表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
138/169

【一三六】静女は雪見善哉でござるよー

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。


女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 豊下秀美が白い息を吐きながら、徳田康代がいる生徒会執務室に駆け込んできた。

『秀美、どうしたの』


「それが手違いで停電が発生してしまいました」


『大雪は、これからなのにね。光夏はどうしている』


「今、学園都市の徳田幕府司令部に連絡をしています」


『それで、停電の規模は、どうなの』


「一部が停止して、バックアップの予備電力稼働をお願いしています」


『変ね。自動的に予備電力にシフトしているはずなのに、おかしいわ』


「そうなんです。

ーー 普段なら宇宙発電所がバックアップしているはずですが・・・・・・」




 真っ赤なワンピース姿の田沼光と若宮咲苗が会話に興味を示す。


「大統領、宇宙天気予報では、巨大な太陽フレアが報告されています。

ーー おそらく通信ネットワークに大規模な障害発生じゃ無いでしょうか」


『そうね。とにかく拙いわね』


 明里光夏(あかりみか)が秀美に遅れて、執務室に戻った。


「康代さん、司令室は問題無いそうですが、部分停電が回復していません」




 徳田康代は神さま見習いのセリエにテレパシーを送った。

しばらくして、執務室に女子高生姿のセリエが現れる。


「康代、なんか急いでいるようじゃにゃあ」


『セリエさま、魔の悪い時に停電が起きました』


「うん、セリウスならどうするにゃあ」


「女神アセリアさまに打診します」


「女神さまに電気屋をさせるのかにゃあ」


「いいえ、ご相談するだけでございます」


「それはにゃあ、ご機嫌次第だにゃあ」


「セリエさまなら、どうされますか」


「予ならにゃあ、時の女神の神使に相談するにゃあ」


「セリエさま、もしかして神使ルニャさまですか」


「そうじゃ、時の女神は、時間と天候をも配下に従えておるにゃあ」


「セリエさま、じゃあ時間稼ぎですか」


「今月は、極月の月じゃからにゃあ。

ーー セリウスよ、神使ルニャの元に相談に行ってくれるかにゃあ」


 女子高生姿の神使セリウスは、セリエに返事をすると赤猫姿になって消えた。


「ああ、セリウスもルニャさまと同じ赤猫だったことを忘れていたにゃあ」


 セリウスが消えて、まもなくすると執務室の窓に強い夕日がカーテン越しに差し込む。




「康代さま、お天気が回復しています」

 明里光夏が言うと、豊下秀美も興奮しながら外を指差した。


「大変です。桜の木が・・・・・・」


「康代よ、セリウスの交渉が成功したにゃあ」


『本当、極月が桜月になりましたわ』


 生徒会役員の門田菫恋(かどたすみれ)が生徒会執務室に入って康代に耳打ちした。


『そんなことってあるの』


「はい、室外の気温が零度から二十度に上昇したそうです。

ーー 雪は、瞬く間に溶けて蒸発しました」


『じゃあ、鬼の居ぬ間に洗濯ね』


「康代さんも冗談を言うんですね」


『例えよ、この場合の鬼は悪天候ね。

ーー 今のうちに停電リカバリーしないと』


「康代さん、司令部から連絡がありました。

ーー 宇宙発電所の不具合は太陽風に飛ばされた小隕石の衝突です。

ーー 今は、第二、第三の宇宙発電所を手動でシフトしたそうです」


『時代は変わっても、最後はマニュアル頼りになるわね。

ーー セリエさま、停電は解決しました』


「じゃあ、元に戻すにゃあ」

セリエはテレパシーでセリウスに指示を与える。


 神聖女学園の女子高生たちは、目の前で起きた超常現象に驚きを隠せない。

真冬から春に戻ったのも束の間、再び厳冬期に逆転した。


 セリエは、康代に別れを告げ、消えて光になって輝いた。




 執務室に赤猫が戻り、女子高生姿のセリウスになった。


『セリウス、ありがとうございます』


「康代さま、神使ルニャさまのお陰でございます」


『そうね、時の女神の神使さまね』


 徳田康代の無意識が、時の女神エルミオを思い出していた。

エルミオのお陰で康代は転生出来たことを思い出す。


「康代さま、宇宙発電所の問題も解決しましたが」


『そうね、光夏。今後の課題が増えたわね』


「自動から手動への切り替えですね」


「光夏も今回は冷や汗たらたらね」


「秀美に言われたくないわ。

ーー 今回は神さまのお陰ですわ」


『まあ、二人とも、そんなとこでいいじゃ無い。

ーー で、光夏、秀美、大雪復活でどうする』


「学園都市は、壁暖冷システムです。

ーー 空中浮遊自動車専用滑走路も凍結防止システムが作動しています」


『国民住宅や国営企業、高速道路は大丈夫、明里さん』


「はい、徳田幕府の司令部が対応しています」


『じゃあ、ショッピングセンターのカフェでお汁粉を食べましょうか』




 いつの間にか、天女の天宮静女が康代の隣に現れていた。

「康代殿、静女も賛成でござるよ」


『じゃあ、静女も賛成と言うことで、地下からカフェね』


 康代は、静女の紫色の瞳を見つめながら静女に念を押した。

康代の願い届かず、康代たちはカフェのあるフロアに瞬間転移していた。


 女子高生警備、大統領キャビネットのメンバー、セリウス、生徒会役員の門田菫恋、田沼と若宮の全員がカフェに瞬間移動していた。転移に気付いたのは康代とセリウスと静女だけだった。

 静女が人間たちの意識に催眠術を掛けていたからだ。




 天宮静女は、カフェのいつもの指定席に腰を下ろすと、窓ガラスにぶつかる吹雪を眺め微笑んでいた。


『静女、お汁粉でいいわね』


「康代殿、静女は雪見善哉でござるよー」


『静女、そんなのあったかしら?』


「月見酒があるでござるよ。雪見もあるでござる」


 雪は、ますます激しくなり、カフェから見える大江戸山脈の景色を遮った。

静女の前にある大自然のキャンバスは白銀の世界に変わった。


『静女、善哉よ』


 康代の声は静女の耳には届かず、善哉の甘い香りだけが静女の嗅覚を刺激していた。


「頂くでござる・・・・・・」

 お読みいただき、ありがとうございます!

ブックマーク、評価を頂けると嬉しいです。

投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ