゃ、勉強会は、生徒会を中心にしましょう。

ーーみんなで情報を共有する方向でね』


「そうですね。試験勉強じゃないし」

秀美が嬉しそうに言う。


『そうね、試験勉強じゃないわね。

ーーこれは、ある意味で知識の鎧なのよ』


「鎧でござるか」

『そうなの、知識は身を守る鎧なの』


「無知は悪の肥やしでござるからな」

『前政府時代に不必要な法律や条例が沢山作られていたわ』


『その多くは議員を守るための法律だったの。

ーー皇国に必要なのは無知な人達を減らすことなの。

ーーそしてそれは何よりも民のためで無ければいけないの』


「神の法の下でござるな」


『ちょっと、話が逸れたようですが、

ーー良い機会ですから古典を勉強しましょう』


「一石二鳥でござるな、康代殿」

「康代さん、事前知識があれば、舞台の楽しみも増えますね」


「光夏の言う通りでござる」

「秀美も光夏と同じでござるか」


秀美は髪をいじりながら頷く。


 次の日の夕方、明里光夏(あかりみか)を中心に古典の勉強会が開かれた。


光夏の説明の後で、康代が口を開いた。


『今度の新しい企画のための予習です。

ーーある意味、予行練習です』


『折角、宝田劇団の役者さんが来られた時、

ーー何も知らないじゃ失礼です』

 

『失礼にならない程度の知識武装をしましょう』

「会長、宝田劇団が来られるのですか」


『まだ、調整段階ですが交渉しています。

ーー生徒会が中心になって盛り上げてくださると嬉しいのですが』


「私は、会長を応援します」

メンバーの一人が答える。


 するとーー次々に賛同の声が生徒会室を満たした。


 神聖女学園の生徒会の女子高生は宝田劇団が好きだったのです。

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