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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
128/169

【一二六】 生徒会が知らない緊急時専用エレベーター

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 神聖女学園の大統領執務室には、大統領キャビネットのメンバー、前畑利恵(まえはたりえ)副大統領、明里光夏(あかりみか)大統領補佐官、織畑信美(おりはたのぶみ)首相、豊下秀美(とよしたひでみ)副首相の四人に生徒会役員の門田菫恋(かどたすみれ)を加えた五人が、徳田康代大統領の到着を待っていた。




 徳田大統領は、女子高生警備数人を従えて執務室の中に入ると、外で待機している女性たちを手招きした。


『みなさん、こちらで、お願いします』


「大統領、こちらで(よろ)しいですか」


 明里が気付き、女性たちに手を貸す。


 五人人の女性たちは、それぞれが箱を積んだカートを執務室入り口付近に止めた。

箱には、大統領キャビネットのメンバーの名前が書かれている。

明里と女性たちは、執務室の大きな青いソファの前にある、低いテーブルの上に箱を並べた。


 明里光夏が女性たちに御礼を言って、彼女たちは大統領に一礼して執務室から退室した。


前畑利恵副大統領が徳田康代大統領に尋ねた。


「この箱は、なんですか?」


『大統領キャビネットの新しい制服よ。

ーー 静女のを見て発注を思い出して、神聖女学園の服装部に聞いてみたの。

ーー そしたら、至急、届けてくれることになったわけ。

ーー スリーサイズは登録済みのサイズなので大丈夫よ』


 織畑信美が、自分の名前が書かれた箱から、ブレザージャケットとミディアムスカート、シャツを取り出し喜んでいた。

「神聖女学園の制服も大好きだけど、

ーー このジャケットの色に()かれますね」


『信美、利恵、光夏、秀美、これは、以前からお願いしていたのよ。

ーー 色も静女のと似ているけど、微妙に違うわね』


利恵が言った。

「康代さん、生徒会役員の分もあるといいわね」


『生徒会のスカートスーツもあるわよ。

ーー 門田さんの分も、今、ここにいない人たちの分もね。

ーー 但し、カラーが違うけどね』


秀美が気付いて康代に言う。

「あの、このブレザーの胸にあるエンブレムの黒猫、

ーー どこかで見た記憶があるのですが」


『さすが、秀美は、勘が鋭いわね。

ーー そうよ、黒猫時代の神使セリエさまの姿よ』


「康代さん、それは、(まず)くありませんか」




 秀美が言うと、音もなく女子高生姿の()()()()()()セリエが現れた。


「予が良いと康代に言ったにゃあ。

ーー だからにゃあ、心配はにゃい」


 セリエは、そういうと消えて光になった。




『と言う訳で、みなさんは、ご自分のお名前がある箱をお取りください。

ーー 大統領キャビネットの制服をお取りください。

ーー 門田さんの分もあるわよ。

ーー 残りの生徒会役員の分は、さっきの人たちに任せてあるわ』



 生徒会役員の分は、明るい紺色のスカートスーツだった。

大統領キャビネットは、ワインレッド色のスカートスーツで目立っている。

どのジャケットの胸にも黒猫のエンブレムがあった。

神使時代のセリエの金色の刺繍が御守りのように輝いている。


『じゃあ、みんな、隣の生徒会室の更衣室で、

ーー 新しい制服に着替えてください』


「あれ、康代さん、もう着替えていたの」


『秀美って、意外と気付いていないのよね』


 徳田康代大統領は、既にワインレッドカラーのジャケットに、膝丈くらいのスカートを着用していた。

明るいワインレッドのジャケットに臙脂色に近いスカート、そして淡いピンク色のシャツが康代のお洒落を際立たせている。


 康代は、大統領キャビネットの着替えを生徒会室の大きなテーブルで待っていた。


「康代さん、生徒会室の更衣室って、広いんですよ」

秀美が大きな声で言った。


『秀美、そんなこと言いから、

ーー じゃあ、みんな、着替えたわね。

ーー これから()()()()()()()()に向かうわよ。

ーー 案内は、生徒会役員の門田菫恋(かどたすみれ)さんがしてくれるわ』


「徳田さん、私は途中までしか許可されていませんが」


『大丈夫よ。大統領キャビネット随行ですから』


「はい、分かりました」


『じゃあ、みんな、地下に降りましょう』




 徳田康代大統領と大統領キャビネットに門田菫恋(かどたすみれ)を加えた六名は、神聖女学園の地下玄関に到着した。

門田菫恋がリニア式水平エレベーターの中に入って行った。


「大統領、これから、学園寮茶色の棟まで移動します」


 茶色の棟の地下から、エスカレーターで地上に出るのが一般ルートだった。

徳田たち重鎮は、その地下から別のリニア式水平エレベーターに乗ることが出来た。

 生徒会役員の門田菫恋(かどたすみれ)ですら知らされていない秘密の移動エレベーターだった。


 案内役は門田から明里光夏大統領補佐官に変わった。


「このルートは、特殊ルートなので、他言無用でお願い致します」


 (いささ)か、光夏の口調に緊張が窺えた。


『じゃあ、光夏、お願いね』


「じゃあ、康代さん、動かしますよ」


『光夏、動いてないわよ』


「あの、明里さん、パスワードを入力していますか」


「ああ、門田さん、ありがとう。

ーー 忘れてました。

ーー じゃあ、動きますよ」


『これ、あんまり早く無いわね』


 光夏はリニア式エレベーターが苦手なので、移動速度を低速に設定していた。

康代は、それに気付いて苦笑いを浮かべている。




「康代さん、旧体育館地下です」


『光夏、このあと、一般ルートを経由するの』


「いいえ、このまま、エレベーターホールがある場所まで移動します」


明里の言葉に門田菫恋は、別ルートであることを知る。


「明里さん、エレベーターホールって」


「門田さん、六台あるエレベーターホールですよ」


「明里さん、ショートカットで方向感覚が麻痺しそうですが」


 と言って、門田は鏡の部屋のエレベーターホールを想像していた。

門田の勘は当たっていた。


 見慣れた鏡の部屋に通じるエレベーターが目の前にあったからだ。

しかし、今まで門田は、この別のエレベーターを知らなかった。


「明里さん、このエレベーターって、

ーー もしかして見えない構造ですか?」


「はい、一般側からは、解除しないと見えませんね。

ーー だから、気付かれません。

ーー ()()()()()ですから」


 六台あるエレベーターホールに出ると、通常は右側にある三台を使用する規則だったが、明里大統領補佐官は左側の三台の一つを選んでエレベーターに乗った。


 操作方法が同じなら、問題ないと門田は思っていたが、明里のやり方と門田のやり方が違うようで、門田は小さなショックを覚える。


「門田さん、右側エレベーターと左側エレベーターでは、

ーー 操作マニュアルが違うんですよ。

ーー 気にしないでください」


 明里光夏が、リモコンを手にして言った。

「じゃあ、みなさん、席に付いたら、

ーー シートベルトをお願いします」

 お読みいただき、ありがとうございます!

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投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

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