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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
134/169

第八部 第二十八章【一三二】宇宙天気予報が擾乱でござるよー

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 長い昼食会が終わった頃、大江戸山脈の彼方に夕日が沈み掛けていた。

天女の天宮静女(あまみやしずめ)は、カフェの指定席から名残り惜しそうな表情を浮かべていた。


「静女、帰るにゃあ」


「セリエさま、静女もお伴するでござる」


『セリエさま、私たちも移動しましょう』


「康代、転移するにゃあ」


 神さま見習いのセリエは徒歩移動が嫌いだった。


『セリエさま、よろしくお願いします』


 徳田康代大統領もセリエの転移魔法には慣れていなかった。


「康代殿、大丈夫でござるか」


『静女、ありがとう。大丈夫よ』


 三人は、学園寮の康代の部屋に到着した。

康代が瞬きする僅かな時間に、学園の西側のショッピングセンターから東側の学園寮まで移動している。


 セリエのフィルターのお陰で転移に気付く者はいない。


『セリエさま、黒川さんの報告では、まだまだ先になりそうですが』


「左様かにゃあ」


 セリエは不機嫌そうな返事をしたあと、康代の前から消えて光になった。


『静女、セリエさま、ご機嫌斜めですか』


「お忙しいので、ござるよ」


『それなら、いいのですが』




 徳田康代大統領は、神々の裁きで消えて行った昔の政治を思い出していた。


 武家時代の悪習が、時代の流れの中で淘汰されたように見えた頃の話だった。

 海の藻屑となった西和にも腐敗が進み、当時の世界は戦争プロパガンダと生物兵器を駆使して世界は混乱の時代を経験する。

地獄のどん底の中で大勢の人間が犠牲になって消えて行った。


 その影響は、皇国にまで及び、不正の温床が長く続くことになった。

マネーロンダリングとキックバックの殺伐とした繰り返しの中で、正義は消えて暗黒時代が続き人口が激減した。


 康代は、昔の時代を振り返り、二度と同じ過ちが起きないように、徳田幕府に監視強化をさせた。


「康代殿、心配は、お身体に障るでござるよ」


『静女は、なんでもお見通しなのね』




 翌日の午前、セリエの神使、セリウスが生徒会の大統領執務室に現れた。

緑髪の女子高生姿の横に、水色髪の神さま見習いのセリエがいた。

紫髪の天女天宮静女は昨夜から康代の側にいる。


『セリエさま、今日はセリウスさまも、ご一緒ですか』


「女神アセリアさまのご命令だにゃあ。

ーー しばらく康代の側近として静女と一緒にいるようにだにゃあ」


「はい、セリエさまが仰るように、当分は康代さまの側近となります」


『セリウスさま、セリエさまがいるのにですか』


「セリエさまは、お忙しく離れることが多いのでと、アセリアさまが」


『分かりましたわ。きっと、お考えがあるのでしょう』


「康代殿、セリウスさまがご一緒なら安心でござるよー」


『静女が嬉しいように聞こえるわよ』


 静女が照れ笑いをしている。

康代は、アセリアさまがセリウスさまを派遣するからには重大な何かがあるのではと思い不安になった。


「康代よ、アセリアさまは、お優しいから派遣しただけじゃにゃあ。

ーー 余計な考えは、杞憂じゃにゃあ」


『セリエさま、ありがとうございます』


セリエは、その場で消えて光になった。


「セリエさまは、女子高生姿になっても消えるでござる」


『そうね、知らない人には、見えないからいいけど』




「康代さん、お昼どうしますか」

豊下秀美が部屋に入るなり聞いて来た。


 康代は、そろそろ秀美が来るなと思っていた。

『秀美、一階のいつもの食堂にしましょう。

ーー いつもの顔触れで行きましょう。

ーー でもね、今日は、セリエさまの代わりにセリウスさまが同席するわ』


「じゃあ、人数は変わりませんね」


 秀美は、そういうと足早に執務室を出て行く。


「秀美さんは、相変わらず落ち着きがないでござる」


『静女に言われたら太鼓判ね』

康代は笑いを押し殺して言った。




 長身で黒髪セミロングの姫乃水景(ひめのみかげ)和泉姫呼(いずみひめこ)が執務室をノックした。


『あら、姫乃さんと和泉さん、ご無沙汰してます』


「ちょっと時間が空いたので徳田さんの顔を見に来たのよ」


『今、秀美が食堂に席を取りに行っているわ。

ーー ご一緒しませんか』


「私たちも、徳田さんを誘いに来ましたので、喜んでご一緒します」


 康代はワインレッドのジャケットのポケットからホログラム携帯を取り出し、秀美の携帯に掛けたが繋がらない。


「康代殿、拙者が行くでござる」


 静女は、セリウスがいることで自由に動けた。

康代が言おうとした時には静女が消えていた。


 静女も秀美と変わらないくらい、せっかちかと康代は思っていた。




 康代たちが、食堂の前に到着すると紫色髪の静女だけが待っている。


『静女、どうしたの』


「それが、秀美殿がいません」


『秀美は脳内変換する癖があるから、きっと二階じゃないかしら』


 康代は、もう一度、秀美の携帯に掛けて見た。


「あっ、康代さん、遅いから心配しましたよ」


『秀美、私たちは、一階にいるわよ』


 隣にいた姫乃と和泉が、康代と秀美の電話のやり取りを聴いて笑っていた。


「康代さん、申し訳ありません」


『いいわよ。二階に行くわよ。人数、二人分追加よ』


と言った時、前から安甲晴美(あきのはるみ)と宝田劇団の五大スターが康代の視界に入った。


『秀美、八人分の席を追加して』




 康代たちは二階への階段を上がって行った。

神聖女学園の校内食堂は、冬休みでも盛況だった。

女学園の部活に冬休みが無かったからだ。


 窓の外では突風が吹き荒れている。


「康代さん、今日の宇宙天気予報は、地磁気が擾乱(じょうらん)で悪いので良くありませんよ」

田沼光博士が康代に声を掛けた。


「宇宙天気予報が擾乱(じょうらん)でござるよー」


 静女の声にワンピース姿の田沼光(たぬまひかる)若宮咲苗(わかみやさなえ)が微笑んだ。


『田沼先生、若宮さん、ご一緒しませんか』

 お読みいただき、ありがとうございます!

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投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。

三日月未来(みかづきみらい)

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