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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
130/169

【一二八】康代殿、合流でござるよ

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 田沼光(たぬまひかる)博士、若宮咲苗(わかみやさなえ)助手と別れた安甲晴美(あきのはるみ)は、神聖女学園かるた部兼かるた会の扉の前にいた。


 田沼たちの情報で、徳田康代がいないことを知りつつも足が向いてしまった。

背後から大きな声がして、安甲(あきの)は振り返る。


「安甲先生、これからお稽古ですか」

同い年の大スター朝川夏夜(あさかわかよ)だった。


「朝川さんも、これからですか」


「そうなの。

ーー 向こうが忙しくならないうちにと思って・・・・・・」



「朝川さんと夜神さん、来月の柿落(こけらお)としの舞台に出演するんでしょう。

ーー メディアが騒いでいますよ」


「近江の時に、うっかり口が滑りバレてしまったみたい」

朝川が苦笑いをしていると夜神紫依(やがみしより)が現れた。

後ろには、朝霧雫(あさぎりしずく)赤城麗華(あかぎれいか)大河原百合(おおがわらゆり)の現役スターもいる。


「朝川さん、立ち話もいいけど

ーー 廊下は寒いから部室に入りませんか」


 夜神の声に気付いた安甲が、朝川の背中を押しながら言った。

「じゃあ、

ーー とりあえず、みんな、

ーー 入りましょう」


 冬休みというのに、部室には、部員と会員が練習をしている。

中等部の三人が、朝霧雫に気付いた。


「朝霧さん、私は中等部の滝沢愛(たきざわあい)です。

ーー お稽古をお願いします」


「滝沢さん、ずるいわよ。

ーー 私も、お願いします。

ーー 瀬戸霞(せとかすみ)です」


「滝沢さん、瀬戸さん、私もよ。

ーー 笹山夜空(ささやまよぞら)です。

ーー お願いします」


 安甲が朝霧の前に出て言った。


「みんな、朝霧さんを独占したい気持ちは分かるけど。

ーー あんまりがっつくと朝霧さんに嫌われるわよ。

ーー お稽古は、みんなのレベルを考えながら、

ーー 組み合わせをするから大丈夫よ」


 部室の引き戸が開いて、元白波女子の由良道江(ゆらみちえ)が、元有馬女学園の松山八重(まつやまやえ)と一緒に入って来た。


「あら、由良先生、松山先生、ご無沙汰してます」


安甲(あきの)先生、そんなにご無沙汰してませんよ」


「ところで、お二人に、かるた会のお稽古をお願いしたいと思っていたのよ」


「松山先生も私も、安甲(あきの)先生みたいに現役じゃないから

ーー お手伝い程度になるわ」


 由良が鞄から紙製のノートを取り出した。


「由良先生、それは何ですか」

安甲(あきの)が尋ねる。


「これは、かるた部の閻魔帳よ」


 由良がノートを安甲(あきの)に見えるように(めく)る。


「凄いわ、先生、これ生徒たちの戦績表じゃないの。

ーー それを見れば、組み合わせも簡単ね」


「そうでも無いのよ。

ーー レベルが拮抗(きっこう)しているから簡単じゃないわ」


松山が由良に言った。

「じゃ、その組み合わせを私もお手伝いするわ。

ーー そして、年が明けたら練習試合を組みましょう」


「そうね。

ーー でも宝田劇団の五人は舞台の稽古で忙しくなるわよ」

 安甲(あきの)が言うと、朝川が手を振っている。



「先生、かるたは脳トレになるから大丈夫よ」


「朝川さん、こけら落としっていつですか」


「来月の十五日になるわ」

朝川を制して、夜神が答えた。


「じゃ、由良先生、松山先生、練習試合は、それよりもあとにしましょう」

安甲は、そう言って大事なことを思い出す。


「この会から、数名がクイーン戦に出場になるわ。

ーー 忘れていました。

ーー 朝霧さんもよ」



安甲(あきの)先生もですよ」

朝霧は、満面の笑みを浮かべて言った。


「朝霧さんは、舞台大丈夫なの」


「多分、大丈夫ね」


安甲(あきの)先生、朝霧さんは、天才なのよ」

朝川は、そう言って舞台監督の夜神にウインクした。


夜神は、上機嫌な朝川に違和感を覚え呟く。

「雨が降らないといいわね・・・・・・」


安甲(あきの)は、廊下に出て徳田康代の携帯に連絡を入れたが留守番電話が応答した。


「まあ、いいか・・・・・・」





 制服姿の神さま見習いセリエと天女天宮静女と合流した徳田康代大統領キャビネットは、秘密基地の奥の部屋に到着した。

徳田幕府の女子高生警備が入室をチェックしている。


「康代さん、ここの警備、

ーー 神聖の女子高生警備の制服と違いますね」


『秀美、ここは、担当ごとに制服のカラーが違うのよ』


「なるほど、そういうことなんですね。

ーー じゃあ、あれは」




 豊下秀美が言い掛けた時、臙脂色の制服に紺色のスカート姿の女性が近寄って来た。

黒川亜希と並んでも遜色がないほどの長身だ。


「徳田大統領、お待ちしていました。

ーー 徳田幕府本部の千歳翼(ちとせつばさ)と申します。

ーー 隣が、このエリアの担当の秋田美樹(あきたみき)三沢美涼(みさわみすず)です」


 秋田と三沢は、徳田に挨拶すると、更に奥の部屋に案内する。


 三沢が、扉の開錠のパスワードをリモコンから入力した。

自動扉が左右に開き、制御室の女性が見える。


「この制御室は、神聖女学園の卒業生が担当しています」


『何人くらい、いるのかしら・・・・・・』

徳田はピンク色のサングラス越しに三沢の顔を見ていた。


「数えたことはありませんが、

ーー 約三百人くらいと説明を受けています」


『そんなに、沢山ですか』


「ほとんどは、システムの担当者です」


『分かりました。

ーー ありがとうございます。

ーー ところで、門田さん』


 徳田が三沢に答えながら、傍にいた門田菫恋(かどたすみれ)を呼んだ。


「大統領、黒川亜希(くろかわあき)ですね。

ーー 水上泉(みなかみいずみ)紀戸茜(きどあかね)尾上(おのうえ)ゆかりを引き連れて移動しています」


 明里光夏(あかりみか)が門田の耳元で囁く。


「遅くありませんか」


 千歳翼(ちとせつばさ)が明里に言った。

「ここは、見た目以上に広くて

ーー 不慣れな方は、時間が掛かります」


「徳田大統領、ちょっと待ちそうですね」

織畑信美(おりはたのぶみ)だった。


『織畑首相、そんな心配はしていません。

ーー ねえ、前畑副大統領』


前畑利恵(まえはたりえ)は、徳田の不機嫌そうな態度に気付いていた。


「千歳さん、なんかトラブルですか」

前畑が聞く。


「いいえ、そういう情報は上がっていません」


「それならいいのですが」




水上泉の大きな声が聞こえて来た。


「徳田大統領! 遅れました」


「康代殿、合流でござるよ」


「康代、まだまだのようにゃぁ」


黒川亜希と紀戸茜、尾上ゆかりの三人の姿が見えていない。


『変ね・・・・・・』

 お読みいただき、ありがとうございます!

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投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

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